100とは 100とは

サングラス

サングラス

三枚の便箋

封筒の中には、夏の青空を思わせるスカイブルーの便箋が入っていた。

僕は便箋の枚数を数えた。便箋は三枚だった。開くと、青いインクで、丸っこい文字がころころと転がるように並んでいた。

アシャとの関係をあきらめていた僕は、自分が救われた気持ちになった。少なからず、「さようなら」の一言ではない。

便箋の枚数にしても、そこに書かれている文字にしても、アシャが僕に何かを伝えようとして、時間と心を使ってくれているのがわかったからだ。

この手紙をどこで読もうか。できるだけ早く読みたい気持ちをおさえ、僕はゆっくりと落ち着いて読めるふさわしい場所を探した。

ストロベリーフィールズに行こう。

僕にとって一番落ち着く場所。一人でいても不思議と寂しい気持ちにならないストロベリーフィールズで、アシャの手紙を読もう。そう思って僕はセントラルパークへと向かった。

昼前のストロベリーフィールズは、人の姿も少なく、しんとして静かだった。夏の木漏れ日できらきらした芝生が眩しかった。

大きなナラの木の下に腰を下ろすと、赤い羽根の野鳥がちょんちょんと跳ねるように近づいてきた。

「お腹が空いてるんだね。ごめん。今日は何も持ってないんだ」そう言うと、野鳥はしばらく僕のまわりを歩き回ってから、木の上のほうに飛んでいった。

アシャの手紙を開いた。この時くらい英語をしっかり読めない自分を悔やんだことはない。書いてあることは理解できても、感情のニュアンスまでを読み取ることができない。読み違いがあるかもしれない。だから僕は、一字一句できるだけ見落としのないように読んだ。

三枚の便箋 ストーリーイメージ

手紙にはこう書いてあった。

せっかく会いに来てくれたのに、この前はほんとうにごめんなさい。あなたがどんな気持ちで会いに来てくれて、そして帰っていったのかを考えると、胸が苦しくなるくらい辛い気持ちで一杯になります。

あんな態度を取ってしまったのは、あなたとの仲をこれからどうしたらよいかわからなかったのです。あなたはとても親切で、とても魅力的で、とても尊敬できて、私にはもったいないくらいの人。私はあなたを好きになろうとしている。けれども、あなたを好きになっていいのかわからない自分がいるのです。

僕は、先を読むのにためらいを感じ、開いた手紙を一度閉じて、バッグの中に入っていたサングラスをかけた。

遠くに目をやると、木陰に座った仲睦まじいカップルが見えた。

サングラス

レンズに機能を

ユニクロのサングラスはレンズにとことんこだわっています。紫外線を99%カットし、デジタルデバイスから出るブルーライトを低減して眼を保護する「UVカット400」レンズを全てのサングラスに採用。

さらにレンズ上の反射を抑え、クリアな視界にする「反射防止コーティング」をプラスしました。ハーフリムタイプには光の乱反射をカットする「ポリカーボネート偏光レンズ」を使用。水面や窓面、路面における光のギラつきを抑え、すっきりした視界を確保します。

サングラス

さらにレンズ上の反射を抑え、クリアな視界にする「反射防止コーティング」をプラスしました。ハーフリムタイプには光の乱反射をカットする「ポリカーボネート偏光レンズ」を使用。水面や窓面、路面における光のギラつきを抑え、すっきりした視界を確保します。

サングラス

一日だけのデート

アシャが誠実に自分の気持ちを書いてくれていることが嬉しかった。

手紙の続きを読んだ。

実は今、私は付き合っている男性がいるのです。その人とは週に一、二度会っています。私たちは悪い関係ではありません。私は二人の男性を愛することはできない人間ですが、今あなたを好きになろうとしている自分に戸惑っているのです……。

恋人がいるのを黙っていたこと、あなたの気持ちを受け入れた態度をしたこと、ほんとうにごめんなさい……。

そこにはアシャの声が聞こえてきそうな正直な言葉が綴られていた。

働いている「コーヒーショップ」では、彼女目当てのお客がたくさんいることも知っていたし、いろいろな男性から言い寄られているのも知っていたから、彼女に恋人がいることはひとつもおかしくない。当然のことかもしれない。でも……。

私が知りたいこと。それはこれからのあなたのことです。あなたはこれからもニューヨークに居続けるのですか。それとも日本に帰るのですか。これから、どこで、どんなふうに生活をしていこうと思っているのですか。私はもっとあなたのことを知りたいのです。

