

スポーツでごみを解決!?
大注目の「スポGOMI」※とは。
ごみ拾いをスポーツ化して
注目される馬見塚健一さんと、
プラごみ問題に取り組み、
廃棄物ゼロをめざすユニクロの
プロジェクト担当・岡田恵治が、
徹底対話。
- 馬見塚 健一一般社団法人ソーシャルスポーツイニシアチブ 代表
- 岡田 恵治(株)ファーストリテイリング サステナビリティ部グローバル環境マネージメントチーム リーダー
※スポGOMI
3人でチームを組み、制限時間内にごみを拾い、ごみの量と質で他の参加チームとポイントを競い合うスポーツです。おそろいのユニフォームを着て、頭と身体をフルに使って街をきれいにする、新感覚のごみ拾いです。

ごみは楽しい!
ユニクロから出るごみをゼロに
岡田今日は馬見塚さんとお話ができるのを楽しみにしてきました。
馬見塚こちらこそ。ユニクロと共同で「スポGOMI×UNIQLO」をやらせていただいて、スタッフのみなさんの本気度にびっくりしました。今日もその本気をうかがえるのかなと。
岡田私たちの目指すゴールは「ユニクロから出るごみをゼロに」なので、おのずと気合いが入っていたんだと思います(笑)。日本のユニクロとジーユーの店舗から出るごみの6割ぐらいが輸送用の段ボールで、服の輸送用ビニール袋を主とするプラスチックごみが2~3割ぐらい、残りがその他の可燃物です。
馬見塚再生できる段ボールがいちばん多いんですね。
岡田はい。段ボールは回収され、循環しているものを再利用しています。お客さまのお手元に届く段ボールも分別して、自治体のルールにのっとって処理してもらえば、循環がつづきます。店舗でのいちばんの課題はやはり、残りのプラスチックごみですね。輸送用ビニール袋の削減と循環の対策も検討し、進めているところです。
馬見塚「スポGOMI」でも、プラスチックごみは高得点の対象です。
約70%のお客さまが
ショッピングバッグの購入を辞退
岡田服を丁寧に、清潔に扱うことのできるパッケージとしては、プラスチックはありがたい素材です。商品をきれいに包んでお渡ししたいのは、伝統的な日本文化の影響もあるかもしれません。ですがこの数年で、「なぜここまで包装する必要があるのか、プラごみを増やすだけでは?」とご指摘いただくことが増えました。利用してきたプラスチックを見直して、使い捨ての資源利用はなるべく減らす取り組みを2019年からスタートさせました。
馬見塚プラスチックのショッピングバッグの廃止はニュースになりましたね。
岡田同時に、袋が必要な方には紙の手提げ袋、あるいはコットンのエコバッグを買ってご利用いただくことにしたのです。店内のポスターや広報誌でプラごみ問題への取り組みの背景をお伝えしました。
店の外でも、プラごみ問題の認知度を高めたい行政の協力も得て、ユニクロの店長が地域の小中学校に足を運び、特別授業を開かせてもらいました。環境・海洋ごみ問題の現状と、解決への取り組みのひとつとして、ショッピングバッグの問題も考えてもらったのですが、その後は生徒さんが「マイバッグを用意した」、「ペットボトルではなくマイボトルを使うようになった」と連絡をくれたりして、手応えを感じる試みでした。あれから3年、ユニクロやジーユーに来られるお客さまの約70%の方がショッピングバッグの購入を辞退されるようになりました。マイバッグなどでお持ち帰りになるのが「当たり前」化してきたんだなと感じます。
馬見塚それは予想以上の数字ですね。

