100とは

ドライライトウェイトジャケット

ドライライトウェイトジャケット

青い羽の蝶

休日の朝、家族三人でブロンクス動物園へと出かけた。

僕はいつものデニムに白いシャツを着て、カーディガンのように軽い、薄手のジャケットを羽織った。初夏のニューヨークは心地よいあたたかさに満ちていた。

ブロンクス動物園は、世界で四番目に大きい動物園として知られている。アシャのお気に入りは、特設されたバタフライガーデンという、世界の珍しい蝶が放たれている施設だ。

大きくて、美しくて、ふわふわと自由に飛び回る蝶という存在は、自分のクリエーティブの原点だとアシャは僕に話した。

「蝶のようにゆったりと、そしてやさしく自由に空を舞うように人生を歩むってすてきよね。私は蝶のようでありたいの」

娘のニコの目の前を青い羽をした蝶が何かを誘うようにしてふわふわと飛んでいた。

ニコは蝶に導かれるようにして先へと歩いた。その方向には池があった。

「あ、そっちに行っては危ないからだめだよ」と僕が言うと「いいじゃない。蝶とニコが行きたいところへついていきましょうよ」とアシャは言った。

青い羽の蝶はバタフライガーデンを案内するかのようにニコの前をさらに飛んでいった。

「うん、そうだね」。

こんなふうにアシャは、起きたことを素直に受け入れ、その時の自分の直感を信じて生きてきた。

「もちろん良い時も、良くなかった時もある。けれども、ひとつも失敗はないし、すべて学びになってる。否定したり、拒否したりするのは簡単。でも私は、できるだけ受け入れたいの。目の前で起きていることに……」

なかなか自分ではそうできない僕は、そんな純粋なアシャが大好きだった。

アシャは「ナルニア国物語」という本をいつも手元に置いて読んでいた。小さい頃、おかあさんがよく読み聞かせをしてくれた本だという。今はその本を、自分がしてもらっていたように、娘のニコに読んで聞かせるのだった。

「『ライオンと魔女と衣装だんす』というストーリーがあってね、四人の兄弟がナルニア国に着いたとき、小鳥が四人を誘導するように目の前を飛んでいくシーンがあるの。兄弟は直感的にその小鳥の行くほうに歩くんだけど、兄弟の一人のエドマンドだけが、そんな鳥についていくのはダメだと反対するの。でもね、最終的にはその小鳥についていったおかげで、たくさんの出会いやすばらしいことが起きたのよ」

青い羽の蝶 ストーリーイメージ

僕はアシャがいつか話してくれたそんな言葉を思い出し、蝶についていくニコを見守った。

すると、バタフライガーデンの少し開けた場所のベンチに座っている女性の肩に、青い羽の蝶は羽を休ませるようにして止まった。

「蝶がここに止まったよ!」とニコが笑顔で言った。

ドライライトウェイトジャケット

カジュアルなジャケット

薄手なのにきちんときまる、ドライウェイトジャケットです。生地は軽くて着心地のよい、ストレッチ素材を使用。汗が乾きやすいドライ機能をプラスしているので、Tシャツや半袖シャツの上からサラッと羽織っても快適です。

今シーズンからデザインとフィットを一新。これまでのテーラードジャケット型から、よりカジュアルな着こなしやスタイリングを楽しめるシルエットに生まれ変わりました。ワークジャケットのディテールを参考にしたポケットの形状やダブルステッチの仕様など、こなれたデザインがポイントです。

ドライライトウェイトジャケット
ドライライトウェイトジャケット

今シーズンからデザインとフィットを一新。これまでのテーラードジャケット型から、よりカジュアルな着こなしやスタイリングを楽しめるシルエットに生まれ変わりました。ワークジャケットのディテールを参考にしたポケットの形状やダブルステッチの仕様など、こなれたデザインがポイントです。

ドライライトウェイトジャケット

奇跡の再会

ジャケットとシャツのすき間を、夏のそよ風が通り抜けていく。

「そのジャケットいいね。ほんとに気に入っているのね。いつも着ているし」と隣を歩くアシャは言った。

バタフライガーデンの蝶が舞う小道は、ほんとうに夢見な気分に浸れるすばらしい場所だ。

僕らを誘うように飛んでいった青い羽の蝶は、ベンチに座る女性の肩に止まっていた。

ニコが蝶に顔を近づけて、じっと見ていると、女性が気づいて、ぱっとこちらを振り返った。そして「こんにちは」とニコにあいさつをした。

「こんにちは。肩に蝶々が止まっているの」とニコが言うと、「あらまあ、なんてきれいな蝶々なんでしょう」と言った。すると、蝶はまたふわりと浮き上がって、どこかに飛んで消えていった。