なぜなら、私はあなたと一緒にいることで、自分の日々がよりよく変わるのかもしれない。もっとしあわせになれるかもしれない。もっと成長できるかもしれない。日々が楽しくなるかもしれない。そんなふうに予感したのです。

一日だけのデート ストーリーイメージ

私からあなたへ提案させてください。もう一日だけデートしませんか? あなたとたくさんおしゃべりして、たくさん一緒に過ごして、もう一度、自分の気持ちを確かめたいのです。私も自分のことを知ってもらうための努力をします。だから、あなたも自分のことを私にたくさん教えてください。

そのデートの後、お互いの気持ちを確かめましょう。もっと会いたい。もっとお話したい。もっと手をつなぎたい。そう思うかどうか試しましょう。私は恋人にこのことを正直に話します。隠れてあなたとデートすることはしません。

人が人を好きになるのはすてきなこと。

これは私からあなたへのラブレターです。最期まで読んでくれてありがとう。

手紙の最後にこう書いてあった。

サングラスは陽射しを遮ってくれるだけでなく、僕の涙も隠してくれていた。

悲しいのか嬉しいのか、自分でもわからない涙だった。

サングラス

あらゆるシーンに

「フレキシブルノーズパッド」を採用することで、鼻のフィットは自在に調整可能。テンプル(つる)の終わりにある滑り止めは、スポーツやアウトドアアクティビティにもぴったりです。

細身のライトウェイトタイプは、フレームに弾力性と強度に優れた「TR-90」素材を使用し、壊れにくい工夫をしました。デザインはユニセックスでカラーバリエーションも豊富にご用意。普段使いから旅行まで、胸ポケットやバッグに気軽にいつでも入れておきたいサングラスです。

サングラス
サングラス

細身のライトウェイトタイプは、フレームに弾力性と強度に優れた「TR-90」素材を使用し、壊れにくい工夫をしました。デザインはユニセックスでカラーバリエーションも豊富にご用意。普段使いから旅行まで、胸ポケットやバッグに気軽にいつでも入れておきたいサングラスです。

おしゃれというより、
すぐれた道具として、
持ち歩くサングラス。

松浦弥太郎
サングラス
044 ハーフリム
サングラス
閉じる

LifeWear Story 100とは。

ユニクロには、
流行に左右されず、
けれども、決して古びることのない、
長い間、作り続けている普通の服がある。
品揃えの中では、
とても地味で目立たない存在である。
コマーシャルにもあまり出てこない。

それらは、ユニクロが、
もっと快適に、もっと丈夫に、
もっと上質であることを、
長年、愛情を込めて追求したものだ。

それらは、ユニクロの人格と姿勢が、
目に見えるかたちになったものであり、
丹精に育てているものだ。

昨日よりも今日を、今日よりも明日と。

手にとり、着てみると、
あたかも友だちのように、
その服は、私たちに、
こう問いかけてくる。

豊かで、上質な暮らしとは、
どんな暮らしなのか?
どんなふうに今日を過ごすのか?
あなたにとってのしあわせとは何か?と。

そんな服が、今までこの世界に、
あっただろうかと驚く自分がいる。

ユニクロのプリンシプル(きほん)とは何か?
ユニクロは、なぜ服を、
LifeWearと呼んでいるのだろう?
LifeWearとは、どんな服なのだろう?

ここでは、LifeWearの、
根っこを見る、知る、伝える。
そして、LifeWearと、自分にまつわる、
ストーリーを書いていきたい。

LifeWear Story 100は、
LifeWearと僕の、旅の物語になるだろう。

松浦弥太郎

松浦弥太郎
松浦弥太郎

エッセイスト、編集者。1965年東京生まれ。
2005年から15年3月まで、約9年間、創業者大橋鎭子のもとで『暮しの手帖』の編集長を務め、その後、ウェブメディア「くらしのきほん」を立ち上げる。現在は(株)おいしい健康の取締役に就任。数々のメディアで、高い審美眼による豊かで上質な暮らし提案に努めている。新聞、雑誌の連載の他、著書多数。ベストセラーに「今日もていねいに」「しごとのきほん くらしのきほん100」他多数。NHKラジオ第一「かれんスタイル」のパーソナリティとしても活躍。

閉じる閉じる