100とは

エクストラファインメリノリブタートルネックセーター(長袖)

エクストラファインメリノリブタートルネックセーター(長袖)

一人の朝

その日もいつものように、眩しい朝の日差しと、朝独特なニューヨークの喧騒が、ベッドの中で丸くなって眠る僕を起こしてくれた。

ベッドから起きると、冷え込んだ部屋の空気のせいで体がぶるっと震えた。「もう冬だ」とつぶやいた。

パジャマにカーディガンをはおり、ソックスをはき、キッチンに行ってお湯を沸かした。
昨日の夜買ったコーヒー豆の包みを開けると、グァテマラコーヒーのいい香りが漂った。木製のスプーンで二杯分の豆をすくい、コーヒーミルに入れ、ハンドルをがりがりと回して豆を挽いた。起きたばかりで力が入らず、ハンドルを回すのに苦労していると、「もっとしっかり回さないと!」と、よくアシャに叱られたのを思い出した。

いつもはアシャの分のマグカップも用意するのだが今朝は一人だから、マグカップをひとつ棚から取り出し、沸いたお湯を注いで、マグカップをあたためた。アシャが教えてくれたコーヒーをおいしく飲むためのコツのひとつだった。

ペーパーフィルターをしっかり折り、ドリッパーにセットし、挽いたコーヒー豆を入れ、ドリッパーをコーヒーポットに載せ、ゆっくりとお湯を回しながら注ぐ。コーヒーのいい香りの湯気がふわふわと上がり、この頃やっと、それまで寝ぼけまなこだった僕は、完全に目が覚めた気分になる。

コーヒーポットから、マグカップにコーヒーを注ぎ、窓辺のテーブルに置く。椅子に座るのと同時に、アシャはいつも「おはよう」と言った。僕も「おはよう」と答える。そして、コーヒーをひとくち飲んで、僕らは「おいしい」とほぼ同時に言う。

今朝は一人で「おはよう」とつぶやいた。

今日の午後、アシャはパリに旅立つ。しばらく会うことがなくなる最後の夜。僕らはあえて一緒に過ごすことをせず、それぞれ一人で、自分のアパートで朝を迎えた。

「準備もあるし、一緒だとあなたに甘えてしまいそうで自分がこわい。気持ちは変わらないけれど、目の前にあなたがいるとつらくなるわ。だから、今日は一人になりましょう」

アシャはそういって、僕の頬にキスをした。

「明日は午後二時にレネーさんが車で迎えに来てくれるから、その時間にあなたも来て。一緒に空港まで行きましょう」

「うん。わかった。そうしよう」

僕はアシャにハグをして、昨夜自分のアパートに戻った。

一人の朝 ストーリーイメージ

コーヒーを飲みながら、僕は、これまでアシャと過ごしたニューヨークの日々のことをぼんやりと思い出した。

テーブルの向かいに置かれた椅子の背には、アシャが子どもの頃から着ていたパーカーがかかっていた。

「いいわ。このパーカーをあなたに預けていく。大切に持っていてね」

昨夜アシャは、笑いながらそういって、別れ際に、僕のバッグの中にパーカーを押し込んだ。

エクストラファインメリノリブタートルネックセーター(長袖)

こだわりのフォルム

ウールの中でも特に上質な19.5マイクロンの極細メリノウールを100パーセント使用した、エクストラファインメリノリブタートルネックセーターです。こだわりは基本設計から見直した立体的なシルエット。

定番だからこそ毎年改良を重ねてたどり着いた自慢のフォルムです。たとえば、着用したときに首が前に倒れることで肩と襟がきれいなラインを描く、ボディラインを拾いすぎずにタテに長い印象をつくるなど、自然体で美しい着用感を実現しました。

エクストラファインメリノリブタートルネックセーター(長袖)

定番だからこそ毎年改良を重ねてたどり着いた自慢のフォルムです。たとえば、着用したときに首が前に倒れることで肩と襟がきれいなラインを描く、ボディラインを拾いすぎずにタテに長い印象をつくるなど、自然体で美しい着用感を実現しました。

エクストラファインメリノリブタートルネックセーター(長袖)

アシャのニット

アシャから、出発までに間に合うようにと、お願いされていたことがあった。

それはいつか僕がブルックリンのアンティークマーケットで手に入れた、ペンダントトップにチェーンをつけて、パリのお守りとして持たせてほしいということだった。

ペンダントトップは、ビーチグラスの小さな破片をシルバーの枠でまとめた40年代のアンティークだった。光にかざすとブルーやグリーンのビーチグラスが、きらきらときらめくアシャのお気に入りだった。

