100とは

フランネルイージーパンツ

フランネルイージーパンツ

丘の上の美術館

青空が広がった休日、僕とアシャはワシントンハイツ190丁目にある、クロイスターズ美術館に出かけた。

以前アシャから「ニューヨークでいちばん好きな美術館」と聞いていた僕は一度行ってみたかったのだ。

その日はお気に入りのフランネルのパンツをはいて、シャツの上にカーディガンを羽織った。アシャはニットコートの下に、タートルネックのニットと、スキニーパンツをコーディネートしていた。二人ともシックだった。

普段はカジュアルだが、美術館に行くときは、きちんとした身だしなみをしていくというのが僕とアシャのスタイルだった。

クロイスターズ美術館は、13 世紀の修道院の回廊を、フランスから移築した中世様式の建物で、ヨーロッパの中世美術を展示したとても美しい美術館だ。

「回廊の中に庭があるの。中世の文書に記されている植物の花が植えられていて、わたしはそこがとっても好き」

アシャは美術館の回廊を、僕の手を引いてゆっくりと歩き、どうしても見せたいという、いちばん好きなステンドグラスのある場所へと向かった。

「こっちこっち、ほら、ねえ見て。これよ、あなたに見せたかったのは」

アシャは大きなステンドグラスの前に僕を引っぱっていった。

そこにあったのは、14世紀の宗教画がデザインされた縦に大きなステンドグラスだった。

僕はそのステンドグラスの鮮やかさに圧倒され、しばし言葉が出なかった。正直、これほど美しいステンドグラスに出会ったことはなかった。赤や青となった光が、僕とアシャを包み込んでいた。

「ね、きれいでしょ。太陽の光がきらきらと輝いて、ガラスの色がほんとにきれい」

アシャはうっとりした目でステンドグラスを見つめた。

「これを見るとこう思うの。安らぎ、静けさ、美しさ。今も昔も、この三つを人間は求めて、この手で生み出してきたのよね。そして時代が過ぎ去っても大切に残してきたのよ……。もうひとつ見せたいものがあるわ」

丘の上の美術館 ストーリーイメージ

アシャが僕に見せたのは、12世紀のフランス・ブルゴーニュ地方にあった聖母子像だった。それは高さ1メートルほどの、とても素朴なもので、不思議なくらいに優しさを感じ、この場にずっといたいと思わせるあたたかな聖母子像だった。

フランネルイージーパンツ

あらゆるシーンに

ルームウェアからワンマイル、そして普段着まで。日常のあらゆるシーンで着用できるフランネルパンツです。素材は起毛感が心地よいコットン100パーセントのフランネル生地。双糸と単糸を組み合わせ、糸の太さや打ち込みの本数を工夫することで、適度な柔らかさと、しっかり感のある絶妙な質感に仕上げました。

フィットはトレンドを意識したゆるやかなテーパード仕様。ふくらはぎ部分のゆとりを確保して、部屋着としても快適なリラックスシルエットが自慢です。

フランネルイージーパンツ
フランネルイージーパンツ

フィットはトレンドを意識したゆるやかなテーパード仕様。ふくらはぎ部分のゆとりを確保して、部屋着としても快適なリラックスシルエットが自慢です。

フランネルイージーパンツ

着こなしのコツ

「美しいというのは、きらびやかなものではなく、あたたかいものなのよね」そういったアシャは聖母子像に何かを祈っていた。

「何を祈っていたの?」とアシャに聞くと、「感謝したのよ。今日までこのように残っていてくれたことに、ありがとうございます、とね」。アシャと僕は、クロイスターズ美術館の、すばらしく美しい収蔵品の数々を堪能し、その静かな建物の中でゆったりと時間を過ごした。

「今日のパンツいいね」

「久しぶりにほめてくれたね」

「いつもほめてるわ。でも、今日のフランネルパンツは特にすてき。あなたがさっき回廊を歩いているところを見ていたんだけど、そのパンツがとても場所に合っていたの。やわらかくて、やさしくて、あったかいその感じがね。見ていて、ああ、秋らしいパンツだなあと思ったわ」

