100とは

サーキュラースカート

サーキュラースカート

トーコさんの家で

自由を愛するアシャ。

「わたしの思う自由とは、良識と良心をしっかりと持ったうえで、既存のルールに縛られずに、常に自分に素直であり続けること。ルールを嫌っているわけではないの。もしルールが必要であれば、ルールは自分で作るってこと。他人が作ったルールに従うのはどうかってことよ。あと、自由って孤独よ。これはいつもそう思うわ。でも、人間って一人で生まれてくるし、死ぬのも一人じゃない? だから孤独って生きていくための条件なのよ。みんないっしょ。だから孤独を悲しむって変だとわたしは思う。孤独は抱きしめてあげないとね。けれども、孤立はしてはいけない。孤独だからこそ、人と人とのつながりを大切にするの。人を愛せるのよ」

ワシントン・スクエア公園のベンチに座った僕の腕の中でアシャは言った。

「僕はアシャがこれから作ろうとしている服がとても楽しみ。着ると誰もがリラックスできて、着る人の生活を助けるような服、みんなが自由になれる服って言ってたよね。僕自身そういう服があればいいなと思う」

その日の午後 ニューヨークに暮らす日本人女性のトーコさんの自宅に、僕とアシャは招待されていた。

偶然セントラルパークで出会い、それからずっと親交を深めていたトーコさんの話をアシャにしたら、ぜひ一度会いたいと言っていた。僕もトーコさんにアシャを会わせたいと思っていた。

トーコさんは、アッパーウエストサイドのブロードウェイ沿いのモダンなアパートに暮らしていた。

僕とアシャが訪れると、トーコさんは大喜びして出迎えてくれた。

トーコさんの家の、広いリビングにはたくさんのアートが飾られていた。それを見たアシャは「すてき!」と声を上げた。

トーコさんは僕らに抹茶を淹れてもてなしてくれた。

「ごめんなさいね。ほんとうは和菓子を食べさせたいんだけど、今日はわたしの焼いたクッキーでがまんしてね」

トーコさんの家で ストーリーイメージ

「とんでもありません、おいしそうなクッキーです。しかし、すてきなお家ですね。飾ってあるアートもすばらしいです」

アシャがそう言うと、トーコさんは、抹茶を淹れた茶碗を両手で持って話した。

「ありがとう。わたしは、飾って見ることでしあわせを感じるものが好きなの。それと同時に、自分自身の人生もしくは生み出すものが飾れるものかと、いつも考えてるの」

「飾って見ること?」とアシャが聞いた。

「そうよ。飾って見れるかどうかはとっても大切」

トーコさんは壁に掛かっている絵や写真を目を細めながら眺めた。

サーキュラースカート

レディなシルエットの秘密

動くたび、風になびくたびにふわりと揺れる上品なシルエットが自慢のサーキュラースカート。女性らしく、美しく見えるフレアなAラインにこだわりました。その秘密は生地にあります。

ストレッチ性があって、しっかりとした素材感のコットンツイルを使用。そしてウォッシュ加工を工夫することで、生地にハリと柔らかさが生まれ、たっぷりとしたボリュームときれいな広がりをキープ。洗濯してもシワになりにくく、お手入れが簡単なのもポイントです。

サーキュラースカート
サーキュラースカート

ストレッチ性があって、しっかりとした素材感のコットンツイルを使用。そしてウォッシュ加工を工夫することで、生地にハリと柔らかさが生まれ、たっぷりとしたボリュームときれいな広がりをキープ。洗濯してもシワになりにくく、お手入れが簡単なのもポイントです。

サーキュラースカート

踊りたくなるスカート

トーコさんは壁にかかった一枚の絵に近寄って言った。絵はアレックス・カッツというアーティストの作品だった。

「自分の日々、自分の仕事、自分の人生など、どんなことでも、一枚の絵として飾って見られるかどうか。わたしはそんなふうに考えるの。シンプルで、わかりやすくて、誰もが飾って見ていたいと思う、よい作品なのか?ってね。わたしっておかしいでしょ?」

トーコさんはそう言って笑った。

「おかしくないです。わたしわかります。きれいとか、すばらしいとか、そういうことではなくて、人がいつまでも見ていたいと思えるかどうか。人の役に立つかどうか。人の暮らしを支えるものかどうか。そのための物語を感じるものであるかどうかってことではないでしょうか?」

アシャがそう言うと、トーコさんはソファに座っているアシャを引き寄せて、両手で抱きしめた。

「あなたはすてきな人ね。そうなのよ。人生は自由。自由だけど、飾れないものでは駄目。飾ったときに人に喜ばれるような人生を歩まないとね」

トーコさんはアシャの手を握りながら言った。

「あなたは服を作りたいのよね。彼からそう聞いてるわ。流行のことなんか忘れなさい。それよりも着心地のよい、ずっと長く着られる服を作るといいわ。流行を追って服を買うお金を減らしてあげるような服を作りなさい」

