100とは

KIDS イージーショートパンツ

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アシャへのラブレター

手紙を書く。そんなどうってことない行為に戸惑う自分がいた。アシャに対して、特別な感情があったからだ。自分をよく見せようという気持ちが働いて、言葉も文字も嘘っぽくなった。

うまく書こう。きれいな字で書こう。知的で、やさしくて、すてきに思われたい。仲良くなりたい。そして、アシャを思う自分を知ってもらいたい。

そういう気持ちで胸がいっぱいで、どうしようもない自分を抑えられなかった。

便箋に言葉を書き、破いて捨てる。それを繰り返した。そんな書き損じた便箋が十枚を超えた時、「もう書けない……」という言葉が口からポロッと出た。

僕ははっとした。「もう書けない」これが嘘のない本当の気持ち。それを僕は言葉にしたかったのだ。

僕は新しい便箋に「もう書けない」と一言書いた。そして、あなたへの感謝と、今の自分の気持ちを、手紙で伝えたいのだけれど、下心が邪魔して、ペンが動かない、と書いた。

たった数行の手紙。

へんてこりんな手紙になったが、下手な英語で長々と言葉を綴るよりも、自分らしいと思った。

次の日の朝、僕は封筒に入れた手紙を片手に持って、コーヒーショップを訪れた。いつものように、朝食代わりのレーズンパンとコーヒーを注文し、アシャにあいさつをした。

その日のアシャは、髪をポニーテールにまとめて、ピンク色のワンピースの上に、メンズサイズの白いTシャツを着て、真っ赤なサンダルをはいていた。

「おはよう、元気?」とアシャは笑顔で言った。「うん、おはよう。元気です。いつもありがとう。君に手紙を書いたんだ。はい、これ」と言って僕は封筒をアシャに渡した。

「ワオ! わたしに? ほんとうに? もらっていいの? ありがとう。もしかしたら、ラブレター? えー! あとで読むわ」と、アシャはカウンターの中で飛び跳ねるようにして喜んで受け取ってくれた。

「大したものではないんです。ただ、いつも君から元気をもらっているので……」と僕は照れをごまかすように言った。

アシャが無邪気に喜んでくれたのが意外で嬉しかった。「ラブレター?」と聞かれ、僕が「うん」と頷いたとき、一瞬だが彼女と目と目が合った。それだけで僕は自分の気持ちが彼女に伝えられたような気持ちになって嬉しかった。

そうだ。僕はラブレターを書いたのだ。

アシャへのラブレター ストーリーイメージ

コーヒーを飲み終わった僕は、おもむろに、カウンターの中にいるアシャを見た。彼女は僕の書いた手紙を両手に持ち、じっと見つめて読んでいた。

僕は恥ずかしくなって、パンとコーヒーの代金をテーブルにそっと置いて、そそくさとカフェから出て、ユニオンスクエアの雑踏にまぎれた。

顔が赤くなった。

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えらぶ楽しさ

子どもの夏に欠かせないショートパンツは、男女で全30色柄という豊富なバリエーションが自慢です。海を思い出させるヨット柄、アウトドアなヒッコリー柄、バケーション気分のリーフ柄、ビタミンカラーの無地、さらにはデニムやツイルなどの素材違いまで。その子のカラーに合った1枚を一緒に楽しんで選んでいただけるはずです。

また、夏休みの素敵なお出かけの思い出に、さりげなく色や柄を合わせた親子コーディネートにチャレンジするのもおすすめです。

KIDS イージーショートパンツ
KIDS イージーショートパンツ

また、夏休みの素敵なお出かけの思い出に、さりげなく色や柄を合わせた親子コーディネートにチャレンジするのもおすすめです。

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はじめてのデート

「ちょっと待って!」というアシャの大きな声が後ろから聞こえた。

足を止め、後ろを振り返ると、手紙を持ったアシャが僕に向かって走ってきた。

「こんなラブレターもらったのはじめてよ。変なラブレターね。でも、あなたの気持ちが嬉しいわ。ありがとう! 明日、わたし休みなの。よかったらセントラルパークでサイクリングしない?」

こんな展開になるとは思ってもいなかった僕は驚いた。

「明日の朝、起きたら電話するから、あなたの電話番号教えて」

アシャは息を弾ませながら言った。

「うん、うれしいけど、自転車持ってないんだ」と答えると、「私もよ。レンタルできるから大丈夫。ね、行こ」とアシャは微笑んだ。

電話番号をメモに書いて渡すと、「じゃあ、明日ね」と言って、アシャはカフェに走って戻っていった。途中で後ろを振り返り、僕に向けて大きく手を振った。

次の日、朝7時過ぎにアシャから電話があった。僕らは10時にコロンバスサークルで待ち合わせして、レンタル自転車を借りにいくことにした。

「おはよう。いい天気でよかったね」

アシャはグリーンのTシャツにカットオフしたデニムのパンツをはいて、デイパックを背負って待ち合わせ場所にやってきた。

白のオックスフォードシャツ、カーキのショートパンツにテニスシューズをはいた僕を見て、「ショートパンツ似合うわね。はじめて見たわ」と笑った。

はじめてのデート ストーリーイメージ

「時々、こんなふうにセントラルパークを自転車で走るの。一人で」

僕とアシャは、セントラルパークの自転車レーンをのんびり走りながらおしゃべりをした。

「ニューヨークでいちばん好きな場所どこ?」と聞くので、「ここ。セントラルパーク」と答えると、「私も!」とアシャは言った。

「ニューヨークに来たばかりの頃、毎日セントラルパークで本を読んでいたんだ」と言うと、「私はいつも公園内を歩き回っていたわ。探検家のように。私たち似てるね」と言って笑った。

