100とは

リラックスフィットクルーネックT(半袖)

リラックスフィットクルーネックT(半袖)

旅とTシャツ

朝は必ず一杯のコーヒーを飲むのが習慣だったが、ポートランドに来てからは紅茶を好むようになった。

ニューヨークではコーヒーによる目覚めのスイッチが必要だった。なぜかポートランドではそれを必要とはしなくなった。

こんなふうに旅をしているとわかることがある。それは、どこに行ってもその街ならではの朝の時間があり、そこに求める自分の過ごし方も変わるのだ。

僕はこんなふうに自分の好みや習慣を変えるのは嫌いではない。それが自由ってものだし、その小さな変化が、新しい世界を見せてくれることだってある。

毎日こうでなきゃいやだ、って思うことくらいつまらないことはないし、たとえば何か問題があっても解決しないという選択肢もある、ということも大切なのだ。

「旅先で文章を書く気分ってどんな感じだい?」とジャックが聞いた。

数年前から僕は、日々の生活で感じたことや思ったこと、記憶にとどめておきたい出来事などを文章にして残していた。日記というよりもエッセイに近いものだ。

日々の暮らしの中で出会う、すてきだなとか、大切だなとか、これは真実だなと感じた、とても抽象的な気づきや思索を、自分なりの言葉や文章で、目で読めるものにする行為と言おうか、それまで誰も言語化していなかった複雑な感情をシンプルに表す取り組みとでも言おうか、とにかくいつもペンとノートを持ち歩いて、スケッチでも描くように文字を綴っていた。

「旅先では、より自分らしくなれるというか、もっと心の深いところが見えるような気がするんだ。一人の時間が増えるからかな。そして、その深いところにある自分の宝物のような感情、それは強さだったり弱さだったりする、普段見つめようとしない自分自身の核のような何か。それとしっかり向き合おうとする自分がいる気がする……」

僕はジャックにこう答えた。

「なるほど。自分とは何か。それに向き合おうとする気持ちはわかるな。たとえばだけど、僕の場合はTシャツを着ること。それが、君にとっての旅先で書くことに近いように思うんだ」

旅とTシャツ ストーリーイメージ

ジャックは着ているTシャツのネックのステッチを触りながらこう話した。この日、ジャックはコットンの生地がしっかりとした、お気に入りのTシャツを着ていた。

「僕にとってTシャツはこれ以上ないシンプルな服。自分を隠せないというか、一番ありのままの自分でいられるという心地よさがありながらも、自分のいろいろなところが見えてしまう怖さもある。でも、自分というのは誰もがそうであるように完璧ではなく、いいところも、そうでないところもあるのが自然であって、そういう自分が好きになれるというかね。まあ、もっとも自分らしくいられるってことかな。要するに、旅の気分とTシャツを着る気分は似ているってことさ……」

Tシャツとは、服ではあるけれど、単なる服を超越した哲学のような何かを秘めた、すごい服だなと僕は思えた。

リラックスフィットクルーネックT(半袖)

新しいベーシック

リラックスフィットクルーネックTは、毎日の着こなしの基本に新しさを与えるTシャツです。シルエットはよりカジュアルでゆったりとしたフィット。ボーイフレンド的なボクシーカットが特徴です。

首回りはリブの付け襟仕様、袖口と裾は丈夫かつハンドステッチのようにあたたかみある天地ステッチを採用。細部までこだわり抜いたディテールが自慢です。メンズに見られる本格的なつくりと、女性らしいクールな仕上げ、絶妙なバランスを探しました。

リラックスフィットクルーネックT(半袖)
リラックスフィットクルーネックT(半袖)

首回りはリブの付け襟仕様、袖口と裾は丈夫かつハンドステッチのようにあたたかみある天地ステッチを採用。細部までこだわり抜いたディテールが自慢です。メンズに見られる本格的なつくりと、女性らしいクールな仕上げ、絶妙なバランスを探しました。

リラックスフィットクルーネックT(半袖)

あの日のTシャツのように

はじめて選んだ服は何かと考えてみた。すると、迷うことなくTシャツだと言える自分がいる。幼い頃の、NFLのフットボールチームのマークがプリントされたTシャツだった。あのTシャツくらい大事にしたものはなかった。

「新しいTシャツを選ぶのって、新しい友だちを見つけるような感じがするわ……」

僕とジャックの会話をそばで聞いていたジェーンが言った。

その言葉に僕もジャックもうなずいた。

「不思議よね。Tシャツって何故か捨てられないし、ボロボロになっても着たいのよ。それだけ愛着があるというか、やっぱり友だちに近い存在なのかも。だから、ジャックが言うように、一番自分らしくいられるし、リラックスできる服なのよ」

「昔、単なるインナーウェアだったTシャツを、服として着るというのはきっと革命的なことだったのよ。普段着とはこうでなくてはいけないという常識を変えたというかね。Tシャツを着て出かけるというのは、今では当たり前だけど、昔は考えられなかったと思うわ。プリントしたメッセージやサインで、個人のスタイルを表現する服としても発明だったのよね、きっと」

