100とは

ウルトラストレッチスウェットセット

ウルトラストレッチスウェットセット

本のコーディネート

ペギーさんからいただいたブロドヴィッチの写真集「Ballet」は、この本の注文をしてくれたケンには売らず、自分のコレクションにした。

「プレゼントでもらった本は、それがどんなに希少価値があっても、決して売り飛ばしてはならない」

ニューヨークで本を扱う仕事をしている者にはこんな暗黙のルールがあったからだ。

だからか、ブックハンターや書籍商の書棚には、持っているけれど売ることができない本がたくさんある。それは仕事を通じて、作家本人やその家族、本作りに関わった人などから、本をいただく機会が多いからだ。

「持っているのに、なぜ売ってくれないんだ?」とクライアントにしつこく言われて、困ったあげく「売れないものは売れない。どうしても欲しいなら盗んでいってくれ」と言って、店や部屋から出て、顧客に本を盗ませたという笑い話がある。そのくらいにブックハンターや書籍商は義理堅い。

そんなある日、ペギーさんから電話があった。デンビーさんのことで何か進展があったかと期待をしたがそうではなく、別件で相談をしたいことがある、ということだった。

あらためてペギーさんのアパートを訪ねた。

ペギーさんは会うなり、「あら、今日はお花を持ってきてくれていないの?」と冗談を言った。

「次回は忘れずに持ってきます!」と言うと「いいのよ。お花は、たまにもらうから嬉しいのよ」とペギーさんは笑って答えた。

「あるセレブの方が引っ越しをすることになり、新しい家のインテリアを頼まれたのよ。リビングの壁一面に、本棚を備え付けるリクエストがあるんだけど、その本棚にセンスのいい本を揃えてほしいと言われたの。だから、あなたにそのセレクトをしてほしいと思って……どうかしら?」とペギーさんは言った。

本のコーディネート ストーリーイメージ

ニューヨークのセレブは、自宅のインテリアをプロのコーディネーターに依頼し、本棚の中身まで揃えさせるのか、と僕はびっくりした。いかにセンスのよい本を所有しているかを、家を訪れた人に見せつけるための本棚ということだ。アートブックから読み物まで、最低でも千冊は必要とのこと。

「予算はどのくらいですか?」と聞くと、「予算なんてないわよ。いくらでもいいのよ」と、ペギーさんは言った。

「セレクトした本が気に入られたら、この仕事はどんどん拡がるわよ。クライアントとしては、本棚を見せることで、いかに自分が知的で教養があり、センスがよいかを知らしめることができるんだから。本を揃えるって時間もかかるし大変だもの。インテリアではなく、本のコーディネーターという仕事ね」

面白そうな仕事だ。洋服やインテリアのコーディネートのように、インテリアの一部としての本のコーディネートもありうると思ったらワクワクしてきた。

「僕一人では手が足りないので、ジャックにも声をかけて、ぜひセンスのよい本を揃えさせていただきます」と即答をした。

ウルトラストレッチスウェットセット

極上のリラックスウェア

どんな動きにも360°伸縮自在、さらに軽くてやわらかな肌触りが特徴のウルトラストレッチ素材を使ったルームセットです。リラックス感を大切にしながらも、伸縮性を活かして袖下の余分なゆとりをカットする事で、だらしなく見えずすっきりとしたシルエットに仕上げています。

首周りは脱ぎ着しても伸びにくいリブ素材に変更、肌に直接触れる裏地は縫製・糸の種類を見直し不快感がないように。ボトムは脇の接ぎ目を極力無くし、縫い代のストレスを軽減。毎日着るものだからこそ、ストレスフリーな着心地を目指しました。

ウルトラストレッチスウェットセット
ウルトラストレッチスウェットセット

首周りは脱ぎ着しても伸びにくいリブ素材に変更、肌に直接触れる裏地は縫製・糸の種類を見直し不快感がないように。ボトムは脇の接ぎ目を極力無くし、縫い代のストレスを軽減。毎日着るものだからこそ、ストレスフリーな着心地を目指しました。

ウルトラストレッチスウェットセット

コーディネートの秘伝

「ちょっと教えていただいてよろしいでしょうか?」

ペギーさんに僕はこう話しかけた。

「インテリアコーディネートで心がけていることは、どんなことでしょうか? たとえば、この部屋は、北欧デザインの家具がありながら、中国のアンティークや、現代アートの作品なども飾られていますが、とてもバランスがよく感じるんです。どうしたらこんなふうに居心地よく、すてきなインテリアを作れるのでしょうか?」

「そうね……。大切なのはバランス。かんたんなようで難しいことのひとつだけど、たとえば、食器、家具、調度品、置物、アートなど、そういったものすべてを同じランクのもので揃えることね。テイストが違っていても、ランクが揃っていると不思議とバランスが整うのよ。中ランクの上であれば、中ランクの上のもので揃える。特上ランクのものをひとつ置いたり、逆に下ランクのものを使ったりするから、バランスが崩れてしまうのよね。とにかく、同じランクで揃えること。それがコーディネートのコツよ」

