100とは

レギンスパンツ

レギンスパンツ

Hip Hopを知った日

ある日、働いているカフェの常連からもらったというレコードを、アシャが僕のアパートに持ってきた。僕の部屋にはレコードプレイヤーがあったのだ。

「今いちばんかっこいい音楽よ。ね、一緒に聴こうよ」とアシャは言った。

レコードジャケットには「Funky 4+1」というアーティスト名があり、タイトルは「That’s The Joint」とあった。

「これが本物のラップだって。デボラ・ハリーの『ラプチャー』の歌い方は、この曲からってレコードをくれた人が言ってたわ」

アシャはデボラ・ハリーが大好きだった。僕はレコードプレイヤーにレコードをのせて針を落とした。

聴こえてきた音楽を耳にした僕らは息を飲んで目を合わせた。

「かっこいい……」

スピーカーから聞こえてきた「That’s The Joint」は、今まで聴いたことのない、まったく新しい音楽だった。それは商業的な歌というよりも、リアルなストリートの人の言葉そのもの。人々の言葉による会話がメロディでありビートになっている。

「すてきすてき! なんてかっこいいのでしょう!」

アシャは我慢できずに立ち上がり、部屋の中で踊りはじめた。そしてサビの部分の「She’s The Joint!」を、飛び跳ねながらレコードと一緒に歌っていた。

「ねえ、『That’s The Joint』ってわかる?めっちゃ最高!って意味よ」

「That’s The Joint」は、9分を超える長い曲で、僕らは何度もレコードをかけ続けて、踊りながら、「こう言った、ああ言った」と、歌われている言葉の意味を味わった。アシャは、後半の「He’s The Joint!」の部分で、僕を指さしながら「The Joint!」を繰り返し叫んだ。

「これってハーレムやブロンクスで生まれた、楽器を使うミュージシャンではなく、レコードを楽器代わりに使ったストリート音楽よ。私ほんとうにすごいと思う。こんなの今まで無かったもの!」

僕らはこの新しいストリート音楽がなんという名前なのかわからなかった。カフェで会う友だちも皆、「That’s The Joint」の話題でもちきりだった。

Hip Hopを知った日 ストーリーイメージ

それから少し経った頃、僕らと同じように新しい音楽に夢中になっていたロウェナが、「もうHip Hopしか聴きたくない」と言って、一本のカセットテープをアシャに渡した。

カセットテープのケースには「Rapper’s Delight」と太いマジックで書かれていた。

その日の夜、僕とアシャはロウェナおすすめの「Rapper’s Delight」を聴いた。

アシャは僕の腕を掴んで言った。「ね、わかる?『I said a Hip Hop』って最初に言ったわ」

アシャは「Rapper’s Delight」で歌われる最初の言葉を聴き逃さなかった。そして曲の中で歌われる言葉のひとつひとつを、あたかも本を読むように聴き入ってから言った。

「これがHip Hopよ」と。

「Rapper’s Delight」のメロディーは、大ヒットしたChicの「Good Times」だった。

レギンスパンツ

本格ジーンズのルックス

ラクにはけて動きやすく、すっきり美脚ラインが自慢のレギンスパンツです。

今季は、はいたときの美しさにこだわり、ディテール、ステッチ幅などすべて見直し。側面のラインを後ろに移動し、前ポケットの幅を広く、後ろポケットはお尻を隠しながらヒップが高く見える位置と大きさにパーツのバランスも変更。さらにヨークのラインやステッチもよりシャープにすることで、スキニージーンズのような本格パンツのルックスが実現しました。

レギンスパンツ
レギンスパンツ

今季は、はいたときの美しさにこだわり、ディテール、ステッチ幅などすべて見直し。側面のラインを後ろに移動し、前ポケットの幅を広く、後ろポケットはお尻を隠しながらヒップが高く見える位置と大きさにパーツのバランスも変更。さらにヨークのラインやステッチもよりシャープにすることで、スキニージーンズのような本格パンツのルックスが実現しました。

レギンスパンツ

ハーレム探検を

僕とアシャは、いつもニューヨークという街の探検を楽しんでいた。

「ねえ、明日の休みの日にハーレムかブロンクスに行ってみようよ。私ヒップホップをこの目で見てみたいわ」

ブロンクスという言葉に僕は反応した。というのは、少し前にジャックの手伝いで、車でブロンクスを訪れていたからだ。

車がブロンクスというエリアに入っていった時、「ドアのロックをして、窓は絶対に開けるな」とジャックは言った。

そこで見た光景は、僕の知る華やかなニューヨークではなく、空き地が多く、建物のほとんどが廃墟と化したゴーストタウンのような街並みだった。

冷や汗をかいたのは、信号が赤になり、僕らの車が止まった時、道の脇から数人のホームレスが現れて、何かを言いながらドアを開けようとしたことだ。

「無視しろ」とジャックは言って、車を走らせた。ホームレスは車に向かって何かを叫び、ゴミのようなものを投げつけていた。

「このあたりは一番治安が悪い。都市計画の末、たくさんの住民が郊外に移ってしまって、残ったのは貧困層だけになったんだ。街並みが取り壊されていく中で、ビルの持ち主が保険金を得るために建物に放火したりして、街はこんなありさまになったんだ。ひどいもんだ」