「街中はとにかく人が多いし、うるさいし、せわしくて苦手。ここに来ると気持ちが落ち着くの」

アシャはペダルをこぎながら、遠くの景色を見ていた。

「ねえ、子どもの頃、どんな子どもだった?」

「知りたいことを何でも知りたがる子どもだったよ。大人に質問ばかりして困らせるような。あとは一年中ショートパンツをはいていたよ。今思うと、どんなに寒くなってもショートパンツをはき続けることで、自分は強いんだ、と主張していたんだね。クラスにもうひとり、いつもショートパンツの子がいて、彼と競争していたんだ」

「何を競争していたの?」

「いつまでショートパンツをはき続けられえるのかの競争だよ。いわゆる我慢比べ。結局、冬になって雪が降ってもショートパンツをはいて学校に行った僕が勝ったんだけど」

「雪の日にショートパンツ?」

「そう、上はダウンジャケットを着ているんだけど、下は素肌丸出しのショートパンツ。みんなにすごーいと言われてご満悦だった」

「アハハハ、おかしい! でも、そういう子、私、嫌いじゃないわよ。そっか、だから、ショートパンツが似合うのね」

「じゃあ、今日は私と競争しよ!」

アシャは自転車のスピードを上げて走った。

「私は子どもの頃、自転車が大好きだった。はじめて自転車に乗った時、これでどこへでも行けると思ったの。毎日自転車に乗っていたわ。だから自転車が得意!」

僕も負けじとスピード上げたが、アシャには追いつけなかった。

「今日わかったのは、私もあなたも負けず嫌いってこと」

自転車を止め、大きな池のほとりのベンチで休んでいた時、アシャはこう言って、クスクスと笑った。そして、「ミスターショートパンツさん、よろしく」と言い、自分の手を僕に差し出した。

僕は彼女の手をはじめて握った。

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パパとママにうれしい

ウエストの左脇裏に開けたゴム穴は、成長の早いお子様に合わせてサイズを調整したり、ゴムを引き出して取り替えたり、少しでも永く愛用していただける工夫です。ウエストにストレッチが効いているので、お子様が自分でも着替えやすいのも魅力。

今季は、スリムですっきり見えながらも、動きやすいフィット感と丈感に改良。さらにウォッシュの加工方法を変更し、より柔らかな風合いに仕上げました。大人用のアイテムにも負けない本格仕様も自慢です。

KIDS イージーショートパンツ
KIDS イージーショートパンツ

今季は、スリムですっきり見えながらも、動きやすいフィット感と丈感に改良。さらにウォッシュの加工方法を変更し、より柔らかな風合いに仕上げました。大人用のアイテムにも負けない本格仕様も自慢です。

僕にとって、
ショートパンツは、
強くて元気な証だった。

松浦弥太郎
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LifeWear Story 100とは。

ユニクロには、
流行に左右されず、
けれども、決して古びることのない、
長い間、作り続けている普通の服がある。
品揃えの中では、
とても地味で目立たない存在である。
コマーシャルにもあまり出てこない。

それらは、ユニクロが、
もっと快適に、もっと丈夫に、
もっと上質であることを、
長年、愛情を込めて追求したものだ。

それらは、ユニクロの人格と姿勢が、
目に見えるかたちになったものであり、
丹精に育てているものだ。

昨日よりも今日を、今日よりも明日と。

手にとり、着てみると、
あたかも友だちのように、
その服は、私たちに、
こう問いかけてくる。

豊かで、上質な暮らしとは、
どんな暮らしなのか?
どんなふうに今日を過ごすのか?
あなたにとってのしあわせとは何か?と。

そんな服が、今までこの世界に、
あっただろうかと驚く自分がいる。

ユニクロのプリンシプル(きほん)とは何か?
ユニクロは、なぜ服を、
LifeWearと呼んでいるのだろう?
LifeWearとは、どんな服なのだろう?

ここでは、LifeWearの、
根っこを見る、知る、伝える。
そして、LifeWearと、自分にまつわる、
ストーリーを書いていきたい。

LifeWear Story 100は、
LifeWearと僕の、旅の物語になるだろう。

松浦弥太郎

松浦弥太郎
松浦弥太郎

エッセイスト、編集者。1965年東京生まれ。
2005年から15年3月まで、約9年間、創業者大橋鎭子のもとで『暮しの手帖』の編集長を務め、その後、ウェブメディア「くらしのきほん」を立ち上げる。現在は(株)おいしい健康の取締役に就任。数々のメディアで、高い審美眼による豊かで上質な暮らし提案に努めている。新聞、雑誌の連載の他、著書多数。ベストセラーに「今日もていねいに」「しごとのきほん くらしのきほん100」他多数。NHKラジオ第一「かれんスタイル」のパーソナリティとしても活躍。

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