100とは

エアリズムトランクス・ボクサーブリーフ

エアリズムトランクス・ボクサーブリーフ

キャサリンのドーナツ

ポートランドを訪れて一週間が過ぎた。

僕のためにジャックが用意してくれた家は、ダウンタウンから車で15分ほど離れた閑静な住宅地にあった。リビングとベッドルームがふたつあるだけの、こじんまりした平屋の住宅だった。

この家が気に入ったのは、隣に自家製パンを焼くカフェがあったことだ。ここで僕は、毎朝朝食をとり、のんびりとくつろいだ。店主は、キャサリンという名の三十代の女性だった。三日目から言葉を交わすようになり、僕らはすぐに仲良くなった。

ある朝、客の少ない時、僕とキャサリンは一緒にコーヒーを飲みながら、互いの仕事のことや、これまでの歩みを語り合った。

小さなカフェを一人で切り盛りし、しかも、パンケーキやサンドイッチといったメニューがとびきりおいしくて、訪れる客に対する彼女の献身的でやさしさに満ちた態度に、僕はとても興味を抱いていた。店には、近所で一人暮らしをするお年寄りの常連もたくさんいて、その一人ひとりにいつも「何か困ったことない?」と彼女は声をかけていた。

「あなたの仕事ぶりを毎朝見ていて、ほんとうに感動しています」と言うと、彼女は嬉しそうな表情を見せてから、「いえ、私は仕事をしているだけよ」と答えた。

「仕事?」と聞くと「はい、そうです」と彼女は言った。

「私、こう思うんです。しあわせの条件って、誰かから愛されることよね。これはみんな同じ。そしてもうひとつ、仕事において、正しい目的をもって、それを精一杯、追求すること。これも人がしあわせになる大切な条件だと私は思っているの。あなたが見てくれた私の仕事という名の商売は、私なりの目的であり、きっと信念でもあるんだと思う」

長い髪を小さく束ねて、清潔に洗われたエプロンを腰に巻き、早朝からパンを焼いて、一人ひとりの客に家族のように接している彼女の口から商売という言葉が出たのも意外だった。けれども、正しい目的を持つことが、しあわせの条件だとはっきりと言葉にした彼女に、僕は憧れを抱いた。

キャサリンのドーナツ ストーリーイメージ

「正しい目的って言葉にできる?」と僕は聞いた。すると、彼女は悩むことなく、こう即答した。

「そうね。お金儲けではないことは確かで、私の商売の目的は、目の前の人の何かを、今よりもっとよくするための働き、もしくは活動とでも言うのかな。プロジェクトかもしれない。で、どうしたらもっとよくなるんだろうというアイデアの実行というのかな。うまくいかないことだらけだけど、それによって私自身の内面も成長できるわ」

「キャサリン、話してくれてありがとう……。君の店がこんなにあたたかな場所である理由がよくわかったよ」

「あ! そうだ。今朝ドーナツ揚げてみたのよ。あなた、初めてここに来た日にドーナツはありますか?って聞いたよね。ちょっと味見してみて」

彼女は厨房からドーナツをひとつ持ってきて、ナプキンに包んで僕に渡した。

「おいしかったら明日も作るね!」。彼女は満面の笑顔で僕に言った。

エアリズムトランクス・ボクサーブリーフ

極上の快適さ

汗ばむ季節に、いつでもさらりと快適なエアリズムトランクス・ボクサーブリーフです。こだわり抜いたのは、身につけていることを忘れてしまうぐらいの「着心地ゼロ」感覚。薄さ、軽さ、肌面の気持ち良さを追求し続けて辿りついた自慢のアイテムです。

生地の肌ざわりは、極上のなめらかさ。ウエストゴムは薄くて軽いものを、ステッチには肌あたりの極力少ない特殊な縫製仕様を用いています。さらに涼しい着心地を体感できる接触冷感、ストレッチ、抗菌防臭などの機能も充実。

エアリズムトランクス・ボクサーブリーフ
エアリズムトランクス・ボクサーブリーフ

生地の肌ざわりは、極上のなめらかさ。ウエストゴムは薄くて軽いものを、ステッチには肌あたりの極力少ない特殊な縫製仕様を用いています。さらに涼しい着心地を体感できる接触冷感、ストレッチ、抗菌防臭などの機能も充実。

エアリズムトランクス・ボクサーブリーフ

変な習慣

正しい目的を持ち、それを精一杯、追求すること……。

キャサリンのこの言葉が、いつまでも僕の心の中に残った。

僕は改めて商売の基本を考えた。どんな商売であっても、信用関係がなければ成立はしない。前にも進まない。人と人が信じ合うことで商売は続いていく。

では、商売の目的とは何か。それはお金儲けの手段と思われがちだけど、決してそうではない。嘘のない正直さと、誠実さをもって、今日、人が、今より、少しでも良くなるための一生懸命という働きが信用を生み、その感謝の表れとして対価が交わされる。だから正しい商売とは、日々繰り返される感謝の交流なのだ。

