100とは

UVカットカーディガン(長袖)

UVカットカーディガン(長袖)

へイリーさんの手

出会いというのは不思議なもので、求めてできることではなく、いつだって自分の心が素直さに満ちて、やさしい気持ちでいるときに、前触れなく、花びらが一枚、目の前を舞うようにやってくる。それこそ奇跡のように。

パリからニューヨークへと飛び立った飛行機で、二人は隣同士に座った。

ヘイリーさんは体調を崩していたようで、席に座った途端にブランケットで体を包み、目を閉じていた。窓側に座ったアシャは、おかあさんを亡くしたばかりで、途方もない悲しみに暮れて、静かに窓の外を見つめていた。

アシャはなぜかヘイリーさんのことが気になって仕方がなかった。ヘイリーさんから香る匂い、それはどこか懐かしい石鹸の匂いのような、アシャにとって心地良い匂いだったことと、隣に座っているだけで、不思議な安心感があったからだ。

離陸して二時間ほど経った頃だろうか、飛行機が大きく揺れた時、隣にいるヘイリーさんが座席の肘置きを手でぐっと掴んだのがわかった。そして、何回かため息をつき、閉じたまぶたに力を込めていた。

アシャは自分も飛行機の揺れが苦手なので、隣に座ったヘイリーさんが大きな揺れのたびにそうしてしまうのはよくわかっていた。

何度か大きな揺れが続いた後、急降下するように機体がガクっと落ちた時、ヘイリーさんの口から「キャッ」と小さな声が出た。その時、アシャはとっさにヘイリーさんの手を握った。機体は上がったり下がったりを繰り返し、揺れはひとつも収まらなかった。

「ありがとう……」とヘイリーさんはアシャに言った。飛行機が揺れている間、二人はしっかりと手を握り合った。

どのくらい時間が経ったのかわからないが、飛行機の揺れが無くなり、アシャとヘイリーさんは、どちらからともなく、握りあった手をゆっくりと離した。

へイリーさんの手 ストーリーイメージ

「ほんとうにありがとうございました。あなたが手を握ってくれたおかげで気持ちが安まりました……」とヘイリーさんは言った。

「いいえ、私も揺れるのが苦手なんです。自分が怖くて思わずあなたの手を握ってしまいました。私こそありがとうございました……」。

アシャが恥ずかしそうに笑うと、ヘイリーさんもはじめて笑顔を見せた。

ヘイリーさんは自分の着ていた水色のカーディガンを脱いで、きれいに畳み、それを枕のように頭のあたりに置いて、アシャのほうに顔を向けて、「もう一度手をつないでもらっていいかしら」と言った。

「はい。実は私もそうしたかったんです」。アシャはヘイリーさんの手を握った。ヘイリーさんの手は小さくて、細くて、けれども、ぬくもりがあった。

「どうしてニューヨークに?」

ヘイリーさんはアシャに聞いた。

UVカットカーディガン(長袖)

こだわりが満載

なめらかな肌ざわりと美しい風合いが自慢のUVカットスーピマコットンVネックカーディガンです。素材に使用しているスーピマコットンは、世界の綿の中でたった1パーセントしか採れない希少な天然素材。特徴である絹のような光沢としなやかさを活かしながら適度な肉感を実現するため、あらゆる工程に徹底的にこだわって開発しました。

さらに、UVカットとマシンウォッシャブルの機能も追加。LifeWearとしての実用性とファッション性、お客様の日々の暮らしに寄り添えるカーディガンを目指しました。

UVカットカーディガン(長袖)
UVカットカーディガン(長袖)

さらに、UVカットとマシンウォッシャブルの機能も追加。LifeWearとしての実用性とファッション性、お客様の日々の暮らしに寄り添えるカーディガンを目指しました。

UVカットカーディガン(長袖)

水色のカーディガン

飛行機は、さっきまでの揺れが嘘のようにおだやかに飛行を続けていた。

「わかります。私もよくそうやってカーディガンを畳んで枕みたいにします。落ち着きますよね」とアシャは笑った。

「そうなの。こういう薄手のカーディガンって触り心地もいいから、こうして枕にして顔を置くと安心するのよ。飛行機はほんとうに苦手だわ」とヘイリーさんは言って目をつむった。

「どうしてニューヨークへ?」ともう一度アシャに聞いた。

アシャは二人のこと、パリに学びに行ったこと、そして家族のこと、母のことを淡々と物語の読み聞かせのように話した。その間、ヘイリーさんはずっと目を閉じて、アシャの話を静かに聞いていた。

「あなたと手をつなぎながら、あなたの話を聞いていたら、子どもの頃、同じように自分の妹と、いつまでもこうしておしゃべりしていたことを思い出すわ……」とヘイリーさんは言った。

