100とは

ハイライズシガレットジーンズ

ハイライズシガレットジーンズ

深夜のカフェで

電話口でのアシャの声は沈んでいた。

「こんな時間だけど、これから会える?」

アシャは息を詰まらせるようにして言った。時計の針は深夜1時を過ぎていた。

「うん、もちろん。1時間後に7丁目の『カフェテリア』で会おう」

「カフェテリア」は24時間営業のカフェレストランで、ニューヨーカーに人気の店だった。この店のシェフは古い料理本のコレクターで古書仲間の一人だ。決して安い店ではないけれど、深夜に出かけるなら知り合いのいる店が安心だった。

「30分で行ける。早く会いたい……」

「うん、わかった。じゃあ、30分後に」

「ありがとう。あとでね」

電話を切った僕は急いで身支度をした。アシャの気持ちはわからないが、「早く会いたい」と言われたら、僕も彼女に早く会いたくなった。アパートの部屋を出ると、こんな時にかぎってエレベーターが故障していた。僕は非常階段を走って降りた。

外に出ると街はがらんとしていた。地下鉄で行こうか、タクシーに乗ろうか、ポケットには50ドル。ブロードウェイを見渡すと一台のタクシーが停まっていた。運転手に「7丁目の『カフェテリア』まで5ドルで乗せてくれませんか?」と言うと、「何があった?」と聞かれた。「恋人に急いで会いに行く」と答えた。運転手はにっこりと笑って、「乗れよ」と言って僕を乗せてくれた。

とっさに出た言葉だが、アシャのことを恋人と言ったことに僕は照れた。

タクシーはものすごいスピードでブロードウェイを疾走した。流れゆく深夜のニューヨークの景色をぼんやりと眺めながら、まだ電気が点いている部屋を見つけると、こんな時間なのに、まだ眠っていない人がいるんだと想像して、なんだかせつない気持ちになった。ニューヨークは夜の街という顔もあるけれど、僕にとっては誰もが明日のために必死に働く街というイメージが強かった。

「兄ちゃん3ドルに負けてやるよ。彼女にアップルパイでも買ってやんな。泣かせるなよ」

「カフェテリア」の目の前に車を停めたタクシーの運転手は、にっこりと笑いながらそう言って僕に2ドルを返した。

「ありがとうございます」と言って頭を下げると、運転手は手をひらひらとさせて、車を出した。

深夜のカフェで ストーリーイメージ

深夜の「カフェテリア」は、バーやクラブ帰りのきらびやかな服を着た客でにぎわっていた。ウエイターに「人と待ち合わせしています」と言うと、勝手に探せと言わんばかりに頷かれ、薄暗い客席を見渡すと、一番端の席にアシャが座っているのが見えた。一人ではなかった。

ハイライズシガレットジーンズ

新感覚のシルエット

ロサンゼルスにユニクロが設立した「ジーンズイノベーションセンター」で誕生したシガレットジーンズ。最大の魅力はシルエット。

全体のフィットはスキニー、シルエットはストレートで仕上げ。そして膝下からのストレートなデザインが、一般的なスキニーよりも脚の形をきれいにカバー。ふくらはぎの締め付けがないので、どんな女性の脚も細く、美しく見せてくれます。さらにウエストはハイライズで脚長効果も抜群です。

ハイライズシガレットジーンズ

全体のフィットはスキニー、シルエットはストレートで仕上げ。そして膝下からのストレートなデザインが、一般的なスキニーよりも脚の形をきれいにカバー。ふくらはぎの締め付けがないので、どんな女性の脚も細く、美しく見せてくれます。さらにウエストはハイライズで脚長効果も抜群です。

ハイライズシガレットジーンズ

やっと会えた人

アシャと一緒にいるのは男性だった。テーブルの前に着くと、アシャは僕に気がついて椅子から立ち上がった。

「夜中に呼び出しちゃってごめんなさい……」

「ううん。大丈夫だよ。座ってもいいかな?」

テーブルにつくと、男性が僕に手を差し出して「はじめまして。アシャと付き合っているハリーです」と自己紹介した。僕は彼の手を握って「こちらこそはじめまして」と言った。「すみません。あなたに会いたかっただけです。すぐに帰りますから安心してください」と彼は言った。

彼は僕に対して、きちんとした礼儀を持って接してくれて、とても好印象だった。

「ごめんなさい。今日わたしは彼に別れたいと言ったの。なぜなら好きな人ができたからと。そうしたら、私が好きになった人がどんな人なのか教えてくれないと納得できないと彼が言って……」

「さあ、僕は帰るよ。お役御免だ。ほんとは何か言ってやって帰ろうと思ったんだけど。握手をしたら彼が決して悪い人間ではないことがわかったよ。いやな気持ちにさせて悪かった」