「私には、この小さなカフェで起きることすべてに責任があるの。その責任を負うことが私にとってのしあわせであり、達成感でもあると思うわ……」

キャサリンはこんなふうにも僕に語った。

誰しも自分なりの正しい目的があり、それによって生まれた大なり小なりの信用関係があり、負っている責任もあるだろう。しかし、それを自分の言葉で正しく語り抜くことができるのかというと、決して簡単なことではない。日々、与えられた環境の中で無意識に行っていることが多いからかもしれない。ただひとつ言えるのは、キャサリンのようにしっかりと語れる人は、日々そのことを真剣に考え続けているからこそ語れるのであって、そういう人こそが成功者である。

正しい目的を「考え続ける」ことが、商売の希望でもあり、商売の未来を作るのだろう。

キャサリンとの出会いは、仕事に悩む、いや、今、自分が向き合っている書籍商という商売に悩んでいた僕にとって、大きな恵みとなった。

ここポートランドで、ジャックとすすめるプロジェクトにおいて、正しい目的とは何か。負うべき責任は何か。このふたつを自分の言葉でしっかり語れるかどうかが大切だとわかった。

「どんな仕事であっても、自分の仕事が、世の中の人に影響を与えるということを受けいれなさい。そうすれば、仕事はもっと楽しくなる」という父の言葉を、僕は思い出した。

変な習慣 ストーリーイメージ

父で思い出したことがもうひとつある。

二十歳になった頃、「おい。ちょっと裸になってみろ」と父に言われ、戸惑っていると「早くパンツ一丁になってみろ」ともう一度言われた。父は笑っていた。

言われた通りパンツ一枚で父の前に立つと、「太っていても痩せていてもいい。毎朝パンツ一丁になって、鏡の前に立って、しげしげと自分をよく見ること。健康法のひとつだ。覚えておくといい」と父は言った。

今でも毎朝、ブリーフ一枚になった裸の自分を鏡に映して、しげしげと見るのが習慣となっている。

ポートランドでもそうしている自分が可笑しくて仕方がない。

エアリズムトランクス・ボクサーブリーフ

スタイルに応じて

トランクス、ボクサーブリーフ(前開き・前閉じ)の2種類に無地、柄など豊富なカラーバリエーションを展開しています。股上浅め&股下短めのローライズは、タイト目なパンツでももたつかずすっきりと。

通常のエアリズムよりさらに2倍の通気性が自慢のメッシュタイプは、アウトドアやスポーツ、暑さの厳しいシーンに最適です。

エアリズムトランクス・ボクサーブリーフ

通常のエアリズムよりさらに2倍の通気性が自慢のメッシュタイプは、アウトドアやスポーツ、暑さの厳しいシーンに最適です。

ブリーフにも
デザインがある。
鏡の前に立つとわかる。
お試しあれ。

松浦弥太郎
095 MENエアリズム
トランクス
(ボーダー・前開き)
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LifeWear Story 100とは。

ユニクロには、
流行に左右されず、
けれども、決して古びることのない、
長い間、作り続けている普通の服がある。
品揃えの中では、
とても地味で目立たない存在である。
コマーシャルにもあまり出てこない。

それらは、ユニクロが、
もっと快適に、もっと丈夫に、
もっと上質であることを、
長年、愛情を込めて追求したものだ。

それらは、ユニクロの人格と姿勢が、
目に見えるかたちになったものであり、
丹精に育てているものだ。

昨日よりも今日を、今日よりも明日と。

手にとり、着てみると、
あたかも友だちのように、
その服は、私たちに、
こう問いかけてくる。

豊かで、上質な暮らしとは、
どんな暮らしなのか?
どんなふうに今日を過ごすのか?
あなたにとってのしあわせとは何か?と。

そんな服が、今までこの世界に、
あっただろうかと驚く自分がいる。

ユニクロのプリンシプル(きほん)とは何か?
ユニクロは、なぜ服を、
LifeWearと呼んでいるのだろう?
LifeWearとは、どんな服なのだろう?

ここでは、LifeWearの、
根っこを見る、知る、伝える。
そして、LifeWearと、自分にまつわる、
ストーリーを書いていきたい。

LifeWear Story 100は、
LifeWearと僕の、旅の物語になるだろう。

松浦弥太郎

松浦弥太郎
松浦弥太郎

エッセイスト、編集者。1965年東京生まれ。
2005年から15年3月まで、約9年間、創業者大橋鎭子のもとで『暮しの手帖』の編集長を務め、その後、ウェブメディア「くらしのきほん」を立ち上げる。現在は(株)おいしい健康の取締役に就任。数々のメディアで、高い審美眼による豊かで上質な暮らし提案に努めている。新聞、雑誌の連載の他、著書多数。ベストセラーに「今日もていねいに」「しごとのきほん くらしのきほん100」他多数。NHKラジオ第一「かれんスタイル」のパーソナリティとしても活躍。

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