100とは

エアリズムインナー

エアリズムインナー

人を好きになるとは

まぶしい陽射しに目を細めて、アシャは麦わら帽子を被り直した。

「わたし、今付き合っている人と別れることにする……」

アシャはそう言って、地面に落ちていた木の枝を拾ってベェルヴェデール・キャッスルの池に投げ入れた。

「今夜、彼に会って話してくる。これはわたしの問題だから、あなたは気にしないで。いずれ、こうなると思っていたんだもん。実は、こうしてあなたと会っていることに、心から楽しく思えない自分がいるの。それはきっとわたしには付き合っている彼がいるってことが理由だと思う。今日あなたと会うことを彼に伝えてあっても、なんだか嘘をついているような気分は拭えないわ」

僕はアシャの話を黙って聞いていた。

「だから、今日のデートはここまでにしましょう。わたしは自分の問題を解決する。それからもう一度あなたとのことをよく考えてみる。気持ちがもやもやしながら、あなたと一緒にいるのは申し訳ないから」

アシャは麦わら帽子を脱いで、満面の笑顔を僕に向けた。鼻のまわりのそばかすがキラキラして見えた。

「今日はありがとう。お弁当おいしかったし、あなたのすてきな夢を話してくれて嬉しかったわ。ここで別れましょう。じゃあね」

「うん、わかった。僕こそありがとう……」

僕は「アシャのことが好きだ」という自分の気持ちを、きちんと言葉にして伝えたかった。けれども、小走りしてアシャが去っていったので、声をかけるタイミングを逃してしまった。小さくなっていく彼女の後ろ姿を見つめることしかできなかった。

嬉しいような悲しいような気持ちで、僕はセントラルパークの小道を歩いた。夜、アシャに電話してみようか? いや、アシャから電話がかかってくるのを待ったほうがいいのか? 明日の朝「コーヒーショップ」に行って、彼とはどうなったのか聞こうか? そんなことをあれこれと考えていたら、いつの間にかセントラルパークウエスト通りに出ていた。

人を好きになるとは ストーリーイメージ

胸が苦しくなるほどアシャに対する気持ちが高まっていくのを、自分の心の中に感じていた。

こんなふうに苦しくなるほど、人を好きになったのははじめてかもしれない。人を好きになるって、こんなに苦しいことだっけ? こんなにドキドキすることだったっけ?

アパートに戻った僕は、アシャが頭をのせていた膝のあたり、そして、アシャの髪をさわった自分の指、アシャが腕をからませたシャツの袖に、アシャのほのかな香りが残っていることに気づいた。さらに胸がキュンと苦しくなった。

「苦しいな」とつぶやいた。

エアリズムインナー

365日の快適機能

ユニクロが誇るエアリズムインナーは、“夏を気持ちよく”から“1年を通して快適”に進化しました。吸放湿性をもつ植物由来のキュプラ繊維を使用した生地は、汗を吸収し、拡散することで衣服内環境を快適にコントロールし、なめらかでやわらかな肌ざわり。また、特殊な加工が衣服についた汗などのにおいを吸着、中和して消臭。洗濯を繰り返しても消臭効果が持続します。

さらに体の動きにフィットするストレッチ、涼しくサラサラな肌ざわりが続く接触冷感とドライ機能、雑菌の繁殖を防ぐ抗菌防菌などの機能が満載です。

エアリズムインナー
エアリズムインナー

さらに体の動きにフィットするストレッチ、涼しくサラサラな肌ざわりが続く接触冷感とドライ機能、雑菌の繁殖を防ぐ抗菌防菌などの機能が満載です。

エアリズムインナー

もっと楽に

丸一日経っても、アシャから連絡は無かった。僕はセントラルパークで一緒に撮った写真を現像し、その中で一番アシャがすてきに映っている写真を選んで持ち歩いた。そして、一緒にお弁当を食べたひとときを思い出していた。

お弁当を食べ終わった時、「暑いから脱いじゃお」と言って、アシャは着ていたレーヨンのブラウスを脱いで、キャミソール一枚になった。

小麦色の肌をしたアシャの素肌を間近で見た僕は目のやり場に困った。

キャミソールの胸元に、糸のように細いシルバーチェーンのネックレスが見えた。ネックレスには星のペンダントトップがぶら下がっていた。

アシャは猫のようにしなやかな動きで、座っていた体制を変えて、僕の体に背中をあててよりかかった。

そして、「あなたもわたしに寄りかかってもいいよ」と言った。

「わたしって小さい頃からこんなふうに体をつけて寄りかかるのが好きだったのよね。まるで犬とか猫みたいに。家族や好きな人の体に、自分の体のどこかがちょっとでもくっついていれば落ち着くというか、安心するの。変でしょ」