そういったアシャは自分のニットコートのボタンを上までしめて、「ニューヨークにもうすぐ冬が来るね……私もフランネルのパンツ欲しいわ」といった。

「そういって気がつくと、僕のパンツをはいたりするんだよね、アシャは」

「そうよ、たまにあなたのパンツを借りたっていいじゃない? 私、自分の彼氏の服を着るのって好き。いつもあれ着てみようかな、これ着てみようかなって考えるの好き」

アシャはやさしく微笑んで、僕の手を握り直した。

「うん、どの服を着てもいいよ」と僕は答えた。

昔から僕は、女性がメンズの服を上手に着こなした姿がとってもかわいらしいし、すてきに思っていた。メンズのちょっと大きめの服をダボッと着ているのは、いわゆるボーイッシュスタイルかもしれないが、それが彼氏の服を借りて着ているっていうことに、なんだか胸が高鳴るのだ。

アシャは、僕のネルシャツもボタンダウンも着るし、ニットもコートも、デニムやパンツも、メンズの服を自由自在に着こなす才能があった。僕の服を着たそんなアシャと一緒に出かけるのが好きだった。

着こなしのコツ ストーリーイメージ

「メンズの服を着こなすコツってあるの?」

あるとき、僕はアシャにこう聞いた。

「コツ? そんなのないわ。あるとしたら、そうね、恥ずかしがらないってことじゃない? 彼氏の服を着ていることに照れたらだめよ。嬉しいって気持ちで堂々とすることよ」

アシャはそういって、両手を腰にあてて、エヘンと胸を張った。

フランネルイージーパンツ

シーンの垣根をこえる工夫

ヒモ穴が通るウエスト部分を別パーツにすることで、穴周辺の補強とヒモの滑りやすさを両立。柄合わせをしているので違和感はありません。サイドとヒップはダブルステッチにして補強効果とカジュアルテイストを演出。

そしてカジュアルとアウトドアをイメージしたチェックや、グレーとネイビーを基調とした落ち着いた色柄のバリエーションもご用意。部屋着として快適に楽しく、普段着として着こなしの幅を広げてくれるLifeWearです。

フランネルイージーパンツ
フランネルイージーパンツ

そしてカジュアルとアウトドアをイメージしたチェックや、グレーとネイビーを貴重とした落ち着いた色柄のバリエーションもご用意。部屋着として快適に楽しく、普段着として着こなしの幅を広げてくれるLifeWearです。

楽なのに、
きちんとしていて、
しかも、おしゃれ。

松浦弥太郎
フランネルイージーパンツ
064 MENフランネル
イージーパンツ
(グレンチェック)
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LifeWear Story 100とは。

ユニクロには、
流行に左右されず、
けれども、決して古びることのない、
長い間、作り続けている普通の服がある。
品揃えの中では、
とても地味で目立たない存在である。
コマーシャルにもあまり出てこない。

それらは、ユニクロが、
もっと快適に、もっと丈夫に、
もっと上質であることを、
長年、愛情を込めて追求したものだ。

それらは、ユニクロの人格と姿勢が、
目に見えるかたちになったものであり、
丹精に育てているものだ。

昨日よりも今日を、今日よりも明日と。

手にとり、着てみると、
あたかも友だちのように、
その服は、私たちに、
こう問いかけてくる。

豊かで、上質な暮らしとは、
どんな暮らしなのか?
どんなふうに今日を過ごすのか?
あなたにとってのしあわせとは何か?と。

そんな服が、今までこの世界に、
あっただろうかと驚く自分がいる。

ユニクロのプリンシプル(きほん)とは何か?
ユニクロは、なぜ服を、
LifeWearと呼んでいるのだろう?
LifeWearとは、どんな服なのだろう?

ここでは、LifeWearの、
根っこを見る、知る、伝える。
そして、LifeWearと、自分にまつわる、
ストーリーを書いていきたい。

LifeWear Story 100は、
LifeWearと僕の、旅の物語になるだろう。

松浦弥太郎

松浦弥太郎
松浦弥太郎

エッセイスト、編集者。1965年東京生まれ。
2005年から15年3月まで、約9年間、創業者大橋鎭子のもとで『暮しの手帖』の編集長を務め、その後、ウェブメディア「くらしのきほん」を立ち上げる。現在は(株)おいしい健康の取締役に就任。数々のメディアで、高い審美眼による豊かで上質な暮らし提案に努めている。新聞、雑誌の連載の他、著書多数。ベストセラーに「今日もていねいに」「しごとのきほん くらしのきほん100」他多数。NHKラジオ第一「かれんスタイル」のパーソナリティとしても活躍。

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