

海洋・気候・環境分野の
最前で活躍する専門家
キース・アルバーソン博士
特別インタビュー。
「プラスチックごみを減らすために、
あなたが今すぐできること、
世界がこれからやるべきこと」
- キース・アルバーソン博士
2016年7月より国連環境計画-国際環境技術センター(UNEP-IETC)の所長を務めた。
2020年12月にUNEPを退職後、現在は海洋・気候・環境分野の専門家として活動している。

国連環境計画(UNEP)の国際環境技術センター元所長、キース・アルバーソン博士に、プラスチックごみの問題点と解決への取り組みについてうかがいました。
レジ袋を使わない習慣がひろがっています。
プラスチックごみは減っていますか?
この数年の間に、プラスチックごみ問題への人々の意識、認知度が高まっているのはたしかにそのとおりです。しかし、そういった努力にもかかわらず、残念ながらプラスチックの使用量はまだ世界で増え続けていますし、処理場にたどりつかないプラスチックごみの海洋への流出も続いています。規制が整備されていない国々も少なくないのが現状です。
どれくらいの量が海に流れ込んでいるのですか?
1950年代の私たちの生活にはプラスチック製品はありませんでした。プラスチックごみが加速度的に増えはじめたのは、21世紀に入ってからのことです。毎年少なくとも約800万トンのプラスチックごみが海に流れ込んでいる、という試算があります。ジャンボジェット機に換算すると、約5万機分に相当する量です。想像を超えるような驚くべき量ですが、実際はそれよりも多いという研究者もいます。
どこから手をつけたらいいのか、
という数字ですね。
まず重要なことは、プラスチックごみがどれだけ回収され、どのように処理されているか、また、未処理のプラスチックごみがどれほど溜まっているか、といった実態をしっかりモニタリング(観察、調査)することです。これによって環境への負荷が明確になりますし、より効果的な対策を考え、実行が可能になります。もちろん、モニタリングの結果を待つことなく、いますぐプラスチックごみを減らす行動をとるべきですし、それが大前提です。みなさんひとりひとりの意識と行動がプラスチックごみを削減する原点となり、大きな変化をもたらす力になります。
モニタリングは誰が行うべきことですか?
まずは、企業が率先して行うべきですね。たとえばユニクロの場合でしたら、どれくらいのプラスチックをサプライチェーンで使っているのか、使い捨てのプラスチックのパッケージをどれくらい使っているのか、服の素材にどれくらいのプラスチックが含まれているのか、それらの推測値を算出することができるでしょう。温室効果ガスの算出と同じことです。

温室効果ガスもモニタリングして、
対策を立てているわけですね。
そのとおりです。たとえば、服でいえば、素材づくり、縫製などに使われるエネルギー、オフィスや店舗で使われるエネルギー、自動車や船の輸送で使われるエネルギー、さらには、お届けした商品をお客さまが使う時、洗濯時の電力使用などでどれくらい温室効果ガスを排出しているか──それらを算出し、データを集め、温室効果ガスを減らすための対策を立てるわけです。実態を知って、対策を立てる。これが大原則です。
プラスチックを使うのをやめて、
自然素材だけで服をつくるとしたらどうでしょう?
どんな素材でも、プラスの面とマイナスの面があります。今日からすべての商品をコットン製だけにしたとすると、それはそれで環境への影響が大きくなります。コットンの栽培には水が必要です。たとえば、カザフスタンとウズベキスタンの間にあるアラル海(塩湖)の水位が半減してしまったのは、コットンの栽培のために灌漑をして、広大な農地に水を引き、使うようになったからです。何をやるにしても、意図していなかった結果がもたらされることがある、と知っておいたほうがいいですね。
環境への負荷の軽減を考えながら、服をつくるべきだということですね。
自然から得たものを食べ、自然から得たものでつくり、ということなしで人間は生きてゆくことはできません。それでも負荷を減らすことはできます。たとえば服づくりなら、私がぜひおすすめしたい解決方法がありますよ。使い捨てではなく、長持ちして、リユースもできる、高品質の商品を増やしていく、ということです。そうすれば、環境への負荷を減らすことができます。
マイクロプラスチックの問題も
気になっています。
マイクロプラスチックは、いまやあらゆるところに存在していることがわかっています。海や川や湖などの水の中に、北極や南極などの氷の中に、大気中にも漂っています。人間の血液の中からも発見されています。これらの状態が、具体的にどのような問題を引き起こすのか、いまはまだ科学的な解明の途上にあります。ただ、生物学的には懸念される問題であるのは間違いありませんから、環境の観察、調査、研究を継続しつつ、マイクロプラスチックの排出をおさえる方策を早急に立てる必要があります。ユニクロはこれまでも新素材の服を開発して販売されていますね。その技術力で、環境への負荷を軽減する素材をぜひ開発してもらいたいですね。

まだ知られていない、
減らすことのできる身近なプラスチックごみはありますか?
いちばんお伝えしたいのは、たばこのフィルターですね。フィルターを付けることで、吸い込む有害物質が緩和されると期待されてつくられたのかもしれませんが、その効果に疑問を投げかける研究者もいます。街に落ちている大量の吸い殻のうち、フィルターはやはり最終的に海へと流出しています。プラスチック廃棄物の中でも、たばこのフィルターはかなりの量を占めているとわかっています。
そのほかにプラスチックごみについて
考えておくべきことはありますか?
プラスチックごみが焼却処分される際、発がん性物質を大気中に排出させない技術はすでにあります。ただ、国によって、その技術がまだ使われていない場合もみられます。プラスチックに含まれる化学物質と、それが環境にもたらす影響をしっかり把握して、焼却処分時の対策をグローバルに共有し、実行する必要があります。
プラスチックごみの削減はグローバルな協調が必要なのですね。
そのとおりです。個人や国家を超えて、地球全体、グローバルに手を取り合って解決していくべき課題です。UNEPでも今後、海洋プラスチックごみの対策を強化するために、プラスチックに関する国際条約を制定する可能性が検討されています。しかし、ここでぜひ皆さんに理解していただきたいのは、国連が条約を制定することで物事が解決する、というものではない、ということですね。個人、地域、企業、国、国際機関が連携して初めて、課題は解決へと向かうのです。

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