100とは

EZYアンクルパンツ

EZYアンクルパンツ

旅上手な母

笑われるかもしれないが、旅先で何か困るようなことがあった時、いつも思い浮かぶのは母の顔だ。

こんなとき、母ならどうするだろう?

そう自問して、これまで経験した旅先での様々なトラブルを乗り越えてきた自分がいる。

そういう機会は滅多にないけれど、もし母を誰かに紹介するとしたら。もしくは、母がどんな人なのかと説明するとしたら、僕はきっとこう話すだろう。

「料理が得意だけど、もっと得意なのは旅行です。旅行の準備、旅行の楽しみ方、旅行先の選び方など、旅行という名のつくものならば、母はどんなことでもきっと得意です」

僕自身、得意かどうかわからないが、旅行が好きであるのは間違いなく母の影響だ。

「旅を楽しむなら、その街の朝と夜を味わいなさい。ただの朝と夜ではなく、早朝と深夜ね。たとえば、朝は日の出の時間とか。夜は人が寝静まった深夜2時頃とか」

僕がまだ外国に行ったことがない頃、母は何かの話の流れで僕にこんなふうに話した。

「どんな街でも早朝の風景がいちばん美しいのよ。そして、そんな朝早い時間に触れることのできる人の営み。たとえば、朝ごはんを出す店のキッチンに上がる湯気とか、眠たい目をこすって仕事に行く人とか、あらゆるところに一日をはじめるための、朝の一所懸命があるのよ。夜は深夜まで仕事をした疲れた人が、家に帰る前に立ち寄るコーヒースタンドとか、普通の人が働いていない時間に働いている人の姿とか、深夜にしか見れない人の営みがあるし。おかあさんは外国に行くと、必ず早朝と深夜に街を散歩するの。人も車も少ないから、なんだか街を独り占めしてるような気分になって楽しいわ」

そう話しながら母は、いつかの旅の風景を思い出すように目をつむって微笑んだ。

「私の友だちのほとんどは旅先で出会った人ばかりよ。外国に行ったら、その街の人にできるだけ話しかけること。話しかけて知り合いになって友だちになるのよ」

家にはよく外国から母あての手紙が届いた。それは皆、旅で出会った友だちだと母は言った。英語が話せない母がどんなふうに人に話しかけ、どんなふうにその人たちと友だちなったのか不思議で仕方がなかった。

旅上手な母 ストーリーイメージ

「言葉は『Let’s』だけでなんとかなるのよ。おかあさんは、なんでも『一緒に』と笑顔で誘うの。そうすると、たいていの人は『O.K!』と言ってくれて、食事でも、散歩でも、買い物でも一緒に楽しんでくれるものよ。私のできる英語は『Let’s』と『Thank you』だけ。それで友だちになっちゃうの」

そう言って母は笑い転げた。

EZYアンクルパンツ

きちんと快適に

すっきり美脚なのにラクにはけるEZYアンクルパンツです。今季からは新たに開発した、厚さのある生地を採用。季節を問わずながく着用していただけるようになりました。

ウエストゴムは、パンツの生地に色を合わせているだけのように見えますが、ゴム自体に生地の糸を一緒に織り込んでいるので自然な統一感だけでなく高級感もあります。また、ゴムにカーブをつけて女性の身体のラインにほどよくフィットするように工夫。何度も試作を繰り返して生まれた自慢のディテールです。

EZYアンクルパンツ
EZYアンクルパンツ

ウエストゴムは、パンツの生地に色を合わせているだけのように見えますが、ゴム自体に生地の糸を一緒に織り込んでいるので自然な統一感だけでなく高級感もあります。また、ゴムにカーブをつけて女性の身体のラインにほどよくフィットするように工夫。何度も試作を繰り返して生まれた自慢のディテールです。

EZYアンクルパンツ

母の旅スタイル

僕がニューヨークで過ごしている時、一度だけ母が一人で突然訪ねてきたことがあった。

僕が風邪を引いて熱を出し、寝込んでいることを電話で伝えた数日後のことだ。

母曰く、友人に会うために、たまたまニューヨークに来たから、顔を見に来たということだった。

その日のニューヨークは大雪の日だった。しかも、母は両手に荷物を持っていた。

「はいこれ」と言って母は僕に荷物を手渡した。荷物を開けてみると、お餅がどっさりとあり、おせんべいといったお菓子や、インスタントみそ汁などが入っていた。

「お餅なんてこっちでは焼けないよ」と言うと、「大丈夫よ。はい、これも」と笑顔で言って、もうひとつの荷物を僕に手渡した。みるとそれはオーブントースターだった。

「なんでオーブントースターなんて持ってきたの?」と僕が驚くと、「あると助かるでしょ。これからも」と母は澄ました顔で答えた。

そして「じゃあね。私、用事あるから」と言ってそっけなく帰っていった。

僕はそんな母に呆気にとられて後ろ姿を見送った。母らしいといえばそうなのだが、母はきっと僕に会うためだけにニューヨークに来たに違いなかった。泊まっていたホテルの部屋で小さなオーブントースターで焼いたお餅を僕は涙を拭きながら食べた。