「そうだね。誰もが服を楽しめるということを、Tシャツは人々に与えてくれたんだよ」とジャックは言った。

僕はアシャを思い出した。パリで服作りを追求した彼女だったが、今はTシャツのみを自分で作り、自分なりの服の新しい意味を見つけようとしていた。いろいろな服を作り続けて、結局、彼女はTシャツに立ち戻ったのだ。

「どんなに偉い人でも、家に帰ればTシャツを着る。いや、着たくなる。その時に、着たいと思うTシャツを作りたいとアシャはよく言っているよ。そしてまた、作るのが一番簡単で一番難しい服であるともね……」

「まあ、誰しも自分を大切にするために、自分を見失わないために、自分を元気にするために、旅というのはよい方法のひとつなんだろうね。そして、Tシャツを着るということはそれに近いんだよ」とジャックは言った。

「どんな人でも絶対に似合うのもTシャツだよね。人種や体型や職業、生き方や思想も関係なく、似合うのよ……」とジェーンは答えた。

あの日のTシャツのように ストーリーイメージ

僕はノートを開き、いつかの出来事を綴ったページを読み返した。それははじめてアメリカに着いた日、雨の中をさまよったサンフランシスコの夜の出来事のことだった。僕は旅先で雨に濡れ、歩き疲れた自分を温めてくれた一枚のTシャツを忘れることはなかった。

あの時のTシャツのように、今、自分が書いている言葉や文章が、いつか世界のどこかで旅をしている誰かのことを温められたらいいなと思った……。

リラックスフィットクルーネックT(半袖)

オールラウンダーとして

生地はさらりとした肌ざわりのハイツイストコットンを使用。柔らかさと硬さの中間のような質感が魅力のコットン100パーセント素材です。カラーバリエーションはベーシックな定番色に加えスモーキーなアクセントカラーを多数ご用意。サイズ展開も豊富です。

控え目な色味はジャケットの下に着用してオフィスカジュアルに、アクセントカラーはデニムやフレアスカートと合わせてクリーンに、ブロックテックパーカの下にさらりとスポーティに。スタイリングとサイジングによってあらゆる表情を見せてくれるLifeWearです。

リラックスフィットクルーネックT(半袖)
リラックスフィットクルーネックT(半袖)

控え目な色味はジャケットの下に着用してオフィスカジュアルに、アクセントカラーはデニムやフレアスカートと合わせてクリーンに、ブロックテックパーカの下にさらりとスポーティに。スタイリングとサイジングによってあらゆる表情を見せてくれるLifeWearです。

一番自分らしく、
一番元気になれて、
一番好きな服。

松浦弥太郎
リラックスフィットクルーネックT(半袖)
097 WOMENオーバーサイズ
スクエアT
(5分袖)
閉じる

LifeWear Story 100とは。

ユニクロには、
流行に左右されず、
けれども、決して古びることのない、
長い間、作り続けている普通の服がある。
品揃えの中では、
とても地味で目立たない存在である。
コマーシャルにもあまり出てこない。

それらは、ユニクロが、
もっと快適に、もっと丈夫に、
もっと上質であることを、
長年、愛情を込めて追求したものだ。

それらは、ユニクロの人格と姿勢が、
目に見えるかたちになったものであり、
丹精に育てているものだ。

昨日よりも今日を、今日よりも明日と。

手にとり、着てみると、
あたかも友だちのように、
その服は、私たちに、
こう問いかけてくる。

豊かで、上質な暮らしとは、
どんな暮らしなのか?
どんなふうに今日を過ごすのか?
あなたにとってのしあわせとは何か?と。

そんな服が、今までこの世界に、
あっただろうかと驚く自分がいる。

ユニクロのプリンシプル(きほん)とは何か?
ユニクロは、なぜ服を、
LifeWearと呼んでいるのだろう?
LifeWearとは、どんな服なのだろう?

ここでは、LifeWearの、
根っこを見る、知る、伝える。
そして、LifeWearと、自分にまつわる、
ストーリーを書いていきたい。

LifeWear Story 100は、
LifeWearと僕の、旅の物語になるだろう。

松浦弥太郎

松浦弥太郎
松浦弥太郎

エッセイスト、編集者。1965年東京生まれ。
2005年から15年3月まで、約9年間、創業者大橋鎭子のもとで『暮しの手帖』の編集長を務め、その後、ウェブメディア「くらしのきほん」を立ち上げる。現在は(株)おいしい健康の取締役に就任。数々のメディアで、高い審美眼による豊かで上質な暮らし提案に努めている。新聞、雑誌の連載の他、著書多数。ベストセラーに「今日もていねいに」「しごとのきほん くらしのきほん100」他多数。NHKラジオ第一「かれんスタイル」のパーソナリティとしても活躍。

閉じる閉じる