100とは

特別編

特別編

土曜日が待ち遠しい

毎週土曜日の朝、一週間分のグラノーラを焼く。

アメリカで出会って大好きになった料理が3つある。ひとつはパンケーキ。もうひとつはシーザーサラダ。そしてグラノーラだ。

どれもいたって簡単な家庭料理だけど、簡単であるからこそ、こだわりやアレンジが自由自在で、自分好みにおいしく作ろうと思うと面白いくらいにはまってしまう。

服で一番好きなのはTシャツだけど、シンプルなTシャツ一枚をすてきに着こなすのが、意外とむつかしいように、グラノーラ作りもおいしく作るのはむつかしい。だから楽しい。毎週土曜日が待ち遠しい。

土曜日が待ち遠しい ストーリーイメージ

グラノーラのこだわりはなんですか?とよく聞かれる。作り始めた頃は風味だった。ほんのりした甘さに、隠し味の塩がアクセントとなって、注いだミルクやヨーグルトに混ざり合うシナモン。その調合を試行錯誤した。

そんなふうに作り続けて、ある時、気づいた。グラノーラのおいしさは風味ではなく、香ばしい食感であると。スプーンですくって口に入れ、食べた時の、硬くもなく柔らかくもないおいしいと感じる食感。焼き立てであることがよくわかって、食べれば食べるほど、ずっと食べていたくなるような食感が、グラノーラの極みであると発見した。

話変わって、土曜日という休日の待ち遠しい楽しみがもうひとつある。仕事を忘れて、いちばん楽で、いちばん自分らしく、いちばん好きな服を着ることだ。

白のポケットTシャツの上に、大好きなストライプのボタンダウンシャツをジャケットのようにはおる。どちらも2サイズ大きめ。服の中で身体が泳ぐくらいがいい。ボトムはネイビーのスエットパンツ。ジャストサイズでバランスをとる。ソックスはラインの入ったスポーツソックスが気分。

グラノーラをオーブンで焼いている間に、普段なかなか手にとらない写真集やアートブックをぱらぱらと見ていると、すっと心が安らいでいく。

旅の目的は、到着することではなく、旅をしているという感覚であると誰かが書いていたが、土曜日という旅を、僕はいつもこんなふうに楽しんでいる。

特別編

休日も
自分らしく

マイ休日スタイルその1。ボタンダウンの襟ボタンを外す。シャツはジャケットのようにはおるのも好き。これだけで休日っぽくなる。

特別編

休日も
自分らしく

特別編

マイ休日スタイルその1。ボタンダウンの襟ボタンを外す。シャツはジャケットのようにはおるのも好き。これだけで休日っぽくなる。

ピシッと
清潔感で

ポケットTは大きめがいい。大きめだからこそ、アイロンをかけて、ぴしっとしたのがいい。アイロンなんてと笑わないでください。

特別編

ピシッと
清潔感で

特別編

ポケットTは大きめがいい。大きめだからこそ、アイロンをかけて、ぴしっとしたのがいい。アイロンなんてと笑わないでください。

ボトムは
シックに

休日の定番、スエットパンツは、だらしなくならないようにジャストサイズを選ぶといい。
ネイビーとブラックを愛用しています。

特別編

ボトムは
シックに

特別編

休日の定番、スエットパンツは、だらしなくならないようにジャストサイズを選ぶといい。
ネイビーとブラックを愛用しています。

特別編
特別編
特別編

自由とは何か

アメリカの好きな街のひとつに、ノースカロライナ州のアッシュヴィルがある。

自然豊かなグレートスモーキー山脈の麓に位置し、古くからアーティストやミュージシャンのコミュニティが街のカルチャーを育てた歴史があり、全米で最も住みたい街の一位にもなったことがあるというから興味深い。

アッシュヴィルの郊外には、かつてアメリカで最も自由なアートカレッジといわれた、伝説のブラック・マウンテンカレッジがあった。

昔から僕と友人は、ブラック・マウンテンカレッジに憧れを抱いていて、一度、その場所を見てみたいと願い、夏のある日、遠路はるばる車で出かけたのだ。

現在ブラック・マウンテンカレッジは無く、湖の畔にいくつかの建物を残していたが、跡地は子どもたちのためのサマーキャンプ場になっていた。

そんなアッシュヴィルで出会ったすてきな老人がいた。老人は小さな書店とカフェを営んでいた。

「大切なのはなりたい自分をイメージをすることさ。できるだけ具体的に。イメージさえできれば、それは必ず実現できる。とにかくイメージをすること。学びとはすべてそのためのもの……」と、老人は若い僕らに語ってくれた。

