100とは

ヒートテックニットキャップ&ヒートテックニットグローブ

ヒートテックニットキャップ&ヒートテックニットグローブ

仕事の見つけ方

ジャックの口から、「仕事」という言葉が出て、なんだか僕は取り残されたような気持ちになった。

毎日、写真を撮ったり、文章を書いたり、本を読んだり、街を歩いたりしているけれど、今の自分には、堂々と仕事と呼べるものが無かったからだ。

コーヒーを一口ごくりと飲んで、仕事とは一体何だろうと思った。ドーナツ屋のカウンターの中では、ウエイトレスが客の注文を聞いたり、ドーナツを運んだり忙しく働いていた。

仕事という二文字の言葉を考えて、思いつくことを頭の中に並べてみた。

お金を稼ぐこと。生活を支えること。生きがい。大変なこと。疲れること。面倒くさいこと。朝から晩まで。人の言うことを聞くこと。叱られること。頭を下げること。毎日しなければならないこと。朝早く起きること。

思いつくことは、結局、我慢しなければならないことばかり。なのに、なぜみんな仕事をするのだろう。もちろん、仕事をしないと不自由なのはわかっている。目の前にいるジャックでさえ仕事をしている。しかも、楽しそうだ。ジャックも我慢しているのだろうか。

「ジャック、仕事って何だろうね」

僕がそう聞くと、「うーん。少なからず、嫌なことではないな」とジャックは答えた。

「仕事は嫌じゃないの?」と僕は言った。

「仕事はさ、誰かに必要とされているから、仕事として存在するのさ。ということは、仕事とは、いつも誰かの役に立つための何か、じゃないかな。もちろん、お金のため、生活のためという考え方もあるけれど、それは仕事を意味することではないよね。いつも面白いなと思うのは、こうして世の中を見渡してみると、ほとんどの人が何かしらの仕事をしている。みんな忙しそうにしている。さっき言ったように、仕事という名のもとで、みんな誰かの役に立つために働いているのさ。そうであれば、この世も捨てたもんじゃないと僕は思う。一人ひとりが仕事という行為によってつながっているということさ。このドーナツとコーヒーでさえ、僕らの会話に役立っているし、この甘い一口が、今の僕を癒やしてくれるというように」

ジャックは、ちぎったドーナツを口の中にぽんと入れて、片目をウインクさせた。

仕事の見つけ方 ストーリーイメージ

「君はどんな仕事をしているんだい?」とジャックが聞いた。

「何もしていない。無職なんだ……」と僕は答えた。

「仕事を探しているの?」

「生活するためのお金が必要だから、仕事をしないといけないと思ってはいる。けれども、何をしたらよいかわからないんだ」と、僕は答えた。

「仕事の見つけ方を僕は知っている。せっかくだから教えてあげよう。とても簡単だよ。それはね、自分がやったほうが、きっとうまくいく。もっとよくなる。要するに、きっと誰かの役に立つ。もっと誰かの役に立つということをすればいいのさ」

ジャックはこう言って、コーヒーのおかわりを頼んだ。

ヒートテックニットキャップ&ヒートテックニットグローブ

ぬくもりの秘密

肌触りなめらかなニット帽と、ふっくらと柔らかな手袋。実はどちらもヒートテックの糸から出来ています。体から発せられる水分を吸収し、繊維自体が発熱。さらに保温機能を持つヒートテックは、ユニクロが誇る機能素材。

ヒートテックが抜群のあたたかさを発揮しながら、ウールを加えることでぬくもりある表情を、アクリルのブレンドによって軽量化を実現。各素材の混率や原料選定の試作を重ねてたどり着いた、新たな冬の定番です。

ヒートテックニットキャップ
ヒートテックニットグローブ

ヒートテックが抜群のあたたかさを発揮しながら、ウールを加えることでぬくもりある表情を、アクリルのブレンドによって軽量化を実現。各素材の混率や原料選定の試作を重ねてたどり着いた、新たな冬の定番です。

ヒートテックニットキャップ&ヒートテックニットグローブ

ブックハンター

仕事を見つけるということは、自分がやったほうが、きっとうまくいく。もっとよくなることを見つけること。誰かの役に立つために……。僕はジャックの言葉の意味をよく考えた。

「ニューヨークに、古書店がいくつあるか知ってるかい? おそらく100以上はある。古書店を訪れる客の10人に1人はコレクターと言われている。コレクターは毎日のように本を探している。彼らが探している本のほとんどは高価な本。高価ということは、それだけ探している人が多いということと、現存数が少ないということ。僕の仕事は、コレクターの代わりにそういった本を探してあげることなんだ。『ストランド書店』以外にも、毎日たくさんの本屋を訪れて、自分の顧客が探している本をいち早く、適正な価格で見つけてあげるのが仕事なんだ」とジャックは言った。

