100とは

3Dメリノリブワンピース

3Dメリノリブワンピース

二人のニット

部屋にいるとき、アシャは相変わらず自分の服作りに夢中になっていた。

アイデアに行き詰まると、クローゼットの中にある自分の服を引っ張り出して、まるで本を読むかのように、そのひとつひとつを手に取り、じっくりと見つめて、その何かを手がかりにした。

「私、秋になったら着たい服があるの。毎年、秋のはじめに着る服よ。あなたにはそういう服ってある?」

「うーん。秋のはじめに着る服かあ。涼しくなってきたら、カシミヤのニットを着るのは楽しみにしているなあ」

「私はこのニットドレスを着るのを楽しみにしてるの!」

アシャは、クローゼットからお気に入りだというニットドレスを取り出して僕に見せた。

「すてきでしょ、このニット。家族がニューヨークに遊びに来た時、クリスマスにプレゼントしてくれたのよ。着たところ見たい? 今年はじめてよ」

アシャはそう言って、僕の返事を待たずに、着ていたシャツを脱いで、ニットドレスに袖を通した。

やわらかなニットは、アシャの細い身体をふわっと包み込み、彼女のうれしそうな表情から、あたたかさだけでなく、深い安らぎを感じているのがわかった。

「このニットを着ると不思議と気持ちが安心するの。プレゼントされたニットって、着るたびにその人のことを思い出すからかな?」

アシャは袖にほっぺたをつけて、ニットの肌ざわりを味わいながら言った。

「ねえ、ニットって何色が好き? 私は赤が好き。はじめてニューヨークに来た時、冬だったんだけど雪が積もってたの。真っ白な雪景色の中を真っ赤なニットを着て歩いている女性がいて、その光景がほんとにきれいだった。それ以来、私ニットは赤が好きになったの」

「僕は白が好きだな。子どもの頃、お母さんが編んでくれたニットが白だった。そのニットが僕は大好きで、冬中着ていた記憶がある」

アシャが言うように、子どもの頃、母が編んでくれた白いニットを着るたびに、僕は母のぬくもりのようなものを感じていた。だから、あの白いニットが好きだった。

二人のニット ストーリーイメージ

「あなたが白いニットで、私が赤いニットで、二人で歩いたら、きっときれいね!」

「早く秋が来ないかな……」とアシャはつぶやいた。

3Dメリノリブワンピース

すべての女性を美しく

女性らしさと着る人の美しさを引き立てることにこだわり抜いた3Dニットワンピースです。その秘密は「ホールガーメント*1」という特殊な技術で編み上げた無縫製ニットであること。

1枚丸ごと編み上げることで360°どこにも継ぎ目がなく*2、フィット感あるリブ編みが美シルエットを演出。中でも注目は胸元のライン。「求心」という製法を用い、自然な体のラインに沿って胸の位置にポイントがくるように設計しました。さらに上質ウール100パーセントの素材が、繊細さと美しさをさらに引き立てます。

*1 ホールガーメントは、株式会社島精機製作所の登録商標です。
*2 衿部分のネームや洗濯ラベルには縫い目があります。

3Dメリノリブワンピース

1枚丸ごと編み上げることで360°どこにも継ぎ目がなく*2、フィット感あるリブ編みが美シルエットを演出。中でも注目は胸元のライン。「求心」という製法を用い、自然な体のラインに沿って胸の位置にポイントがくるように設計しました。さらに上質ウール100パーセントの素材が、繊細さと美しさをさらに引き立てます。

*1 ホールガーメントは、株式会社島精機製作所の登録商標です。
*2 衿部分のネームや洗濯ラベルには縫い目があります。

3Dメリノリブワンピース

大切な家族

アシャとの会話をきっかけに、僕は自分の家族のことを思い出していた。

実を言うと、家族のことを思うと、さみしくなるから、できるだけ考えないようにしていた自分がいた。両親とはしばらく連絡もとっていなかった。

僕と違ってアシャは、事あるごとに、遠く離れて暮らす自分の家族を思い出し、電話で話したり、手紙をやりとりしたり、そんなふうに、そばには居ないけれども、いつも家族と一緒にいる生活が、彼女のすべてを支えていた。

僕はそんなアシャがすてきに思えたし、うらやましかった。

ある時、「僕はしっかりと自立したいんだ」とアシャに言ったとき、「何から自立したいの?」と聞かれてドキッとした。

「たとえば、家族から……」と答えると、「どうして家族から自立する必要があるの? 家族はみんなでひとつよ。ずっと助け合うし、ずっと支え合うし、ずっと愛し合うのが家族よ。自立なんて違うと思う。逆に、あなたはもっと自分の家族を愛したほうがいい。どうしてあなたは自分の家族のことをたくさん話したがらないの? 家族はあなたの一部でしょ。大好きでしょ? 愛しているでしょ? 自分のことを誰かに知ってもらいたければ、家族のことをもっと話さないと、あなたがどういう人だかわからないわ。私があなたという人を好きになるということは、私はあなたの家族も好きになるということよ」