ジャックは首を振ってこう言った。

ブロンクスがどんなところか知っていた僕は、そんな危険な場所にアシャと行く気にはならなかった。

「ブロンクスは危ないよ。行くところではない」と言うと、「ハーレムなら大丈夫よ。私、前に行ったことがあるわ。昼間なら絶対安心よ」とアシャは言った。

「このレギンスパンツは、ハーレムのアフリカンアメリカンの女の子がかわいく着こなしていて、真似して買ったのよ。ほら、足にぴったりで細くてすてきでしょ。このパンツにバスケットのスニーカーを合わせるのが好き。細い足にしっかりしたスニーカーのバランスはかわいいわ」

おしゃれなアシャは、嬉しそうに自分のコーディネートを僕に見せた。

「ね、ロウェナを誘って三人で行こう。彼女ヒップホップにも詳しいから!」

ハーレム探検を ストーリーイメージ

ロウェナに電話すると「私が案内するからまかせて!」と言った。

「私、このレギンスパンツはいていこうっと。靴はまっさらなスニーカーがいいわ。トップスは黒いタンクトップにしよっと」

僕らはハーレム探検にわくわくしながら、その日の朝を迎えた。

レギンスパンツ

極上のはき心地

素材はタテにもヨコにも自由に伸びて動きやすいカットソー生地ながら、ツイルのような凹凸のある表面感が特徴です。通常よりも高い弾性を誇る繊維“スパンデックス”を使用することで抜群のストレッチ性が生まれました。

ウエストのゴムは薄いながらも、キックバックのしっかりとしたものを使用しているので快適なはき心地はそのままです。短いトップスと合わせてスタイリッシュに。圧倒的な色展開は日々のスタイリングの幅を大きく広げてくれるはずです。

レギンスパンツ
レギンスパンツ

ウエストのゴムは薄いながらも、キックバックのしっかりとしたものを使用しているので快適なはき心地はそのままです。短いトップスと合わせてスタイリッシュに。圧倒的な色展開は日々のスタイリングの幅を大きく広げてくれるはずです。

はじめてはいた日が
忘れられない。
私の元気パンツ。

松浦弥太郎
レギンスパンツ
055 WOMENレギンスパンツ
(丈標準71~73cm)
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LifeWear Story 100とは。

ユニクロには、
流行に左右されず、
けれども、決して古びることのない、
長い間、作り続けている普通の服がある。
品揃えの中では、
とても地味で目立たない存在である。
コマーシャルにもあまり出てこない。

それらは、ユニクロが、
もっと快適に、もっと丈夫に、
もっと上質であることを、
長年、愛情を込めて追求したものだ。

それらは、ユニクロの人格と姿勢が、
目に見えるかたちになったものであり、
丹精に育てているものだ。

昨日よりも今日を、今日よりも明日と。

手にとり、着てみると、
あたかも友だちのように、
その服は、私たちに、
こう問いかけてくる。

豊かで、上質な暮らしとは、
どんな暮らしなのか?
どんなふうに今日を過ごすのか?
あなたにとってのしあわせとは何か?と。

そんな服が、今までこの世界に、
あっただろうかと驚く自分がいる。

ユニクロのプリンシプル(きほん)とは何か?
ユニクロは、なぜ服を、
LifeWearと呼んでいるのだろう?
LifeWearとは、どんな服なのだろう?

ここでは、LifeWearの、
根っこを見る、知る、伝える。
そして、LifeWearと、自分にまつわる、
ストーリーを書いていきたい。

LifeWear Story 100は、
LifeWearと僕の、旅の物語になるだろう。

松浦弥太郎

松浦弥太郎
松浦弥太郎

エッセイスト、編集者。1965年東京生まれ。
2005年から15年3月まで、約9年間、創業者大橋鎭子のもとで『暮しの手帖』の編集長を務め、その後、ウェブメディア「くらしのきほん」を立ち上げる。現在は(株)おいしい健康の取締役に就任。数々のメディアで、高い審美眼による豊かで上質な暮らし提案に努めている。新聞、雑誌の連載の他、著書多数。ベストセラーに「今日もていねいに」「しごとのきほん くらしのきほん100」他多数。NHKラジオ第一「かれんスタイル」のパーソナリティとしても活躍。

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