ヘイリーさんはコップの水を一口飲み、「あなたはどんな夢を持っているの?」とアシャに聞いた。

「私、たくさん夢があったんです……。ほんとうにたくさんの夢が……。たしかにそれは自分の夢でした。けれども、私、そういういろいろな願望を、夢だと思っている以上、叶わないような気がしてならないんです。なので、今は夢という言葉がどうもしっくりこないんです。絶対にそうしてみせる。夢で終わらせない。こうなればいいなと思っているだけで満足しないで、望むことは必ずできるんだと信じるようにしているんです。夢を語るなら、マイケル・ジョーダンの言葉に『Just Do it!』ってあるけれど、まさにそれ。私にとっての夢は、私のリアルな未来なんです」

アシャは自分でも何を言っているかわからなくなりながらも、これからの人生に対してこうやって歩んでいくんだという決意のような考えをヘイリーさんに話した。

「私は、とにかく自分が一番得意なことを、思い切りこの世界にぶつけたい。自分が大切な人を思い切り愛したい。照れずに、恥ずかしがらずに思い切りそうする。ただそれだけを精一杯やる」

アシャは窓から見える空の景色を見つめながら言った。

水色のカーディガン ストーリーイメージ

「実は私、パリでたくさんの悲しい思いをして、ニューヨークに行くのよ。悲しさの理由は、自分の夢を誰かが叶えてくれると勘違いしていた自分がいたからよ、きっと。夢があれば生きていけると思ってたの。けれども、何ひとつ思い切りできない弱い自分がいたの……」。ヘイリーさんはそう言って、枕にしたカーディガンに顔をうずめた。

アシャはヘイリーさんの手をぎゅっと握って、「Just Do it……」と呟いた。

アシャは隣に座ったヘイリーさんのいい匂いが心地よくて仕方がなかった。そして今日はじめて会った人とは思えない親しみが湧いていた。

ニューヨークに着き、別れた後も、ヘイリーさんの水色のカーディガンがいつまでも記憶に残っていた。

UVカットカーディガン(長袖)

女性らしさを大切に

女性らしい繊細なシルエットかつ、着やすさを追求した立体的なパターンが特徴です。中でもアームホールと袖山には気をつかいました。また、ベーシックでありながらトレンドも意識したネックラインは、何度も修正を重ねて完成した絶妙なデザインです。

ハイライズボトムにはカジュアルにタックインしてセーター感覚で、ウォッシュドデニムやリラックスドレスに羽織ってカジュアルに。きれい目なパンツに合わせてオフィスウェアとして。旅先で肌寒い時は肩がけなど、常に身近にある存在としてお役に立てるはずです。

UVカットカーディガン(長袖)
UVカットカーディガン(長袖)

ハイライズボトムにはカジュアルにタックインしてセーター感覚で、ウォッシュドデニムやリラックスドレスに羽織ってカジュアルに。きれい目なパンツに合わせてオフィスウェアとして。旅先で肌寒い時は肩がけなど、常に身近にある存在としてお役に立てるはずです。

寒いからではなく、
着る服があってもいいでしょ、
と彼女は言った。
わかる気がした。

松浦弥太郎
UVカットカーディガン(長袖)
091 WOMENUVカット
スーピマコットン
Vネックカーディガン
(長袖)
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LifeWear Story 100とは。

ユニクロには、
流行に左右されず、
けれども、決して古びることのない、
長い間、作り続けている普通の服がある。
品揃えの中では、
とても地味で目立たない存在である。
コマーシャルにもあまり出てこない。

それらは、ユニクロが、
もっと快適に、もっと丈夫に、
もっと上質であることを、
長年、愛情を込めて追求したものだ。

それらは、ユニクロの人格と姿勢が、
目に見えるかたちになったものであり、
丹精に育てているものだ。

昨日よりも今日を、今日よりも明日と。

手にとり、着てみると、
あたかも友だちのように、
その服は、私たちに、
こう問いかけてくる。

豊かで、上質な暮らしとは、
どんな暮らしなのか?
どんなふうに今日を過ごすのか?
あなたにとってのしあわせとは何か?と。

そんな服が、今までこの世界に、
あっただろうかと驚く自分がいる。

ユニクロのプリンシプル(きほん)とは何か?
ユニクロは、なぜ服を、
LifeWearと呼んでいるのだろう?
LifeWearとは、どんな服なのだろう?

ここでは、LifeWearの、
根っこを見る、知る、伝える。
そして、LifeWearと、自分にまつわる、
ストーリーを書いていきたい。

LifeWear Story 100は、
LifeWearと僕の、旅の物語になるだろう。

松浦弥太郎

松浦弥太郎
松浦弥太郎

エッセイスト、編集者。1965年東京生まれ。
2005年から15年3月まで、約9年間、創業者大橋鎭子のもとで『暮しの手帖』の編集長を務め、その後、ウェブメディア「くらしのきほん」を立ち上げる。現在は(株)おいしい健康の取締役に就任。数々のメディアで、高い審美眼による豊かで上質な暮らし提案に努めている。新聞、雑誌の連載の他、著書多数。ベストセラーに「今日もていねいに」「しごとのきほん くらしのきほん100」他多数。NHKラジオ第一「かれんスタイル」のパーソナリティとしても活躍。

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