アシャの言うことはもっともだった。家族から自立するなんて、なんだかおかしな考え方だと思った。でも、そんなおかしな考えをしていた自分がいたのも本当だった。

「自立は大切なことだと思う。けれども、自立というのは、あくまでも、この社会と自分のひとつの関係性であって、家族に対するものではないわ。人が人として生きていくためには家族という大切な存在が、家族それぞれの帰る場所であり、愛するものであり、守るものであり、もっとも感謝するべきものよ。何度も言うけれど、私はあなた一人を愛しているのではなく、あなたというあなたの家族も愛しているのよ。だから、私はあなたからも、私という家族を愛してもらいたいから、いつも私の家族のことをあなたに知ってもらいたくて、いろいろと話しているつもり。わかる?」

こういう時、いつもアシャは、僕とまっすぐに向き合って、僕の両手を持って、しっかりと目を見て話した。

「だから、あなたはあなたの家族にもっと頼ってもいい。甘えてもいい。家族それぞれがそうやって助けあって生きていくのよ。私はニューヨークに来て、ずっと一人だけど、自分のことすべてを、いつも家族と分かち合うようにしているの。あなたのことだってみんな知ってるのよ。だからこそ、こうやって一人で暮らしていけるし、仕事もできるし、夢を追うこともできるのよ……」

大切な家族 ストーリーイメージ

アシャは窓の外をぼんやりと見た。そしてこう言った。

「あなたは私と家族になりたいと思ったことある?」と。

3Dメリノリブワンピース

あらゆるシーンに寄り添って

より多くのお客様に楽しんでいただけるように、カラーバリエーションやデザインにもこだわりました。フィット&フレアなどアイテムごとにコンセプトを決めて複数のシルエットをご用意。3Dモックネックワンピースはアクセサリーが映えるドレス。ジュエリーと合わせやすい便利な1枚です。

3Dリブワンピースは1枚での存在感もありながら、ジージャンやスニーカーでカジュアルに、ストールを羽織ってエレガントにもシフトできます。フォーマルにもカジュアルにも、いつでもどこでも着られるLifeWearです。

3Dメリノリブワンピース
3Dメリノリブワンピース

3Dリブワンピースは1枚での存在感もありながら、ジージャンやスニーカーでカジュアルに、ストールを羽織ってエレガントにもシフトできます。フォーマルにもカジュアルにも、いつでもどこでも着られるLifeWearです。

この服を着たくて、
夏が過ぎるのを
ずっと待っていた。

松浦弥太郎
3Dメリノリブワンピース
060 WOMEN3Dメリノリブ
ワンピース
(長袖・レギュラー丈・
105.5~115.5cm)
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LifeWear Story 100とは。

ユニクロには、
流行に左右されず、
けれども、決して古びることのない、
長い間、作り続けている普通の服がある。
品揃えの中では、
とても地味で目立たない存在である。
コマーシャルにもあまり出てこない。

それらは、ユニクロが、
もっと快適に、もっと丈夫に、
もっと上質であることを、
長年、愛情を込めて追求したものだ。

それらは、ユニクロの人格と姿勢が、
目に見えるかたちになったものであり、
丹精に育てているものだ。

昨日よりも今日を、今日よりも明日と。

手にとり、着てみると、
あたかも友だちのように、
その服は、私たちに、
こう問いかけてくる。

豊かで、上質な暮らしとは、
どんな暮らしなのか?
どんなふうに今日を過ごすのか?
あなたにとってのしあわせとは何か?と。

そんな服が、今までこの世界に、
あっただろうかと驚く自分がいる。

ユニクロのプリンシプル(きほん)とは何か?
ユニクロは、なぜ服を、
LifeWearと呼んでいるのだろう?
LifeWearとは、どんな服なのだろう?

ここでは、LifeWearの、
根っこを見る、知る、伝える。
そして、LifeWearと、自分にまつわる、
ストーリーを書いていきたい。

LifeWear Story 100は、
LifeWearと僕の、旅の物語になるだろう。

松浦弥太郎

松浦弥太郎
松浦弥太郎

エッセイスト、編集者。1965年東京生まれ。
2005年から15年3月まで、約9年間、創業者大橋鎭子のもとで『暮しの手帖』の編集長を務め、その後、ウェブメディア「くらしのきほん」を立ち上げる。現在は(株)おいしい健康の取締役に就任。数々のメディアで、高い審美眼による豊かで上質な暮らし提案に努めている。新聞、雑誌の連載の他、著書多数。ベストセラーに「今日もていねいに」「しごとのきほん くらしのきほん100」他多数。NHKラジオ第一「かれんスタイル」のパーソナリティとしても活躍。

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