100とは

感動ジャケット

感動ジャケット

考えを言葉にする

インテリアコーディネーターのペギーさんから依頼された仕事は、ジャックと一緒に手がけることになった。

ある顧客が家を新調するにあたって、リビングに大きな本棚を誂えるので、そこに収めるセンスのよいビンテージブックをセレクトするという、これまでにない新しい取り組みだった。

セレクトの手がかりはデンマークの家具デザイナー、フィン・ユールの名作椅子NO.45だ。この椅子の、センスと価値のレベルに合った本を、どれだけ集められるのかが僕らの腕の見せ所だ。幸いにも予算の上限はナシ。

「ものすごくモダンでセンスの良い古書店を一軒作り出すのと同じ労力が必要だな。最低でも二千冊の本を揃えよう」とジャックは言った。

「二千冊!」と僕が驚くと、「ダンボール箱百箱くらいだ。やればできる。二ヶ月でなんとかしよう」とジャックは僕の肩を叩いた。

さておき、ニューヨーク滞在中、僕は何度か日本に一時帰国し、その都度、今、自分が取り掛かっている本を探すという仕事について、両親や友だちにぽつぽつと話し、自分のこれから先のビジョンを伝えていた。

手探りであっても、自分が信じているビジョン、または価値というものを、そうやって誰かにわかってもらうために、あれこれと考え抜いて、言語化する努力の繰り返しは僕には必要だった。

そうすることで、自分自身の理解も深まり、見えなかったものが見えてくることが多かったからだ。

なぜ、なにを、どうやって、それでどうなるのか、なにをしたいのか、その先になにがあるのか。誰がどんなふうに、しあわせになるのか。僕は一日中考えていた。

印刷技術や製本、紙、デザイン、その内容や表現など、すべてにおいて、その時代の才能とクリエーティブが、ぎゅっと凝縮された書籍という印刷物の美しさ。そして、情報ではなく感動を伝えるという本来あるべきメディアの姿から、今を生きる僕らが学ぶべき大切なことがある。

「時代を超えて、新しさと美しさを備えた美しい本の存在とその価値を伝えたい」これが僕の描いたビジョンだった。

考えを言葉にする ストーリーイメージ

「ジャック、ちょっと聞いてもらっていいかな?」と、僕はいつもジャックを相手に、自分のビジョンをあれこれと言葉の表現を変えて話した。

「うーん、僕にはわかるけれど、何も知らない人にはさっぱりわからないだろうな」と、ジャックは僕にダメ出しをし続けた。

「もっとシンプルに、もっと簡単に、誰もがわかるようにまとめるといい。君にとって本は大事だけど、本質はもっと大きなものだと思う。あえて本のことを言わなくてもいいじゃないか?」とジャックは言った。

この言葉に僕ははっとした。

感動ジャケット

超「高機能」ジャケット

超軽量・超伸縮・超速乾。未体験の着心地に「感動」する高機能ジャケットです。東レと開発したポリエステル100%の素材は、軽やかでお手入れも簡単。同素材のパンツとセットアップでの着用が可能です。

汗をかきやすい裏地の脇下には抗菌防臭機能がついた通気性抜群のAirdotsを使用。夏場のビジネスシーンや旅行先のレストランなどで食事する時、カジュアルにTシャツやパーカなどと合わせた普段使いにもおすすめです。

感動ジャケット
感動ジャケット

汗をかきやすい裏地の脇下には抗菌防臭機能がついた通気性抜群のAirdotsを使用。夏場のビジネスシーンや旅行先のレストランなどで食事する時、カジュアルにTシャツやパーカなどと合わせた普段使いにもおすすめです。

感動ジャケット

ビジネスだから

本のコーディネートには、古書店仲間の協力が必要だった。僕とジャックは、日頃から付き合いの深い古書店の店主に相談して歩いた。

この頃から僕は、白いシャツにネイビーのジャケットを着るスタイルが自分の定番になっていた。シャツは、オックスフォードのボタンダウン。ジャケットは、ベーシックなデザインで、シャツ感覚で羽織れる、薄手で軽やかなものを選んでいた。ボトムスは、デニムもしくはチノパンツをその日の気分で選び、靴は黒のローファーを履いていた。場合によってはレジメンタルのタイを結んだ。