肩から外れたキャミソールの肩紐を気にせずにいるアシャのナチュラルなスタイルは、セクシーさよりも、すごく健康的に見えた。

「エチオピアはニューヨークよりも暑いから、昼間はいつもこんなふうに木陰で昼寝するのよ。友だち同士のこともあれば、恋人とだったり、必ず誰かと一緒にくつろぐの」

「あなたもシャツを脱げば? 涼しくなって気持ちいいわよ!」

アシャはそう言って、僕が着ているリネンシャツのボタンを外そうとした。

「大丈夫、大丈夫。僕はこのままでいいよ」

僕はあわてて外されたボタンをはめ直した。

「日本人は、どうしていつもそんなふうにきちんとしてるの? エチオピア人はとにかくリラックスするのが好きだから、着ているものはどんどん脱いじゃうのよ。気にせず、もっと楽に生きればいいのに!」

アシャのスキンシップにドギマギする僕を見て、アシャは大笑いしながら言った。

もっと楽に ストーリーイメージ

アパートの部屋で、僕はコーヒーを飲みながら、アシャとのそんなやり取りをぼんやりと思い出していた。

そうしていたら電話のベルが鳴った。アシャかもしれない。そう思って受話器を取った。

「もしもし……わたし」

受話器の奥からアシャの声が聞こえた。

エアリズムインナー

着やすさへのこだわり

キャミソール、UネックTシャツとともに、ネックラインを深めに設定。胸元の開いたアウターやシャツのボタンを開いても見えにくいように改良しました。また、身幅を広くして身体のラインが出過ぎないフィットにすることで、動いたときのずり上がりも軽減。軽量化したことで、もたつきのない快適な着心地を実現しました。

汗ばむ季節だけでなく、意外と気になる秋冬のムレ、寒暖差にも対応する次世代のスマートインナーです。

エアリズムインナー

汗ばむ季節だけでなく、意外と気になる秋冬のムレ、寒暖差にも対応する次世代のスマートインナーです。

毎日着たいと思うのは、
不思議なくらいに、
安心感があるから。

松浦弥太郎
049WOMENエアリズム
キャミソール
閉じる

LifeWear Story 100とは。

ユニクロには、
流行に左右されず、
けれども、決して古びることのない、
長い間、作り続けている普通の服がある。
品揃えの中では、
とても地味で目立たない存在である。
コマーシャルにもあまり出てこない。

それらは、ユニクロが、
もっと快適に、もっと丈夫に、
もっと上質であることを、
長年、愛情を込めて追求したものだ。

それらは、ユニクロの人格と姿勢が、
目に見えるかたちになったものであり、
丹精に育てているものだ。

昨日よりも今日を、今日よりも明日と。

手にとり、着てみると、
あたかも友だちのように、
その服は、私たちに、
こう問いかけてくる。

豊かで、上質な暮らしとは、
どんな暮らしなのか?
どんなふうに今日を過ごすのか?
あなたにとってのしあわせとは何か?と。

そんな服が、今までこの世界に、
あっただろうかと驚く自分がいる。

ユニクロのプリンシプル(きほん)とは何か?
ユニクロは、なぜ服を、
LifeWearと呼んでいるのだろう?
LifeWearとは、どんな服なのだろう?

ここでは、LifeWearの、
根っこを見る、知る、伝える。
そして、LifeWearと、自分にまつわる、
ストーリーを書いていきたい。

LifeWear Story 100は、
LifeWearと僕の、旅の物語になるだろう。

松浦弥太郎

松浦弥太郎
松浦弥太郎

エッセイスト、編集者。1965年東京生まれ。
2005年から15年3月まで、約9年間、創業者大橋鎭子のもとで『暮しの手帖』の編集長を務め、その後、ウェブメディア「くらしのきほん」を立ち上げる。現在は(株)おいしい健康の取締役に就任。数々のメディアで、高い審美眼による豊かで上質な暮らし提案に努めている。新聞、雑誌の連載の他、著書多数。ベストセラーに「今日もていねいに」「しごとのきほん くらしのきほん100」他多数。NHKラジオ第一「かれんスタイル」のパーソナリティとしても活躍。

閉じる閉じる