それは「自由ってどういうことですか?」と聞いた答えだった。

自由とは何か ストーリーイメージ

それからずっと経った今でも、僕は老人が語ってくれたその言葉を忘れていない。そしてその意味を考え続けている。老人はサンダルにスポーツソックスで、ショートパンツをはき、Tシャツの上にカーディガンを着ていた。そのスタイルは、実にスタイリッシュで、年齢を超えた自由さに満ちていた。

「何年もずっとこんな感じさ」と老人は笑った。

そんなアッシュヴィルの思い出があって、いつしか休日は、ショートパンツにカーディガンという、いわばアッシュヴィル・スタイルが僕の定番になっている。

なりたい何か、やりたい何か、それをしっかりとイメージさえできれば、イメージをし続ければ、できないことはない。そう自分を信じること。あきらめないこと。

老人が教えてくれた「自由」の答え。僕は一生忘れないだろう。

明日のために……。

特別編

ポケットが
好き

「ポケットは何のためにあるか知ってるかい?自由を持ち歩くために作られたんだよ」という老人の話を、僕は信じている。

特別編

ポケットが
好き

特別編

「ポケットは何のためにあるか知ってるかい?自由を持ち歩くために作られたんだよ」という老人の話を、僕は信じている。

万能な
カーディガン

Tシャツにカーディガンを着たときの、首元のすっきりして涼しげなバランスが好き。暑い日でも一枚はおると上品に。

特別編

万能な
カーディガン

特別編

Tシャツにカーディガンを着たときの、首元のすっきりして涼しげなバランスが好き。暑い日でも一枚はおると上品に。

いつも
ロールアップ

ショートパンツもゆったりした大きめサイズを選ぶ。そして必ず、無造作にロールアップする。足元はいつものスポーツソックス。

特別編

いつも
ロールアップ

特別編

ショートパンツもゆったりした大きめサイズを選ぶ。そして必ず、無造作にロールアップする。足元はいつものスポーツソックス。

これぞ
僕の大好きな
LifeWearそのものです。

松浦弥太郎

これぞ
僕の大好きな
LifeWearそのものです。

松浦弥太郎
100
特別編
上から時計回りに
エクストラファインコットンブロード
ストライプシャツ(ボタンダウン・長袖)
オーバーサイズクルーネックT(半袖)
スウェットパンツ(丈標準68~74cm)
パイルラインソックス
100
特別編
上から時計回りに
エアリズムUVカットカーディガン(長袖)
クルーネックT(半袖)
チノハーフパンツ
パイルラインソックス
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LifeWear Story 100とは。

ユニクロには、
流行に左右されず、
けれども、決して古びることのない、
長い間、作り続けている普通の服がある。
品揃えの中では、
とても地味で目立たない存在である。
コマーシャルにもあまり出てこない。

それらは、ユニクロが、
もっと快適に、もっと丈夫に、
もっと上質であることを、
長年、愛情を込めて追求したものだ。

それらは、ユニクロの人格と姿勢が、
目に見えるかたちになったものであり、
丹精に育てているものだ。

昨日よりも今日を、今日よりも明日と。

手にとり、着てみると、
あたかも友だちのように、
その服は、私たちに、
こう問いかけてくる。

豊かで、上質な暮らしとは、
どんな暮らしなのか?
どんなふうに今日を過ごすのか?
あなたにとってのしあわせとは何か?と。

そんな服が、今までこの世界に、
あっただろうかと驚く自分がいる。

ユニクロのプリンシプル(きほん)とは何か?
ユニクロは、なぜ服を、
LifeWearと呼んでいるのだろう?
LifeWearとは、どんな服なのだろう?

ここでは、LifeWearの、
根っこを見る、知る、伝える。
そして、LifeWearと、自分にまつわる、
ストーリーを書いていきたい。

LifeWear Story 100は、
LifeWearと僕の、旅の物語になるだろう。

松浦弥太郎

松浦弥太郎
松浦弥太郎

エッセイスト、編集者。1965年東京生まれ。
2005年から15年3月まで、約9年間、創業者大橋鎭子のもとで『暮しの手帖』の編集長を務め、その後、ウェブメディア「くらしのきほん」を立ち上げる。現在は(株)おいしい健康の取締役に就任。数々のメディアで、高い審美眼による豊かで上質な暮らし提案に努めている。新聞、雑誌の連載の他、著書多数。ベストセラーに「今日もていねいに」「しごとのきほん くらしのきほん100」他多数。NHKラジオ第一「かれんスタイル」のパーソナリティとしても活躍。

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