100とは

リラコ

リラコ

リラックスできる服

「あなたって人がどんな人か、なんとなくわかったわ……」

座っている僕の膝に頭をのせたアシャがつぶやいた。

「なんとなく……ね」

なんて答えたらいいのか戸惑っていると、アシャは僕を見て、「あなたは私がどんな人かわかった?」と聞いた。

「……アシャは家族が好きなんだね。一番大切なのはお父さん。次にお母さん。アシャのお弁当を食べていたらそんなふうに感じたよ。」

「あたり! どうして私が父を好きなのがわかったの?」

「だって、僕を見て、ここが父に似ているとか、父はこうしていたとか、いつも話してくれるからさ」

「そっか。私をニューヨークに移した父のことを怒っていた時期もあったけれど、よく考えてみれば、私を一番愛してくれていた証拠だとわかったの。エチオピアに居ても、私の夢はきっとかなわないもん。ニューヨークで自立することは大変だけど、その分、チャンスも可能性も大きいわ。夢も見れるし」

「アシャの夢って何?」

アシャのカールした髪を指でさわりながら聞いた。

「私の夢は、ここニューヨークで暮らすたくさんの女性のために、気持ちも体もリラックスできる、それでいてエレガンスでシンプルな服を作りたいの。見て、今日私がはいているパンツは、エチオピアの民族衣装をヒントにして自分で作ったものよ」

アシャはピンク色のブラウスの下に、ストライプ柄のコットン素材で、ゆったりとしたくるぶし丈のパジャマのようなパンツをはいていた。

「すてきだね。ほんとに着心地が良さそう。そして、よく似合っている」

「ありがとう。このパンツは部屋着ふうなんだけど、今日みたいなピクニックにはほんとに楽なの。レストランには行けないけどね」

アシャはそう言って笑った。

リラックスできる服 ストーリーイメージ

「決してセクシーな服ではないから、デートにはどうかと思うけれど、わたしはセクシーな服を着て、男性に会うのはどうも苦手。それはそれで問題だけど。だって男の人はセクシーな服のほうが好きでしょう?」

「たしかにセクシーな服を着ている女性は魅力的に見える。けれど、今日みたいな日に着てこられると困っちゃうよ。今日のアシャの着こなしは、女性らしくもあり、上品で、しかも一緒にいる僕もリラックスできる感じというのかな。とっても好きだよ」

アシャは目を閉じて、僕の膝にキスをした。

「ありがとう。今日はほんとにいい日だわ。ずっとこうしていたいな」

アシャはそう言って、僕の手を握った。

リラコ

涼しい夏の服

しなやかでなめらか、肌を滑るような感触が気持ちいい夏のLifeWearです。素材はドレープ感が魅力のレーヨン100パーセント。清涼感たっぷりのはき心地を追求しました。

ゴム仕様のウエストにはリボンをつけることで、腰の位置が自由に調整可能に。締め付け感のない心地よいフィットが自慢です。デザインはトレンドのワイドシルエット。お部屋だけでなく外出着としても使えるようにデザインしました。

リラコ
リラコ

ゴム仕様のウエストにはリボンをつけることで、腰の位置が自由に調整可能に。締め付け感のない心地よいフィットが自慢です。デザインはトレンドのワイドシルエット。お部屋だけでなく外出着としても使えるようにデザインしました。

リラコ

家族が大事

「アシャが好きな人のタイプってどんな人?」

「私はとてもかんたんでシンプル。なによりも家族を大事にしている人が好き。どんなに才能があったり、どんなにかっこよかったり、どんなに社会的地位が高くても、家族を大事にしていない人って、どうしても好きになれない。すてきに見えても、家族をないがしろにしている人ってだめね。あなたはどんな女性がタイプなの?」

「なんだか、嘘っぽく聞こえるかもしれないけれど、アシャと一緒だよ。僕も家族を大事にしている人が好き。家族愛って言うのかな。家族を大事にするって、他人に対する思いやりや気遣い、助け合いや支え合いのきほんだと思うんだ。家族は小さな社会だからね」

「ほんとそう。私たち好きなことが一緒ね。私はあなたが家族を大事にしていることがすぐにわかったわ。だから、もっとあなたのことが知りたいと思ったの。そうそう、あなたの夢は何?」

「僕の夢は……。日本語に『親孝行』という言葉がある。要するに、両親を助け、両親をいたわり、両親を安心させ、両親を喜ばせることなんだけど、その『親孝行』が夢。これって、簡単そうでとっても難しい。今みたいに日本を離れていると『親孝行』はできないし、近くにいたとしても、何かしてあげられるかというと、未熟な自分には、まだそんなにちからもないし。僕の家は裕福ではなく、経済的にとても苦労をしながら、両親は僕を育ててくれたんだ。だから、仕事を頑張って、たくさんお金を稼いで、早く両親を楽にさせてあげたい。自分自身のやりたいことはいくらでもあるけれど、それはすべて『親孝行』のためなんだ。お金が欲しい。なぜなら、『親孝行』したいから」