相手が誰であろうと、仕事の話をする際は、その相手への敬意を払った服装をしていくのがマナーである。そう心がけ、いつしかそれが毎日の身だしなみになった。

ベテランばかりの中で、駆け出しの自分が出来る精一杯は、身だしなみを整え、謙虚さを失わずに、すべてのことから学ぼうとする素直さを保つことだった。

ジャックにしても同様で、彼のようなベテランであっても、仕事の打ち合わせをする時には、身だしなみを整え、相手への敬意を払っていた。

「身だしなみで大事なのは何か?」と、僕らはよくこんな話をした。

というのは、僕にしてもジャックにしても、基本的に服が大好きで(特にトラッドなもの)、ファッションを楽しみたい気持ち(目立ちたいのではなく)は人一倍あったからだ。

「身だしなみとは、まず清潔であることだよ。髪型や肌、指の先、たとえば、匂いもそうだ。清潔であるということは、自分は人間関係を大切にしているという姿勢の現れだよね。何を着て、どんなものを身につけるってことではないんだ。僕らは一日に何度もハグをしたり、握手をしたりするけれど、だからこそ清潔さはマナーでもある」と、ジャックは言い、僕はうなずいた。

ビジネスだから ストーリーイメージ

「本を集めるために、毎日たくさんの人に会って、いわば僕らの仕事のために、貴重な本を譲ってくれとお願いして、こうして実際に集められているのも、僕らが身だしなみに気をつけているからこそでもあるんだ。僕らが一所懸命であることが、身だしなみという見た目でわかるからこそ、みんなは力を貸してくれるんだ」

「僕は昔、そんなこと関係ない。不潔だろうと清潔であろうと、仕事は才能と実力がすべてだと思いこんでいた。けれども、それよりも、相手へのマナーと敬意と思いやりが大切だと気づいたんだ」とジャックは話した。

「なぜ気づいたの?」と僕は聞いた。

「それは、自分がやっていることが、趣味や単に好きなことではなく、ある日、ビジネスであると気づいたんだ。ビジネスだからこそ、マナーと敬意と思いやりが大切なんだ」とジャックは言った。

その言葉に、僕はまたはっとした。

感動ジャケット

動きやすさとデザインの両立

素材の特性に合わせてミリ単位のバランス調整を行いました。袖や肩にゆとりあるパターンを採用しながらも、すっきりとした袖のフォルムに仕上げ。さらにフロントポケットの下にある縫い目をなくしたことで、ストレッチによる動きやすさとクリーンな印象を両立しました。

今季はウルトラライト、ウールライク、コードレーンの3パターンをご用意。素材ごとにそれぞれ異なる表情は、幅広いシチュエーションでお楽しみいただけます。

感動ジャケット
感動ジャケット

今季はウルトラライト、ウールライク、コードレーンの3パターンをご用意。素材ごとにそれぞれ異なる表情は、幅広いシチュエーションでお楽しみいただけます。

このジャケットは、
服というよりも道具に近い。
そのくらいに役立つ。
そのくらいに馴染む。

松浦弥太郎
感動ジャケット
036 MEN感動ジャケット
(ウルトラライト・
コットンライク)
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LifeWear Story 100とは。

ユニクロには、
流行に左右されず、
けれども、決して古びることのない、
長い間、作り続けている普通の服がある。
品揃えの中では、
とても地味で目立たない存在である。
コマーシャルにもあまり出てこない。

それらは、ユニクロが、
もっと快適に、もっと丈夫に、
もっと上質であることを、
長年、愛情を込めて追求したものだ。

それらは、ユニクロの人格と姿勢が、
目に見えるかたちになったものであり、
丹精に育てているものだ。

昨日よりも今日を、今日よりも明日と。

手にとり、着てみると、
あたかも友だちのように、
その服は、私たちに、
こう問いかけてくる。

豊かで、上質な暮らしとは、
どんな暮らしなのか?
どんなふうに今日を過ごすのか?
あなたにとってのしあわせとは何か?と。

そんな服が、今までこの世界に、
あっただろうかと驚く自分がいる。

ユニクロのプリンシプル(きほん)とは何か?
ユニクロは、なぜ服を、
LifeWearと呼んでいるのだろう?
LifeWearとは、どんな服なのだろう?

ここでは、LifeWearの、
根っこを見る、知る、伝える。
そして、LifeWearと、自分にまつわる、
ストーリーを書いていきたい。

LifeWear Story 100は、
LifeWearと僕の、旅の物語になるだろう。

松浦弥太郎

松浦弥太郎
松浦弥太郎

エッセイスト、編集者。1965年東京生まれ。
2005年から15年3月まで、約9年間、創業者大橋鎭子のもとで『暮しの手帖』の編集長を務め、その後、ウェブメディア「くらしのきほん」を立ち上げる。現在は(株)おいしい健康の取締役に就任。数々のメディアで、高い審美眼による豊かで上質な暮らし提案に努めている。新聞、雑誌の連載の他、著書多数。ベストセラーに「今日もていねいに」「しごとのきほん くらしのきほん100」他多数。NHKラジオ第一「かれんスタイル」のパーソナリティとしても活躍。

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