僕は47丁目の貴金属業者が集まる、通称ダイヤモンドストリートで働く友人に頼んで、ビーチグラスのペンダントトップにぴったりと合うシルバーチェーンを選んでもらった。

「アシャが身につけるならチェーンは細いほうがいい。ペンダントトップも小さいから」

そういった友人は、チェーンの細さや長さをアシャに合わせて見立ててくれた。

「このタートルニットに合わせたらきっとすてきだと思うの」

アシャはお気に入りの白いタートルニットを僕に渡して、この服に合うように、チェーンを選んで欲しいといった。

タートルニットをテーブルに広げて、ネックレスを首にかけてみた。アシャの言う通り、白いニットと色鮮やかなビーチグラスのバランスはぴったりだった。繊細なシルバーチェーンもエレガントでこれならアシャも気に入ると思った。

出来上がったネックレスは、せっかくだからと友人が用意してくれたギフトボックスにおさめて、あとはアシャに渡すだけになっていた。もちろん、預かっていたタートルニットも一緒に。

アシャのニット ストーリーイメージ

ラジオをつけると、今日の天気は晴れ。気温は10度を下回るが、一日中、青空が広がると天気予報がいっていた。

僕は、昨日コーヒーと一緒に買ったシナモンロールを包みから出して小さな皿にきちんと置いた。

付き合いはじめの頃、破いた包みをお皿代わりにしてしまう僕を見て、「どんなものでも、ちゃんとお皿に置いて食べるとおいしいのよ」と僕に教えてくれたのはアシャだった。

僕は二杯目のコーヒーを飲んで、シナモンロールをひとくち食べた。いつもなら「どう?おいしい?」と聞いてくれるアシャがいたのが当たり前だった。

白いタートルニットにネックレスをしたアシャの姿を思い浮かべて、僕はシナモンロールをもうひとくち食べた。

時間が止まってほしかった。

エクストラファインメリノリブタートルネックセーター(長袖)

日々に寄り添う機能

素肌の上からの着用が多いことを想定し、ご家庭の洗濯機で洗えるマシンウォッシャブル仕様に仕上げました。通常のウールニットよりも毛玉ができにくいように特殊な加工をプラスしたことで、上質な質感をキープします。また、鮮度のあるトレンドカラーに加え、14色の迫力あるカラーバリエーションをご用意。インナーとしても1枚で着用いただいても存在感を発揮する明るめの発色が魅力です。

お仕事に、タウンユースに、そしてアウトドアアクティビティから旅先まであらゆるシーンに寄り添うLifeWearです。

エクストラファインメリノリブタートルネックセーター(長袖)
エクストラファインメリノリブタートルネックセーター(長袖)

お仕事に、タウンユースに、そしてアウトドアアクティビティから旅先まであらゆるシーンに寄り添うLifeWearです。

シンプルって、
いちばんいいこと。
エレガンスって、
いちばん好きなこと。

松浦弥太郎
エクストラファインメリノリブタートルネックセーター(長袖)
071 WOMENエクストラ
ファインメリノリブ
タートルネック
セーター
(長袖)
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LifeWear Story 100とは。

ユニクロには、
流行に左右されず、
けれども、決して古びることのない、
長い間、作り続けている普通の服がある。
品揃えの中では、
とても地味で目立たない存在である。
コマーシャルにもあまり出てこない。

それらは、ユニクロが、
もっと快適に、もっと丈夫に、
もっと上質であることを、
長年、愛情を込めて追求したものだ。

それらは、ユニクロの人格と姿勢が、
目に見えるかたちになったものであり、
丹精に育てているものだ。

昨日よりも今日を、今日よりも明日と。

手にとり、着てみると、
あたかも友だちのように、
その服は、私たちに、
こう問いかけてくる。

豊かで、上質な暮らしとは、
どんな暮らしなのか?
どんなふうに今日を過ごすのか?
あなたにとってのしあわせとは何か?と。

そんな服が、今までこの世界に、
あっただろうかと驚く自分がいる。

ユニクロのプリンシプル(きほん)とは何か?
ユニクロは、なぜ服を、
LifeWearと呼んでいるのだろう?
LifeWearとは、どんな服なのだろう?

ここでは、LifeWearの、
根っこを見る、知る、伝える。
そして、LifeWearと、自分にまつわる、
ストーリーを書いていきたい。

LifeWear Story 100は、
LifeWearと僕の、旅の物語になるだろう。

松浦弥太郎

松浦弥太郎
松浦弥太郎

エッセイスト、編集者。1965年東京生まれ。
2005年から15年3月まで、約9年間、創業者大橋鎭子のもとで『暮しの手帖』の編集長を務め、その後、ウェブメディア「くらしのきほん」を立ち上げる。現在は(株)おいしい健康の取締役に就任。数々のメディアで、高い審美眼による豊かで上質な暮らし提案に努めている。新聞、雑誌の連載の他、著書多数。ベストセラーに「今日もていねいに」「しごとのきほん くらしのきほん100」他多数。NHKラジオ第一「かれんスタイル」のパーソナリティとしても活躍。

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