「うん。よくわかる。私も似てる。ほんとに私たちって似たもの同士ね。でもね、お金が無ければ『親孝行』できないかというと、そうではないと思うわ。お金が無くても『親孝行』できることはある。あなたが家族を大事にして、『親孝行』したいと思っていること自体がすでに『親孝行』だと私は思うし」

寝転がっていたアシャは体を起こして、そう言った。そして、にっこり笑って、僕の目を見つめた。

家族が大事 ストーリーイメージ

「ねえ、二人で写真を撮ろうよ。その写真を私たち家族に送ろうよ。それって立派な『親孝行』じゃない? きっと喜ぶわ。私たちの両親は、私たちがニューヨークでどんなふうにしているかいつも心配してるからね。私は今この人と一緒にいるって知らせるのは、きっと喜んでくれるわ。カメラ持ってきてる?」

「うん、バッグの中にあるよ。でも、どうやって撮ろうか?」

バッグからカメラを取り出すと、アシャは少し離れたところに座っていた女性に声をかけて、私たちのためにシャッターを押してもらうように頼んだ。

アシャは僕の首に手をまわして、頬と頬をくっつけた。

「もっと近くに寄ってください。アップで撮りたいんです。もっともっと」と頼んだ女性に言った。そして、自分で「はい、チーズ」と言って、女性にシャッターを押してもらった。

夏の午後、僕らはセントラルパークのベルヴェデーレ・キャッスルを背景にして、五枚ほど写真を撮ってもらった。

リラコ

楽しい夏の服

ルームウェアとして親しまれてきたリラコですが、Tシャツなどと合わせて外にも出かけられるイージーボトムとしてお使いいただけます。

今季は特に色柄にこだわりました。トレンド性のあるドットや定番のストライプ柄、花柄に加えコラボ柄も登場。家族や友人とお揃いの柄を着て、海やバーベキューなどのイベントを盛り上げるアイテムとして、女の子同士のパジャマパーティやリゾート地などの旅先で。リラコは夏をもっと快適に、楽しくしてくれるはずです。

リラコ

今季は特に色柄にこだわりました。トレンド性のあるドットや定番のストライプ柄、花柄に加えコラボ柄も登場。家族や友人とお揃いの柄を着て、海やバーベキューなどのイベントを盛り上げるアイテムとして、女の子同士のパジャマパーティやリゾート地などの旅先で。リラコは夏をもっと快適に、楽しくしてくれるはずです。

着こなし次第で、
エレガントな
おしゃれ着に変身。

松浦弥太郎
リラコ
048 WOMENリラコ
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LifeWear Story 100とは。

ユニクロには、
流行に左右されず、
けれども、決して古びることのない、
長い間、作り続けている普通の服がある。
品揃えの中では、
とても地味で目立たない存在である。
コマーシャルにもあまり出てこない。

それらは、ユニクロが、
もっと快適に、もっと丈夫に、
もっと上質であることを、
長年、愛情を込めて追求したものだ。

それらは、ユニクロの人格と姿勢が、
目に見えるかたちになったものであり、
丹精に育てているものだ。

昨日よりも今日を、今日よりも明日と。

手にとり、着てみると、
あたかも友だちのように、
その服は、私たちに、
こう問いかけてくる。

豊かで、上質な暮らしとは、
どんな暮らしなのか?
どんなふうに今日を過ごすのか?
あなたにとってのしあわせとは何か?と。

そんな服が、今までこの世界に、
あっただろうかと驚く自分がいる。

ユニクロのプリンシプル(きほん)とは何か?
ユニクロは、なぜ服を、
LifeWearと呼んでいるのだろう?
LifeWearとは、どんな服なのだろう?

ここでは、LifeWearの、
根っこを見る、知る、伝える。
そして、LifeWearと、自分にまつわる、
ストーリーを書いていきたい。

LifeWear Story 100は、
LifeWearと僕の、旅の物語になるだろう。

松浦弥太郎

松浦弥太郎
松浦弥太郎

エッセイスト、編集者。1965年東京生まれ。
2005年から15年3月まで、約9年間、創業者大橋鎭子のもとで『暮しの手帖』の編集長を務め、その後、ウェブメディア「くらしのきほん」を立ち上げる。現在は(株)おいしい健康の取締役に就任。数々のメディアで、高い審美眼による豊かで上質な暮らし提案に努めている。新聞、雑誌の連載の他、著書多数。ベストセラーに「今日もていねいに」「しごとのきほん くらしのきほん100」他多数。NHKラジオ第一「かれんスタイル」のパーソナリティとしても活躍。

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