100とは

ソフトタッチクルーネックT(長袖)

ソフトタッチクルーネックT(長袖)

ハーレムの路上で

マリポールは、ぎゅっとハグしてから、アシャに言った。

「うん、あなたほんとうにかわいいわ。スタイルもいいし。またいつか会いましょ」

「『コーヒーショップ』で働きながら、何をしているの?」

マリポールと一緒にいた一人の女性が、やさしい言葉でアシャに話しかけた。

女性は金髪をクルーカットのように短く刈って、たっぷりした黄色いシャツに、カーキ色の軍パンをはいたおしゃれな人だった。

「はい。服を作っています……。というか、まだ出来ていませんが、これから作るんです。おしゃれというよりも、誰もがリラックスできる服を私は作りたいんです……」

僕はこんなに緊張しているアシャをはじめて見た。

「そうなのね。私も服作りをしているのよ。いつかあなたのようにかわいい人が作った服を私も着たいわ。がんばってね」

女性はそう言って、アシャの頬にキスをして「じゃあね」と言った。マリポールも微笑みながらアシャに投げキッスをした。

「あの……服を作るにあたって、どんなことでもいいので、ひとつアドバイスをしてください……」

アシャは急に積極的になって、服作りをしているという女性に聞いた。すると、女性はクスクスと笑って答えた。

「着た人が元気になる服を作ってね。人を元気にするには何が必要だと思う? それは見た目ではなく愛よ。ステッチひとつ、肌ざわり、色カタチなどすべて、その隅々まであなたの愛情を表現すること。ね、わかる?」

「私が着ているこのシャツは、私が作ったのよ。穴も開いているけれど、これもひとつの愛情なの。何年も着ていて、肌ざわりがなめらかになって、本当の意味での私の服になっている。愛情が注がれてね。だから、あなたの愛をどこまで服に注げるのか。大切なのはそれだけだと思うわ」

ハーレムの路上で ストーリーイメージ

「ねえ、今、着ているそのTシャツを脱いで」と女性は言って、その場で自分が着ていたシャツを脱いだ。

「早く脱いで。交換しましょ」

女性は、ハーレムの路上でいきなり着ている服をぱっと脱いで、僕らを驚かせた。

アシャは一瞬戸惑ったが、思い切って着ているTシャツをその場で脱いで、女性が手に持っていたシャツと交換し、そのシャツを羽織った。

「いつかまた服を交換しましょ」と女性は言った。

ソフトタッチクルーネックT(長袖)

進化した大定番

ワードローブに欠かせないベーシックなクルーネックTが大幅にアップデート。最大の変更点は、生地の裏表を逆にしたこと。

起毛面が内側になることで、肌に直接触れる面が素材のやわらかさや暖かさ、気持ちよさを体感できるようになりました。起毛させていない表地は、今までよりも鮮やかな色味の表現が可能に。深みある色やビビッドな色など、コーディネートの差し色アイテムとしても幅広くお楽しみいただけるのも自慢です。

ソフトタッチクルーネックT(長袖)
ソフトタッチクルーネックT(長袖)

起毛面が内側になることで、肌に直接触れる面が素材のやわらかさや暖かさ、気持ちよさを体感できるようになりました。起毛させていない表地は、今までよりも鮮やかな色味の表現が可能に。深みある色やビビッドな色など、コーディネートの差し色アイテムとしても幅広くお楽しみいただけるのも自慢です。

ソフトタッチクルーネックT(長袖)

肌ざわりのいい服

マリポールと一緒にいた、服作りをしているという女性からもらったシャツを着たアシャは呆然と立ち尽くした。

「あの女性どこかで見たことあるわ。思い出せないけれど有名なデザイナーよ……」

ロウェナはアシャの肩に手を回して言った。

ハーレムのアポロシアターの前で、大きめの黄色いシャツを着たアシャは、はいていたビンテージデニムにも絶妙にマッチして、そのコーディネートは誰の目にもすてきな着こなしに見えた。それだけそのシャツは輝いていた。

道行く若者たちが、アシャの前を通るたびに「君クールだね」と声をかけていった。

「さあ、行こうよ」とロウェナはアシャに言った。

「ねえ、このシャツ。よれよれだし、ところどころに穴も開いているし、私のサイズに合ってないのに、どうしてか心地よいの。フィットしていないのにフィットしてるの。私の服って思えるのはどうして? ねえ、どうして?」

