100とは

レーヨンスキッパーブラウス(7分袖)

レーヨンスキッパーブラウス(7分袖)

おとうさんと会う

僕とアシャはニューヨークで再会し、互いの気持ちをもう一度しっかりと確かめあい、結婚をした。僕は26歳で、アシャは23歳だった。

結婚前、アシャは、おとうさんに僕を紹介する機会を作ってくれた。おとうさんはそのためにニューヨークまでやってきた。

どんなふうに自己紹介したらいいのか。どんなふうに結婚の許しを得たらいいのか。これまでの人生の中でこんなに緊張したことはない。それよりも、アシャのおとうさんはどんな人なのだろう。当然、初対面だった。

「おとうさんは優しい人だから大丈夫。リラックスしてね。結婚を反対しているわけではないんだから」

「うん、わかってる。でも賛成しているわけではないんだよね……」

「あなたに会いたいのよ。私も早く会わせたいわ。何を着ていこうかな。おとうさんはきっとカジュアルだから、あなたもいつもの服でいいと思う」

アシャはその日が来るのを心から楽しみにしているようだ。

おとうさんと僕らは、3rdアヴェニューにある『エッサベーグル』で待ち合わせをした。おとうさんはこの店のサンドイッチが大好物だという。緊張している僕に気をつかってくれたのか、カジュアルな店を選んでくれた。格式張ったレストランなどでなく、僕は少しほっとした。

おとうさんとの待ち合わせは午後2時。僕とアシャは15分前に着いた。

『エッサベーグル』はニューヨークでも大人気のベーグル屋で、いつでも混んでいる。注文の前にテーブル席を確保しようと、店内を見渡すと、ベースボールキャップをかぶった男性が僕らに手を振っているのが見えた。

「やだ、おとうさん。やっぱりもう来てるわ」とアシャが笑いながら言った。

「ああ、私、忘れてたわ。おとうさんはせっかちだから、いつも待ち合わせの時間の30分前に来る人なのよ。ごめんなさい。そのことを言い忘れてた……」

苦笑いしたアシャは走っておとうさんの元に駆け寄って、「来てくれてありがとう!」と思い切りハグをした。そして、「彼が私の大切な人よ」と言って、僕をきちんと紹介してくれた。

おとうさんと会う ストーリーイメージ

おとうさんは「はじめまして。アシャの父です」と言って、戸惑っている僕を両手で引き寄せハグをしてくれた。

「どうぞどうぞ、座ってください。おすすめのサンドイッチを今、買ってきますから」

おとうさんは店のカウンターに行き、三人分のサンドイッチを注文した。

「一緒に食べながらお話ししましょう。ここのサンドイッチは最高においしいんだ!」

そう言って、おとうさんは僕の肩をやさしく抱いてくれた。「ありがとうございます……」とぎこちなくお礼をいうと、「君はもう私の息子だから」と言って、僕の頭を自分の胸に引き寄せた。

レーヨンスキッパーブラウス(7分袖)

最高の着心地

この春から新しく生まれ変わったレーヨンスキッパーシャツです。最大の変化は、透けにくく、より綺麗に着こなせる素材に進化したこと。光沢感のある糸を使用しながらも、織り方を変えることで生地に厚みを出し、透け感を軽減。生地自体の目付け(重さ)も増えたことで美しい落ち感も生まれました。

前シーズンまでご支持をいただいた「肌ざわり」を大切に、袖を通した時のなめらかさ、お手入れを簡単にするイージーケア機能、エレガントな見え方、すべてのベストバランスを取り入れて開発した自慢の着心地です。

レーヨンスキッパーブラウス(7分袖)

前シーズンまでご支持をいただいた「肌ざわり」を大切に、袖を通した時のなめらかさ、お手入れを簡単にするイージーケア機能、エレガントな見え方、すべてのベストバランスを取り入れて開発した自慢の着心地です。

レーヨンスキッパーブラウス(7分袖)

日本人の誇り

おとうさんは、定番のクリームチーズとサーモンとトマトや、チキンやツナなどをバランスよく組み合わせたサンドイッチを注文し、三人でシェアできるように切り分けて、テーブルに並べてくれた。

「私は日本の人が大好きなんです。まだ若い頃、仕事で日本に行ったときに出会った、日本の人のことを、今でも忘れることはできません。こんなにすばらしい人たちが、この世界にいるのかと驚いたのです。大げさではないですよ」

おとうさんはベーグルを片手で持ちながら、こんなふうに話しはじめた。

「ある東北の農村を訪れたときのことです。私のような外国人に対して、どこの家庭でもお茶やお菓子でもてなしてくれて、何から何まで世話をしてくれたのです。言葉なんて通じなくても手振りでおもしろおかしく対話ができました。日本の人というのは、子どもから大人まで、笑うのが大好きなんですね。そこがエチオピア人と似ているんです。いつもにこにこ笑って、精一杯の親切をしてくれるんです。その姿に私は感動しました」