「僕は元々、古書好きで、ニューヨーク中の古書店を歩きまわっていた。すると、コレクターの代わりに本を探すという仕事をしている人の存在を知ったんだ。で、ある日、その仕事をしている人から、探している本のリストを見せてもらったら、その本のいくつかは、どの店で、幾らで売っているかを僕はすぐにわかった。その時、本を探すことに関しては、自分のほうが優れていて、もっと早く見つけられると気づいたんだ」

ジャックの話を聞くと、コレクターは、何人ものそういったブックハンターを抱えているから、すぐに誰が優れたブックハンターなのかがわかり、他のコレクターに負けないために、専属を求めてくるようになるという。

「もちろん、自分の得意なジャンルに限ってだけどね。僕のジャンルは、雑誌、写真集、アートブック、モダンファースト(現代文学の初版本)の四つ。このジャンルに限っては、ニューヨークでは、かなり腕の高いブックハンターの一人だよ。たまに、他のコレクターに引き抜かれることもあるんだよ」と、ジャックは言った。

僕は頭の後ろに手を組んで、椅子の背にもたれかかって、ドーナツ屋の窓の外を眺めた。

僕がやったほうがきっとうまくいくこと。もっとよくなることって、この世にあるのだろうか……と思いに耽った。

ブックハンター ストーリーイメージ

窓の外は、もう暗くなり、街のネオンがきらびやかに目に入った。風も強そうで、道行く人々はコートの襟を立てて歩いていた。

「そろそろ行こう」とジャックが言った。

僕らはドーナツとコーヒーの代金を払って、外に出た。

ジャックは、コートのポケットから、ニットキャップと手袋を出して身につけた。見るからに上質であたたかそうだった。

仕事の話をいきいきとしてくれた後だからか、ネイビーのニットキャップを深々とかぶった彼がとてもすてきに見えた。僕は、こんな人と仲良くなれたら嬉しいな、と思った。

ヒートテックニットキャップ&ヒートテックニットグローブ

いつでもカバンに

ニット帽は、パーツ同士を組み立てるのではなく、編み込みながら仕立てる「成型編み」を採用。伝統的なニットのテクニックを最大限に活かし、ローゲージで手編みのように仕上げました。

柔らかな風合いの手袋は、親指と人差し指にタッチパネル対応の特殊加工を。シンプルな中に普段使いには欠かせない機能を加えました。どちらも豊富なカラバリが自慢。アウトドアに、タウンユースに、そして旅先に。いつも近くに置いておきたいLifeWearです。

ヒートテックニットキャップ
ヒートテックニットグローブ

柔らかな風合いの手袋は、親指と人差し指にタッチパネル対応の特殊加工を。シンプルな中に普段使いには欠かせない機能を加えました。どちらも豊富なカラバリが自慢。アウトドアに、タウンユースに、そして旅先に。いつも近くに置いておきたいLifeWearです。

あったかそうにすると、
なぜかみんな嬉しそう。
あったかそうにしてくれる、
冬の友だちがこれ。

松浦弥太郎
016 MENヒートテックニットキャップ
閉じる

LifeWear Story 100とは。

ユニクロには、
流行に左右されず、
けれども、決して古びることのない、
長い間、作り続けている普通の服がある。
品揃えの中では、
とても地味で目立たない存在である。
コマーシャルにもあまり出てこない。

それらは、ユニクロが、
もっと快適に、もっと丈夫に、
もっと上質であることを、
長年、愛情を込めて追求したものだ。

それらは、ユニクロの人格と姿勢が、
目に見えるかたちになったものであり、
丹精に育てているものだ。

昨日よりも今日を、今日よりも明日と。

手にとり、着てみると、
あたかも友だちのように、
その服は、私たちに、
こう問いかけてくる。

豊かで、上質な暮らしとは、
どんな暮らしなのか?
どんなふうに今日を過ごすのか?
あなたにとってのしあわせとは何か?と。

そんな服が、今までこの世界に、
あっただろうかと驚く自分がいる。

ユニクロのプリンシプル(きほん)とは何か?
ユニクロは、なぜ服を、
LifeWearと呼んでいるのだろう?
LifeWearとは、どんな服なのだろう?

ここでは、LifeWearの、
根っこを見る、知る、伝える。
そして、LifeWearと、自分にまつわる、
ストーリーを書いていきたい。

LifeWear Story 100は、
LifeWearと僕の、旅の物語になるだろう。

松浦弥太郎

松浦弥太郎
松浦弥太郎

エッセイスト、編集者。1965年東京生まれ。
2005年から15年3月まで、約9年間、創業者大橋鎭子のもとで『暮しの手帖』の編集長を務め、その後、ウェブメディア「くらしのきほん」を立ち上げる。現在は(株)おいしい健康の取締役に就任。数々のメディアで、高い審美眼による豊かで上質な暮らし提案に努めている。新聞、雑誌の連載の他、著書多数。ベストセラーに「今日もていねいに」「しごとのきほん くらしのきほん100」他多数。NHKラジオ第一「かれんスタイル」のパーソナリティとしても活躍。

閉じる閉じる