アシャは独り言のように言った。

「肌ざわりがいい……。コットンなのに、こんなに肌ざわりがいいシャツってはじめて着たわ。デザインや色ではなく、肌ざわりがいいって服がこんなに嬉しいこととは知らなかった私……」

アシャは着ているシャツの襟や袖、裾を指で触りながら言った。アシャが何か新しい気づきを得ていることが僕にはわかった。

「ごめんなさい。私、今日帰る。家に帰って肌ざわりのいい服のことをしっかり考えたい……」

アシャは僕とロウェナに申し訳なさそうに謝った。

「うん、わかった。今日はアシャのアイドルに会えたことで十分よね。これからどこかに行ったって、きっと上の空だもん。いいよ、帰りましょう」

ロウェナはそう言って、アシャの手を取って駅のほうへと歩いた。

肌ざわりのいい服 ストーリーイメージ

「ねえ、肌ざわりのいい服ってどんな服? あなたが今持っている服の中で、いちばん肌ざわりのいい服って何?」

アシャは僕にこう聞いた。

「うーん、そうだな。ちょっとそのシャツさわらせて……」

僕はアシャの着ているシャツの裾を指でつまんで触った。そのシャツはほんとうに肌ざわりがよかった。そして、これと似た肌ざわりのいい服を、自分は知っていると気がついた。

ソフトタッチクルーネックT(長袖)

着やすく、使いやすく

今季は3年ぶりに袖口のリブを復活。腕まくりをしたときに袖口がぴったりフィットして留まる仕様に変更しました。また、肩幅と身幅のサイズにゆとりを持たせ、窮屈感を軽減。1枚でも着られるようにシルエットバランスを見直しました。

クルーネックはネックラインのステッチを無くし、すっきりとしたデザインに。ハイネックは、襟の色を重ね着して見せる着こなしができるように高さの絶妙なバランスを探しました。ストレッチが効きながら洗いざらしがうれしいコットン100パーセントの質感。毎日着ていただきたいLifeWearです。

ソフトタッチクルーネックT(長袖)
ソフトタッチクルーネックT(長袖)

クルーネックはネックラインのステッチを無くし、すっきりとしたデザインに。ハイネックは、襟の色を重ね着して見せる着こなしができるように高さの絶妙なバランスを探しました。ストレッチが効きながら洗いざらしがうれしいコットン100パーセントの質感。毎日着ていただきたいLifeWearです。

肌ざわりだけでなく、
動きやすさと着心地が、
驚きの感動。

松浦弥太郎
ソフトタッチクルーネックT(長袖)
057 MENソフトタッチ
クルーネックT
(長袖)
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LifeWear Story 100とは。

ユニクロには、
流行に左右されず、
けれども、決して古びることのない、
長い間、作り続けている普通の服がある。
品揃えの中では、
とても地味で目立たない存在である。
コマーシャルにもあまり出てこない。

それらは、ユニクロが、
もっと快適に、もっと丈夫に、
もっと上質であることを、
長年、愛情を込めて追求したものだ。

それらは、ユニクロの人格と姿勢が、
目に見えるかたちになったものであり、
丹精に育てているものだ。

昨日よりも今日を、今日よりも明日と。

手にとり、着てみると、
あたかも友だちのように、
その服は、私たちに、
こう問いかけてくる。

豊かで、上質な暮らしとは、
どんな暮らしなのか?
どんなふうに今日を過ごすのか?
あなたにとってのしあわせとは何か?と。

そんな服が、今までこの世界に、
あっただろうかと驚く自分がいる。

ユニクロのプリンシプル(きほん)とは何か?
ユニクロは、なぜ服を、
LifeWearと呼んでいるのだろう?
LifeWearとは、どんな服なのだろう?

ここでは、LifeWearの、
根っこを見る、知る、伝える。
そして、LifeWearと、自分にまつわる、
ストーリーを書いていきたい。

LifeWear Story 100は、
LifeWearと僕の、旅の物語になるだろう。

松浦弥太郎

松浦弥太郎
松浦弥太郎

エッセイスト、編集者。1965年東京生まれ。
2005年から15年3月まで、約9年間、創業者大橋鎭子のもとで『暮しの手帖』の編集長を務め、その後、ウェブメディア「くらしのきほん」を立ち上げる。現在は(株)おいしい健康の取締役に就任。数々のメディアで、高い審美眼による豊かで上質な暮らし提案に努めている。新聞、雑誌の連載の他、著書多数。ベストセラーに「今日もていねいに」「しごとのきほん くらしのきほん100」他多数。NHKラジオ第一「かれんスタイル」のパーソナリティとしても活躍。

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