「はい。わたしもそう思っています。人々の暮らしを支えるような服を作りたいんです。その人がその人らしく、自由に生きることを支える服を」

アシャをトーコさんに会わせてよかったと心から思った。今日はじめて会ったのに、アシャはまるでトーコさんの娘のように見えた。そのくらい二人は仲良しになった。

「アシャ。あなたにあげたいものがあるの。受け取ってもらえる?」

トーコさんはきれいにたたまれた布地を奥の部屋から持ってきた。

「わあ、なんでしょう。広げてみていいですか?」とアシャは言った。

「これはわたしが昔、自分で作ったスカートなのよ。サーキュラースカートってわかる? くるっと回ると、ほら、軽やかできれいなシルエットなの。きっとあなたに似合うと思うの」

アシャははいていたデニムをその場でぱっと脱いで、トーコさんからプレゼントされたスカートをはいた。

「見て!ほら、動くとスカートがふわってなって、きれいでかわいい! 見て見て! なんだか、踊りたくなるわ。わたしが作りたい服ってこういうのなの! トーコさんありがとう!」

踊りたくなるスカート ストーリーイメージ

アシャは、鏡の前でくるくる回って、スカートのシルエットを見ては、子どものようにはしゃいで喜んだ。

サーキュラースカート

簡単に着られて美しく

ウエストのうしろ側にはゴムを使っているので圧迫もなく、すっきり見せながらラクにはけます。さらにファスナーは自動ロック付き。着用した時にジッパーがくずれる心配もありません。

シャツや短めのジャケットに足元はヒールできれい目な着こなしはもちろん、ウエストとポケット口のステッチが適度なカジュアルさをプラスしているから、Tシャツやスニーカーとも相性抜群。通勤から週末までいつでも活躍してくれるLifeWearです。

サーキュラースカート
サーキュラースカート

シャツや短めのジャケットに足元はヒールできれい目な着こなしはもちろん、ウエストとポケット口のステッチが適度なカジュアルさをプラスしているから、Tシャツやスニーカーとも相性抜群。通勤から週末までいつでも活躍してくれるLifeWearです。

自分の姿を、
鏡でずっと見ていたい。
上品でかろやかで美しい
自慢のスカート

松浦弥太郎
サーキュラースカート
052 WOMENコットン
サーキュラー
スカート
(ハイウエスト・
丈標準74~77cm)
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LifeWear Story 100とは。

ユニクロには、
流行に左右されず、
けれども、決して古びることのない、
長い間、作り続けている普通の服がある。
品揃えの中では、
とても地味で目立たない存在である。
コマーシャルにもあまり出てこない。

それらは、ユニクロが、
もっと快適に、もっと丈夫に、
もっと上質であることを、
長年、愛情を込めて追求したものだ。

それらは、ユニクロの人格と姿勢が、
目に見えるかたちになったものであり、
丹精に育てているものだ。

昨日よりも今日を、今日よりも明日と。

手にとり、着てみると、
あたかも友だちのように、
その服は、私たちに、
こう問いかけてくる。

豊かで、上質な暮らしとは、
どんな暮らしなのか?
どんなふうに今日を過ごすのか?
あなたにとってのしあわせとは何か?と。

そんな服が、今までこの世界に、
あっただろうかと驚く自分がいる。

ユニクロのプリンシプル(きほん)とは何か?
ユニクロは、なぜ服を、
LifeWearと呼んでいるのだろう?
LifeWearとは、どんな服なのだろう?

ここでは、LifeWearの、
根っこを見る、知る、伝える。
そして、LifeWearと、自分にまつわる、
ストーリーを書いていきたい。

LifeWear Story 100は、
LifeWearと僕の、旅の物語になるだろう。

松浦弥太郎

松浦弥太郎
松浦弥太郎

エッセイスト、編集者。1965年東京生まれ。
2005年から15年3月まで、約9年間、創業者大橋鎭子のもとで『暮しの手帖』の編集長を務め、その後、ウェブメディア「くらしのきほん」を立ち上げる。現在は(株)おいしい健康の取締役に就任。数々のメディアで、高い審美眼による豊かで上質な暮らし提案に努めている。新聞、雑誌の連載の他、著書多数。ベストセラーに「今日もていねいに」「しごとのきほん くらしのきほん100」他多数。NHKラジオ第一「かれんスタイル」のパーソナリティとしても活躍。

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