「ありがとう、ハリー」

アシャと彼は立ち上がってしっかりとハグをした。そして彼は、近くのウエイターにお札を数枚渡して、後ろを振り向かずに立ち去っていった。

やっと会えた人 ストーリーイメージ

「ほんとごめんね…。あなたのことを話さずにはいられなくて。でも、彼があなたを見て、わたしの気持ちを理解してくれたからよかった……。彼はあんなふうに真面目そうだけど女性問題がいろいろあって、わたしは彼にとって絶対に必要な女性だと思えなくなっていたの。別にわたしじゃなくてもいいんじゃないかと。理由はわからないけれど、これから先、あなたにはわたしが絶対に必要な気がするの。そして、わたしにもあなたが絶対に必要な気がするの……。あなたの夢をかなえるにはわたしが。わたしの夢をかなえるにはあなたが……。そう信じれる何かをあなたに感じたのよ。こんな寂しい大都会でそう思える人にやっと出会えたと思ったの」

アシャは目に涙を浮かべながら言った。

「オーダーは何にしますか?」とウエイターが声をかけてきた。

「ごめんなさい。すぐに出ます」と僕は答え、アシャの手を引いて店を出た。細いジーンズにヒールをはき、Tシャツ姿のアシャは、普段に比べ、シンプル過ぎるくらいシンプルな着こなしだったけれど、なぜだか一段とすてきだった。

僕はタクシーを拾い、自分のアパートにアシャを連れて帰った。

「明日の仕事は何時から?」と聞くと「お休み!」とアシャは答えて微笑んだ。

ハイライズシガレットジーンズ

快適な本格派

生地は、世界でも名高い日本のデニムメーカー「カイハラ」と共同開発した上質で柔らかなコンフォートストレッチデニムを使用。伸縮率は30%でよく伸び、ラクにはいていただけます。

また、ステッチやボタンなど本格的なディテールにもこだわりました。リジッドはもちろん、ヴィンテージデニムを参考にしたウォッシュ加工のバリエーションも幅広くご用意。休日はスニーカー、夜はヒールを合わせて。デイリーでのワードローブにおすすめしたい自信作です。

ハイライズシガレットジーンズ
ハイライズシガレットジーンズ

また、ステッチやボタンなど本格的なディテールにもこだわりました。リジッドはもちろん、ヴィンテージデニムを参考にしたウォッシュ加工のバリエーションも幅広くご用意。休日はスニーカー、夜はヒールを合わせて。デイリーでのワードローブにおすすめしたい自信作です。

着心地のよい
Tシャツのような
ジーンズです。

松浦弥太郎
ハイライズシガレットジーンズ
050WOMENハイライズ
シガレット
ジーンズ
(丈標準70cm)
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LifeWear Story 100とは。

ユニクロには、
流行に左右されず、
けれども、決して古びることのない、
長い間、作り続けている普通の服がある。
品揃えの中では、
とても地味で目立たない存在である。
コマーシャルにもあまり出てこない。

それらは、ユニクロが、
もっと快適に、もっと丈夫に、
もっと上質であることを、
長年、愛情を込めて追求したものだ。

それらは、ユニクロの人格と姿勢が、
目に見えるかたちになったものであり、
丹精に育てているものだ。

昨日よりも今日を、今日よりも明日と。

手にとり、着てみると、
あたかも友だちのように、
その服は、私たちに、
こう問いかけてくる。

豊かで、上質な暮らしとは、
どんな暮らしなのか?
どんなふうに今日を過ごすのか?
あなたにとってのしあわせとは何か?と。

そんな服が、今までこの世界に、
あっただろうかと驚く自分がいる。

ユニクロのプリンシプル(きほん)とは何か?
ユニクロは、なぜ服を、
LifeWearと呼んでいるのだろう?
LifeWearとは、どんな服なのだろう?

ここでは、LifeWearの、
根っこを見る、知る、伝える。
そして、LifeWearと、自分にまつわる、
ストーリーを書いていきたい。

LifeWear Story 100は、
LifeWearと僕の、旅の物語になるだろう。

松浦弥太郎

松浦弥太郎
松浦弥太郎

エッセイスト、編集者。1965年東京生まれ。
2005年から15年3月まで、約9年間、創業者大橋鎭子のもとで『暮しの手帖』の編集長を務め、その後、ウェブメディア「くらしのきほん」を立ち上げる。現在は(株)おいしい健康の取締役に就任。数々のメディアで、高い審美眼による豊かで上質な暮らし提案に努めている。新聞、雑誌の連載の他、著書多数。ベストセラーに「今日もていねいに」「しごとのきほん くらしのきほん100」他多数。NHKラジオ第一「かれんスタイル」のパーソナリティとしても活躍。

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