100とは

BABY メッシュインナーボディ

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ペギーの家族

ペギーは僕らにコーヒーを淹れてくれた。

ジャックはコーヒーの入ったマグカップを手にし、窓からの景色をぼんやりと見ながら、何かを考えていた。

ニューヨークのブックハンターが血眼になって探している希少本が、新品状態で三十冊。しかも、かの有名なアートディレクター、アレクセイ・ブロドヴィッチから、共著者であるエドウィン・デンビーあての自筆の手紙と、本の中に使われたオリジナルプリントが一緒にあるという奇跡のような出来事に、僕らはこれをどうするかによって、自分自身を試されているような気持ちになって呆然としていた。

「こういう奇跡的な掘り出し物を、僕らは毎日のように夢見ているんだけど、いざ目の前にしてしまうと、商売のことなんて、もう、どうでもよくなってしまうな……。この本はデンビーさんとブロドヴィッチの宝ものなんだ。いくらなんでも、それに手をつけるわけにはいかない……」とジャックは言った。

「私からデンビーさんに、この本を欲しい人がいるけど、どうしましょう?と聞きましょうか。彼は憶えているかしら。いずれにせよ、これらの荷物は、いつか処分しなければならないから、価値がわかるあなたたちに託せれば、わたしは助かるわ」とペギーは言った。

「とりあえず、彼と話せるか電話してみるわ……」ペギーは電話の置いてある部屋に行き、デンビーさんに電話をかけた。僕らはリビングのソファーに移動し、座って一息をついた。

「このソファーいいな。ポール・ケアホルムの3シーターのビンテージだ。レザーの質が最高だ。このリビングに置いてあるものすべてセンスがいい。そこにあるフィン・ユールの椅子はNO.45のオリジナルだし。見ろ、あそこに置いてある真鍮のスタンドライトは、パーヴォ・ティネリだ」と、ジャックは言った。

ペギーが電話をしている間に、アパートの来訪者を告げる呼び出しのブザーが鳴った。

ペギーは受話器を耳に当てながら、「きっと娘だから、ロックを解除してあげて…すぐに上がってくるから、ドアも開けてあげて」と言った。ジャックは言われたとおりに解除ボタンを押した。

ペギーの家族 ストーリーイメージ

すぐに部屋のインターホンが鳴ったので、玄関のドアを開けると、赤ん坊を抱いた若い女性が立っていた。

「あら、こんにちは。母はいる?」と女性は言った。「こんにちは。お母さんは今電話中で…」と、ジャックが言うと、「そうなのね。お母さん、入るわよー」と女性は部屋に入った。

僕とジャックが自己紹介すると、「はじめまして。リサです。この子はアヴァよ」と女性は言った。

「こんにちは。かわいいですねー」と僕が言うと、「まだ三ヶ月なの。やっと最近、外に連れていけるようになったのよ」とリサは笑って言った。

「ハーイ、リサ! 元気にしてた? よく来たわね。アヴァは? あら、かわいいわたしの赤ちゃん!」と電話が終わったペギーがリサに駆け寄ってハグをした。

BABY メッシュインナーボディ

赤ちゃんにやさしく

通気性のよいメッシュ素材は、天然のコットンを100パーセント使用。汗かきの赤ちゃんのお肌をサラサラに保ちます。単糸ではなく、細い糸を2本撚り合せた双糸で織ることで、なめらかで毛羽立ちにくく、ヨレにくい生地に仕上げました。

特殊なミシン「フラットシーマ」を用い縫い目を平らにし、品質表示ラベルを外側に配置、金属アレルギーに配慮したプラスチックのボタンの使用など、赤ちゃんへの肌ストレス軽減を徹底的に考えました。

BABY メッシュインナーボディ
BABY メッシュインナーボディ

特殊なミシン「フラットシーマ」を用い縫い目を平らにし、品質表示ラベルを外側に配置、金属アレルギーに配慮したプラスチックのボタンの使用など、赤ちゃんへの肌ストレス軽減を徹底的に考えました。

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ふたつの贈り物

ペギーは孫のアヴァを抱いて嬉しそうだった。アヴァはにこにこと笑いながら、小さい手でペギーの頬を叩いて喜んでいた。

「残念ながら、デンビーさんとは話ができなかったわ。体調が良くないみたい。身近にいる人に事情を伝えたら、きっと彼は荷物を預けているあなたにすべてまかせると思う、と言われたの。どうしましょうか?」と、アヴァをあやしながらペギーは言った。

「僕らは『Ballet』を見つけたことだけでも満足しています。しばらくこのまま保管されていたほうが良いと思います。この先、この本を処分せざるを得ない時になったら、ぜひ僕らに声をかけてください。その時は喜んで引き受けます」と、僕が言うと、横にいたジャックも頷いた。

「わかったわ。では、そうしましょう」と、ペギーは言って、箱から二冊の「Ballet」を取り出し「これは私からあなたたちへのプレゼントよ。二冊くらい減っても、彼は気がつかないし怒らないわよ。何年もこのままなんだから」と笑った。