僕らがニコのもとに歩み寄ると、「こんにちは。いい日ですね」と、女性は僕らにも挨拶をしてくれた。女性は五十代くらいで、品のよい真っ白なブラウスにロングスカートをはき、首には鮮やかな青いスカーフを巻いていた。

「あら、あなた……。飛行機で一緒だった、あなたじゃない?まあ、なんてすてきなんでしょう。またお会いできるなんて!」

女性はアシャの顔を見て言った。

「まあ、嬉しい。なんて不思議なの?またお会いできるなんて!」とアシャは驚いた。

アシャと女性は嬉しそうにハグをして、再会を喜びあった。

 

「あの後、私、あなたにどうしても、もう一度会いたいと思っていたのよ。けれども、連絡先を聞かなかったのであきらめかけていたの。だから、ほんとうに嬉しいわ」

女性の名はヘイリーと言い、シアトルでアパレル事業を営んでいて、どうやら仕事で訪れたパリからニューヨークへの飛行機で、隣に座ったアシャと出会ったらしい。

奇跡の再会 ストーリーイメージ

「実は、私もヘイリーさんのことをずっと考えていたんです。でもこうして偶然お会いできるなんてほんとうに奇跡のよう。ほんとにびっくりです……。青い蝶が引き合わせてくれたみたい……」

「私ね、あなたが飛行機の窓から空をずっと見つめながら話してくれた、これからの未来に向けた、あなたの夢が頭から離れなかったのよ」

ヘイリーさんは、アシャの手を握り、「あなたがわたしを救ってくれたのよ……」と言った。

ふと見上げると、さっきの青い蝶が高いところを舞うようにふわふわと飛んでいた。よく見ると、蝶の羽の色は、僕の着ているジャケットの色と同じだった。

ドライライトウェイトジャケット

大活躍の一着

リラックスシルエットが特徴ですが、ジャケットとしての品位を損なわないように何度もフィッティングを重ねたベストバランスが自慢です。ゆとりあるデニムと合わせた上品なカジュアルスタイルや、同色のパンツを選んでセットアップ、夏はショーツと合わせるのもおすすめです。

カーディガンやシャツの代わりに取り入れてみるのもアリ。休日のお出かけはもちろん、旅先での着用など、いろんなシーンでコーディネートを格上げしてくれるLifeWearです。

ドライライトウェイトジャケット

カーディガンやシャツの代わりに取り入れてみるのもアリ。休日のお出かけはもちろん、旅先での着用など、いろんなシーンでコーディネートを格上げしてくれるLifeWearです。

日常着として、
一番好きな服かもしれない。
いや、きっとそうだ。

松浦弥太郎
ドライライトウェイトジャケット
090 MENドライライト
ウェイトジャケット
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LifeWear Story 100とは。

ユニクロには、
流行に左右されず、
けれども、決して古びることのない、
長い間、作り続けている普通の服がある。
品揃えの中では、
とても地味で目立たない存在である。
コマーシャルにもあまり出てこない。

それらは、ユニクロが、
もっと快適に、もっと丈夫に、
もっと上質であることを、
長年、愛情を込めて追求したものだ。

それらは、ユニクロの人格と姿勢が、
目に見えるかたちになったものであり、
丹精に育てているものだ。

昨日よりも今日を、今日よりも明日と。

手にとり、着てみると、
あたかも友だちのように、
その服は、私たちに、
こう問いかけてくる。

豊かで、上質な暮らしとは、
どんな暮らしなのか?
どんなふうに今日を過ごすのか?
あなたにとってのしあわせとは何か?と。

そんな服が、今までこの世界に、
あっただろうかと驚く自分がいる。

ユニクロのプリンシプル(きほん)とは何か?
ユニクロは、なぜ服を、
LifeWearと呼んでいるのだろう?
LifeWearとは、どんな服なのだろう?

ここでは、LifeWearの、
根っこを見る、知る、伝える。
そして、LifeWearと、自分にまつわる、
ストーリーを書いていきたい。

LifeWear Story 100は、
LifeWearと僕の、旅の物語になるだろう。

松浦弥太郎

松浦弥太郎
松浦弥太郎

エッセイスト、編集者。1965年東京生まれ。
2005年から15年3月まで、約9年間、創業者大橋鎭子のもとで『暮しの手帖』の編集長を務め、その後、ウェブメディア「くらしのきほん」を立ち上げる。現在は(株)おいしい健康の取締役に就任。数々のメディアで、高い審美眼による豊かで上質な暮らし提案に努めている。新聞、雑誌の連載の他、著書多数。ベストセラーに「今日もていねいに」「しごとのきほん くらしのきほん100」他多数。NHKラジオ第一「かれんスタイル」のパーソナリティとしても活躍。

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