別れ際に母の後ろ姿を見たとき、やっぱりいつものパンツをはいていた。母には旅行をするときの定番の着こなしというか、スタイルがあったのだ。必ずはいていたのが、細身のくるぶし丈のパンツだ。

「旅行の時はこの動きやすいパンツがいいの。飛行機の中で楽だし、ネイビーとベージュの二着あれば、どんな服にも合うから便利。とにかく旅行では、このパンツを基準にして、持っていく服を選ぶといいのよ。パンツに合う靴、パンツに合うブラウス、パンツに合うジャケットというようにね」

そうなのだ。母から教わった知恵というか、服でもインテリアでも、何かを揃えるときのコツがここにある。

自分が気に入った「これ」というものを起点にして、それに合わせて他のものを選んでいく方法だ。そうすると、あまり悩まなくて済むし、旅では、とにかく持っていくものが増えずに助かるのだ。

母の旅スタイル ストーリーイメージ

僕は母に手紙を書いた。

「おかあさん、この前はありがとう。まさかニューヨークでお餅を焼いて食べれるとは思わなかったです。おいしかったです。おかげで風邪は治って熱も下がりました。けれどもあの日、おかあさんはどこに泊まったのですか?友だちのところですか?いつもの旅スタイルをしていたので、きっとニューヨークを楽しんだと思っています。いつもの『Let’s』で。ではまた……」

EZYアンクルパンツ

万能パンツとして

お尻部分のもたつきを解消して後ろ姿もきれいに、前後のバランスも修正してより美脚に見えるシルエットに生まれ変わりました。股部分も立体的にしてストレスフリーなはき心地。ベーシックからアクセントまで色柄豊富な展開も魅力です。

ブラウスにパンプスで通勤に使用したり、定番のスーピマTシャツとスニーカーを合わせて肩ひじ張らないスタイルなど幅広くコーディネートできるのがいちばんの魅力。すっきりシルエットと上品な素材感はどんなトップスとも相性抜群です。

EZYアンクルパンツ
EZYアンクルパンツ

ブラウスにパンプスで通勤に使用したり、定番のスーピマTシャツとスニーカーを合わせて肩ひじ張らないスタイルなど幅広くコーディネートできるのがいちばんの魅力。すっきりシルエットと上品な素材感はどんなトップスとも相性抜群です。

アンクルパンツから、
コーディネートを選べば、
いつもバッチリ。
私らしさが出来上がり。

松浦弥太郎
EZYアンクルパンツ
089 WOMENEZY
アンクルパンツ
(丈標準66~68cm)
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LifeWear Story 100とは。

ユニクロには、
流行に左右されず、
けれども、決して古びることのない、
長い間、作り続けている普通の服がある。
品揃えの中では、
とても地味で目立たない存在である。
コマーシャルにもあまり出てこない。

それらは、ユニクロが、
もっと快適に、もっと丈夫に、
もっと上質であることを、
長年、愛情を込めて追求したものだ。

それらは、ユニクロの人格と姿勢が、
目に見えるかたちになったものであり、
丹精に育てているものだ。

昨日よりも今日を、今日よりも明日と。

手にとり、着てみると、
あたかも友だちのように、
その服は、私たちに、
こう問いかけてくる。

豊かで、上質な暮らしとは、
どんな暮らしなのか?
どんなふうに今日を過ごすのか?
あなたにとってのしあわせとは何か?と。

そんな服が、今までこの世界に、
あっただろうかと驚く自分がいる。

ユニクロのプリンシプル(きほん)とは何か?
ユニクロは、なぜ服を、
LifeWearと呼んでいるのだろう?
LifeWearとは、どんな服なのだろう?

ここでは、LifeWearの、
根っこを見る、知る、伝える。
そして、LifeWearと、自分にまつわる、
ストーリーを書いていきたい。

LifeWear Story 100は、
LifeWearと僕の、旅の物語になるだろう。

松浦弥太郎

松浦弥太郎
松浦弥太郎

エッセイスト、編集者。1965年東京生まれ。
2005年から15年3月まで、約9年間、創業者大橋鎭子のもとで『暮しの手帖』の編集長を務め、その後、ウェブメディア「くらしのきほん」を立ち上げる。現在は(株)おいしい健康の取締役に就任。数々のメディアで、高い審美眼による豊かで上質な暮らし提案に努めている。新聞、雑誌の連載の他、著書多数。ベストセラーに「今日もていねいに」「しごとのきほん くらしのきほん100」他多数。NHKラジオ第一「かれんスタイル」のパーソナリティとしても活躍。

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