ペギーさんはコーヒーを淹れてくれながら、こんなふうに教えてくれた。

「このコーヒーポットも、あなたが座っているソファも、このマグカップも、同じランクのもの。だから、とても自然に馴染んでいるのよ」とペギーさんは言った。

「そうすると、先程話してくれた本のコーディネートも、クライアントが、新しい家をどんなランクのインテリアで揃えるのかをわかっていないと出来ない仕事ですね」

「その通り。よく気がついてくれたわね。クライアントは、私のこの家がとても気に入ってくれて、インテリアコーディネートを依頼してくれたのよ。だから、このインテリアのランクと世界観に合わせて欲しいの。この家は、手仕事が優れた北欧モダンの家具を中心に揃えているけれど、先日あなたたちが話題にしていた50年代のフィン・ユールの椅子がランクの基準。そう思ってくれたら間違いないわ」とペギーさんは言った。

ペギーさんは、フィン・ユールのNO.45という、世界一肘掛けが美しいと言われる椅子一脚を、家の真ん中にぽつんと置き、この椅子に合うテーブル、この椅子に合うラグ、この椅子に合う食器……というように合うものを少しずつ揃えていったという。そして、今でも何か新しい家具や調度品を買う時は、この椅子に合うかどうかで判断しているともいう。

コーディネートの秘伝 ストーリーイメージ

たった一脚の椅子からインテリアを考える。なんてすてきな方法だろうと思った。

「今、私が着ているルームウェアにしても同じように選んだものなのよ。いいでしょ、これも」とペギーさんは言ってクスクスと笑った。

なるほど。それならば、まずはフィン・ユールのNO.45という椅子に合う本とは何か。その一冊から本のコーディネートを始めてみよう。

バランスが大切。それはたったひとつの基準から生まれるもの。

こんなふうに、ペギーさんは、コーディネートだけでなく、これからの人生においても役に立つ、とても大事なことを僕に教えてくれた。

ウルトラストレッチスウェットセット

ワンマイルウェアとしても

今季は洗いがかかったような差し色や、かすれたプリントなど、無地以外にもカジュアルなデザインを追加してカラバリ豊富。またスウェットだけでなくワッフル生地もご用意。上下色違いのセットも魅力です。

襟元のガゼットでヴィンテージの雰囲気をプラスしながら、ボトムのヒモ仕様のウエストや絞った裾など、生活シーンでの実用性が高いデザインに。買い物や散歩などのちょっとしたお出かけや旅のお供にも役に立つLifeWearです。

ウルトラストレッチスウェットセット
ウルトラストレッチスウェットセット

襟元のガゼットでヴィンテージの雰囲気をプラスしながら、ボトムのヒモ仕様のウエストや絞った裾など、生活シーンでの実用性が高いデザインに。買い物や散歩などのちょっとしたお出かけや旅のお供にも役に立つLifeWearです。

家に早く帰りたい。
そんな気持ちにさせる、
究極のルームウェア。

松浦弥太郎
ウルトラストレッチスウェットセット
033 MENウルトラストレッチスウェットセット
(ライン・長袖)
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LifeWear Story 100とは。

ユニクロには、
流行に左右されず、
けれども、決して古びることのない、
長い間、作り続けている普通の服がある。
品揃えの中では、
とても地味で目立たない存在である。
コマーシャルにもあまり出てこない。

それらは、ユニクロが、
もっと快適に、もっと丈夫に、
もっと上質であることを、
長年、愛情を込めて追求したものだ。

それらは、ユニクロの人格と姿勢が、
目に見えるかたちになったものであり、
丹精に育てているものだ。

昨日よりも今日を、今日よりも明日と。

手にとり、着てみると、
あたかも友だちのように、
その服は、私たちに、
こう問いかけてくる。

豊かで、上質な暮らしとは、
どんな暮らしなのか?
どんなふうに今日を過ごすのか?
あなたにとってのしあわせとは何か?と。

そんな服が、今までこの世界に、
あっただろうかと驚く自分がいる。

ユニクロのプリンシプル(きほん)とは何か?
ユニクロは、なぜ服を、
LifeWearと呼んでいるのだろう?
LifeWearとは、どんな服なのだろう?

ここでは、LifeWearの、
根っこを見る、知る、伝える。
そして、LifeWearと、自分にまつわる、
ストーリーを書いていきたい。

LifeWear Story 100は、
LifeWearと僕の、旅の物語になるだろう。

松浦弥太郎

松浦弥太郎
松浦弥太郎

エッセイスト、編集者。1965年東京生まれ。
2005年から15年3月まで、約9年間、創業者大橋鎭子のもとで『暮しの手帖』の編集長を務め、その後、ウェブメディア「くらしのきほん」を立ち上げる。現在は(株)おいしい健康の取締役に就任。数々のメディアで、高い審美眼による豊かで上質な暮らし提案に努めている。新聞、雑誌の連載の他、著書多数。ベストセラーに「今日もていねいに」「しごとのきほん くらしのきほん100」他多数。NHKラジオ第一「かれんスタイル」のパーソナリティとしても活躍。

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