ペギーからいただいた「Ballet」には、ブロドヴィッチの署名が入っていた。僕とジャックは思わず目を合わせて言葉を失った。

「今日は孫が来てくれて私は嬉しいのよ。あなたたちはラッキーね。さ、早く帰りなさい。何かあったら、必ず連絡しますから」とペギーは僕らを追いやった。

帰り際にアヴァを抱かせてもらうと、赤ちゃん特有のいいにおいがした。着ている服のやわらかさに触ると、いつかの自分もこんなふうに家族に愛されていたことを思い出した。

僕とジャックは、いただいた「Ballet」を大事に抱えてアパートを出て、「じゃあまた」と別れた。ジャックは「Ballet」について何も話さなかった。

アパートに着くと、管理人に呼び止められた。僕あての荷物があるから取りに来いとのことだった。なんだろうと思いながら、管理人室に行くと、古ぼけたギターケースと一通の手紙があった。送り主を見ると、ケンからだった。

「A GOLD BOOK」を大切にします。これは僕の宝ものです。宝ものの交換です。受け取ってください。ケンより。

ふたつの贈り物 ストーリーイメージ

ギターケースを部屋に運び、開けてみると入っていたのは小ぶりのギターだった。小さなメモがあった。「1926年製のマーティンの0-45です。ジョーン・バエズがウッドストックで弾いたギターと同モデルです」と書いてあった。

いつかケンと話していた時、彼が本だけでなく、ビンテージギターのコレクションもしていると聞いたので、戦前のマーティンを、いつか僕も手に入れたいと夢を語ったことを憶えていてくれたのだ。

彼は「A GOLD BOOK」と同等の価値のある自分の宝ものを、僕に贈ってくれたのだった。

すぐに電話をしてお礼を告げると、ケンは「いいんだ。そのギターでいつか何か弾いて聴かせてくれたら嬉しい」と言った。

僕は「ケンの好きな曲を教えてください。その曲を練習するよ」と僕が言うと、「ジェームズ・テイラーの『You’ve got a friend(君の友だち)』がいいな」とケンは言った。

仕事においては、決してお金を追ってはいけない。追うべきは自分のヴィジョンと夢。そして、精一杯に人の気持ちに応え、人を思い、人を助け、人と信頼という関係を築くこと。それがきほん。

そんな父の言葉を僕は噛み締めた。ギターの音色は艶やかでやさしかった。

BABY メッシュインナーボディ

お母さんにやさしく

無地の商品には襟ぐり、足ぐりの内側を配色ステッチにすることで、お洗濯後にも生地の裏表がわかるように工夫しました。オムツをしっかり包み込む股下にある3つのスナップボタンは真ん中の色を変えて、オムツ交換時のかけ違いのストレスがないように配慮しています。60サイズは寝かせても着せやすい前開きタイプ。首がすわった70から90サイズは、活発な赤ちゃんもお着替え簡単なプルオーバータイプをご用意。男の子、女の子問わず着ていただける色柄を揃えています。

2017年には「マザーズセレクション大賞」を受賞。使ってよかったベビー肌着として、お母さんが他のお母さんにおすすめしたい商品の1位に選ばれています。

※オンラインストアでは、70cmの前開きタイプも販売しています。

BABY メッシュインナーボディ
BABY メッシュインナーボディ

2017年には「マザーズセレクション大賞」を受賞。使ってよかったベビー肌着として、お母さんが他のお母さんにおすすめしたい商品の1位に選ばれています。

※オンラインストアでは、70cmの前開きタイプも販売しています。

触るほどわかる、
これ以上ない愛情が
たっぷりと注がれた服。

松浦弥太郎
BABY メッシュインナーボディ
031 BABYコットンメッシュインナーボディ
(ノースリーブ・前開き・2枚組)
60-70サイズ
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LifeWear Story 100とは。

ユニクロには、
流行に左右されず、
けれども、決して古びることのない、
長い間、作り続けている普通の服がある。
品揃えの中では、
とても地味で目立たない存在である。
コマーシャルにもあまり出てこない。

それらは、ユニクロが、
もっと快適に、もっと丈夫に、
もっと上質であることを、
長年、愛情を込めて追求したものだ。

それらは、ユニクロの人格と姿勢が、
目に見えるかたちになったものであり、
丹精に育てているものだ。

昨日よりも今日を、今日よりも明日と。

手にとり、着てみると、
あたかも友だちのように、
その服は、私たちに、
こう問いかけてくる。

豊かで、上質な暮らしとは、
どんな暮らしなのか?
どんなふうに今日を過ごすのか?
あなたにとってのしあわせとは何か?と。

そんな服が、今までこの世界に、
あっただろうかと驚く自分がいる。

ユニクロのプリンシプル(きほん)とは何か?
ユニクロは、なぜ服を、
LifeWearと呼んでいるのだろう?
LifeWearとは、どんな服なのだろう?

ここでは、LifeWearの、
根っこを見る、知る、伝える。
そして、LifeWearと、自分にまつわる、
ストーリーを書いていきたい。

LifeWear Story 100は、
LifeWearと僕の、旅の物語になるだろう。

松浦弥太郎

松浦弥太郎
松浦弥太郎

エッセイスト、編集者。1965年東京生まれ。
2005年から15年3月まで、約9年間、創業者大橋鎭子のもとで『暮しの手帖』の編集長を務め、その後、ウェブメディア「くらしのきほん」を立ち上げる。現在は(株)おいしい健康の取締役に就任。数々のメディアで、高い審美眼による豊かで上質な暮らし提案に努めている。新聞、雑誌の連載の他、著書多数。ベストセラーに「今日もていねいに」「しごとのきほん くらしのきほん100」他多数。NHKラジオ第一「かれんスタイル」のパーソナリティとしても活躍。

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