おとうさんは、日本人のことを、この世界でもっとも礼儀正しい人たちであると言い、自分が日本で経験したたくさんの感動を僕に話してくれた。

それを聞いていたアシャは「こんな話を聞いたのはじめてよ。おとうさんが日本の人を好きだなんて知らなかったわ」と言った。

「昔の日本人のよいところを僕らは忘れてしまっているかもしれません」と言うと、「いやいや、私はわかるよ。君がたしかにあの頃の日本人と一緒であることをね。日本人であることを誇りにしてください」とおとうさんは答えた。

この日、アシャは、白いレーヨンのブラウスを着ていた。

「アシャ。よく憶えているね……。今日、そのブラウスを着ているのは偶然ではないね」

おとうさんはアシャの手をとって、こう言葉をかけた。

「私、おかあさんから何度も聞いているから忘れることはないわ。おとうさんがおかあさんとの結婚を許してもらうために、おかあさんの両親に会いに行った時のこと」

「その時、おかあさんが着ていたのも白いブラウスだったんだ。エチオピアで白は決意を意味する色。結婚してからも、おかあさんは大事な時には必ず白いブラウスを着ていたね」

「うん、そう……」

うなずいたアシャは、先日、亡くなったおかあさんを思い出して涙ぐんだ。

日本人の誇り ストーリーイメージ

「私は君たちの結婚を祝福するつもりで今日ここに来たんだよ」

そう言いながら、ベーグルをおいしそうにほお張るおとうさんの目にも涙が浮かんでいた。

アシャは着ているブラウスに目をやり、「おかあさんもきっと喜んでいるわ」とつぶやいた。

レーヨンスキッパーブラウス(7分袖)

オールマイティに活躍

肩を少し落としながらも、身幅を少し小さめにすることでリラックスかつエレガントに見えるシルエットが特徴です。襟元は何度もサンプルを製作し、女性らしさを残しつつ最適な(下着が見えないような)開きに調整。短めの七分袖は、腕を曲げても袖元の切り込みから肘が見えにくいようにデザインに仕上げました。

ビジネスシーンではスーツとセットで、プラベートではデニムと合わせて、また、デートやご近所着にもおすすめ。色、柄、デザインのバリエーション豊富に取り揃えた、着まわし抜群の万能アイテムです。

レーヨンスキッパーブラウス(7分袖)
レーヨンスキッパーブラウス(7分袖)

ビジネスシーンではスーツとセットで、プラベートではデニムと合わせて、また、デートやご近所着にもおすすめ。色、柄、デザインのバリエーション豊富に取り揃えた、着まわし抜群の万能アイテムです。

後ろ姿がきれいと、
必ず言われる。
そんなブラウス。
私の定番です。

松浦弥太郎
レーヨンスキッパーブラウス(7分袖)
085 WOMENレーヨン
スキッパーブラウス
(7分袖)
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LifeWear Story 100とは。

ユニクロには、
流行に左右されず、
けれども、決して古びることのない、
長い間、作り続けている普通の服がある。
品揃えの中では、
とても地味で目立たない存在である。
コマーシャルにもあまり出てこない。

それらは、ユニクロが、
もっと快適に、もっと丈夫に、
もっと上質であることを、
長年、愛情を込めて追求したものだ。

それらは、ユニクロの人格と姿勢が、
目に見えるかたちになったものであり、
丹精に育てているものだ。

昨日よりも今日を、今日よりも明日と。

手にとり、着てみると、
あたかも友だちのように、
その服は、私たちに、
こう問いかけてくる。

豊かで、上質な暮らしとは、
どんな暮らしなのか?
どんなふうに今日を過ごすのか?
あなたにとってのしあわせとは何か?と。

そんな服が、今までこの世界に、
あっただろうかと驚く自分がいる。

ユニクロのプリンシプル(きほん)とは何か?
ユニクロは、なぜ服を、
LifeWearと呼んでいるのだろう?
LifeWearとは、どんな服なのだろう?

ここでは、LifeWearの、
根っこを見る、知る、伝える。
そして、LifeWearと、自分にまつわる、
ストーリーを書いていきたい。

LifeWear Story 100は、
LifeWearと僕の、旅の物語になるだろう。

松浦弥太郎

松浦弥太郎
松浦弥太郎

エッセイスト、編集者。1965年東京生まれ。
2005年から15年3月まで、約9年間、創業者大橋鎭子のもとで『暮しの手帖』の編集長を務め、その後、ウェブメディア「くらしのきほん」を立ち上げる。現在は(株)おいしい健康の取締役に就任。数々のメディアで、高い審美眼による豊かで上質な暮らし提案に努めている。新聞、雑誌の連載の他、著書多数。ベストセラーに「今日もていねいに」「しごとのきほん くらしのきほん100」他多数。NHKラジオ第一「かれんスタイル」のパーソナリティとしても活躍。

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