スポーツとして拾う楽しさ
岡田さらに活動を広めたいと考えていたタイミングで、スポGOMIを知ったんです。遊び、スポーツの要素がごみ拾いに入ってくるというのがほんとうに新鮮でした。
馬見塚スポGOMIを始めて今年でちょうど15年になります。僕自身はもともと単なるスポーツ好きで、当時はSDGsなどが語られる以前でした。毎朝のランニングコースで、街にけっこうごみが落ちているのに気づいた。さっと拾えばいいだけなのに、「これ1個だけ拾うのも、なんか偽善者っぽいかな」と余計なことを考えてしまって、なかなかごみに手を伸ばすことができませんでした。
でもある日、目についたごみ1個でも拾えば1個分はきれいになる、と思ってごみに手が伸びたんです。つぎは走りながら、「あのペットボトルをスピード落とさないまま拾ってみよう」とか、「拾うときに大腿筋を意識してみよう」とか、課題つきで拾いはじめたら、もっと楽しくなって、「あ、ごみだ!」とうれしくなっていった(笑)。スポーツとして拾う楽しさが、自分の心にストンとフィットしたんですね。
ごみ拾いをスポーツ化、ゲーム化してみたらどうだろうと考えたのが2007年でした。そこからルール作りを始めて、3人1組のチームで指定した地域のごみを制限時間内で拾い、合計のポイント数を競う──これをルールの骨格にしました。
少年少女も高齢者も大歓迎
岡田スポGOMIが幅広く受け入れられたのは、楽しいからですよね。スポーツ感覚のイベントで社会的な意義を浸透させよう、という発想があたらしいと驚きました。
馬見塚始めてしばらくは、スポーツとごみ拾いを掛け算するのは「環境活動じゃなくて遊びだよ」と言われて、悔しい思いもしました。でも、参加者は終わると楽しそうに帰っていって、同時に日常生活でのごみに対する行動変容が起こっているんです。
国の機関に評価してもらい客観性を得たいと考えて、2010年に国立環境研究所を訪ねました。興味を持ってくださった研究員がいらして、スポGOMIを研究対象にしてくれたんですね。2年間、スポGOMI参加者の、参加する前、参加した直後、参加した1カ月後と分けてアンケート調査と分析を続けてくださった。われわれの感じていた参加者の行動変容の印象をデータで裏付ける結果が出たんです。そのあたりから、世の中の理解度も少しずつ深まっていったようにも思います。なんであれ、定着させるにはそれなりの時間が必要ですね。
岡田参加される方の年齢層に変化はありましたか。
馬見塚場所によって変わります。横浜のベッドタウンでやると、少年少女の野球・サッカーチームが200~300人来てくれたりします。地方のちいさな田舎町になると、ご高齢者ばかりの場合もあります。地域によってまったく様子が違って、それがまたおもしろいんです。
岡田行政や企業など、いっしょに取り組む相手によって何か違いはありますか?
馬見塚僕らは参加者と向き合っていますので基本は変わらないのですが、社員研修や部署を超えたコミュニケーションづくりを目的としてスポGOMIを活用している企業も増えてきていますね。

世界大会実現へ!?
馬見塚ユニクロさんとやらせていただいて、率直に素晴らしいと思ったのは、僕らにお任せのスタンスではまったくなくて、スタッフとしてがっつり一緒に入ってきて取り組んでくださったことです。お客さまとのリアルなつながりや触れ合いを大事にされていると感じました。
岡田ありがとうございます。おっしゃるとおり、われわれ店舗が、その地域のお客さまと触れ合えるタッチポイントにもなって、非常にありがたかったな、と思っています。2022年夏から始めたこの「JOIN: THE POWER OF CLOTHING」のキャンペーンでも、売り上げの一部をスポGOMIで活用していただければと願っているのですが、今後あらたに取り組みたいと考えられていることはありますか。
馬見塚日本だけでなく海外での活動も行っています。地球で最も環境に優しいスポーツとして、発信をさらに増やしていって、世界大会を実現できないかと本気で考えています。

馬見塚 健一 Kenichi Mamitsuka
一般社団法人ソーシャルスポーツイニシアチブ 代表鹿児島県出身。2008年ごみ拾いという社会貢献活動にスポーツの要素を取り入れた「スポGOMI」を発案し、活動をスタート。同時に一般社団法人ソーシャルスポーツイニシアチブを設立。現在は「スポーツで、国や地域の社会課題を解決する。」をテーマに、環境保全以外の社会課題の解決にもスポーツを掛け算する事業を展開。主な受賞歴として、スポーツ振興賞 スポーツとまちづくり経済産業省商務情報政策局長賞(2013年)、内閣府クールジャパンマッチングフォーラム審査員特別賞(2016年)、環境省グッドライフアワード環境大臣賞(2019年)、文部科学大臣表彰科学技術賞(2021年)

岡田 恵治 Keiji Okada
(株)ファーストリテイリング サステナビリティ部グローバル環境マネージメントチーム リーダー2001年、ユニクロにオープニングアルバイトスタッフとして入社。その後、店長、スーパーバイザーを経て、
2009年より商品本部にてMDとしてMY UNIQLOの立ち上げに関わる。
2014年よりCSR部(現サステナビリティ部)の社会貢献領域で難民支援(雇用・自立)や
ソーシャルビジネスに従事後、2019年より、現部署にてショッピングバックの有償化や商品パッケージを
始めとした、「廃棄物ゼロ」に向けた取り組みを推進している。

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