100とは

スーピマコットンボクサーブリーフ

スーピマコットンボクサーブリーフ

今から、ここから

目をつむるたびに、あの日のことをよく思い出す自分がいる。

日本を経ち、サンフランシスコというアメリカの地をはじめて踏み、見上げた夜空、耳にした街の喧騒、いろいろな暮らしが混ざりあった匂い、右も左もわからなかったけれど、今から新しい一歩が始まる。なにがあろうとここから頑張るんだという、夢と希望で僕の胸はふくらんでいた。

そう。あの日あのとき、「今から」「ここから」と決意して僕は歩き出した。

よく考えてみると、「今から」「ここから」という、初々しい感情はこれまでもあった。

小学校の入学式。リトルリーグに入団した日。高校受験の日。はじめて恋をしてデートをした日など。そんなふうに、自分のちからを振り絞って、「今から」「ここから」踏み出した小さな一歩の記憶は忘れられない。

日曜の早朝、僕はニューヨークのアパートの窓辺に座り、マグカップに淹れたコーヒーを飲みながら、ぼんやりと「今から」「ここから」という思い出に耽っている。傍らには結婚したアシャと一人娘のニコがいる。暮らし自体は決して楽ではないが、ここニューヨークで書籍商として認められ、こうしておだやかな日々を送っている。

そんなふうに落ち着き払っている自分がいる中、心のどこかで、新たな「今から」「ここから」を求めている自分にも気づいていた。あの日あのときを懐かしんでいるようでは駄目だ。次の景色を見にいこう。今ここで歩みを止めてどうするんだ、ゴール地点のテープはまだまだずっと先だ、と叱咤する自分もいた。そうなんだ、人生はまだはじまったばかり。

僕はコーヒーを一口飲み、窓から見えるエンパイアステートビルを眺めた。そしてこう呟いた。「もっと先へ行こう」と。

「さあ、どうしよう?」と、何か答えを求めるようなとき、一番先に頭に浮かぶのは父の姿だった。

父は、何かを決意し、新しい一歩を踏み出そうとしているとき、必ずすることがあった。

まずは、髪をいつもより短く切ってさっぱりする。それから、風呂に入って、体を丹念に洗い、最後に清めるようにして冷たい水を何度もかぶった。

今から、ここから ストーリーイメージ

こんな父の姿を見たとき、新しく何かやろうとしているんだな、と子どもの僕にもよくわかった。

そして、父は用意してあった真新しい下着を身につけて、手入れが行き届いた服を着て、「よし!」と一言小さく呟き、はつらつな表情で出かけていった。

スーピマコットンボクサーブリーフ

最高の肌ざわり

希少なスーピマコットンを使った贅沢仕上げのボクサーブリーフです。スーピマコットンとは、綿花の中でも最高級ランクに分類される超長綿繊維の中の上質綿のこと。しなやかで柔らかく、なめらかな風合いが特徴です。

素材の強みを活かし、最高の肌ざわりの生地を開発しました。美しい表面感と身体にフィットするストレッチ性、さらに防菌防臭機能付き。何度も試作を繰り返してたどり着いた自慢の生地です。

スーピマコットンボクサーブリーフ

素材の強みを活かし、最高の肌ざわりの生地を開発しました。美しい表面感と身体にフィットするストレッチ性、さらに防菌防臭機能付き。何度も試作を繰り返してたどり着いた自慢の生地です。

スーピマコットンボクサーブリーフ

その先へ行く

父はよくこんなことを言っていた。

「下着は半年。半年ごとに新しいものに変えたほうがいい。下着は、毎日着替えるものだから、どうしてもすぐに古びる。半年で入れ替えするのがちょうどいいんだ。贅沢なようだが、新しい下着は、気持ちも新しくしてくれるからそのほうがいい」

父は髪型についても一家言あった。「伸びてからでは遅い。伸びる前に切ろ」と言って、二週間に一度、必ず理髪店に通い、子どもの僕にもそれを徹底させていた。

下着の入れ替えも、この言葉に通じていて、古くなってからでは遅い。古くなる前に新しいものに替えるという考えだった。

そんな父の元で育った僕であるから、半年ごとに下着を新しくするのはもはや当たり前になっていて、真新しい下着を身につけた時は、父のように「よし!」とつぶやく自分がいて笑ってしまう。

男の下着といえば、トランクス派かブリーフ派のどちらかに好みは分かれるようだが、僕はどちらも好きで、両方揃えて、その日の気分で選んでいる。

 

ブリーフにはこんな思い出がある。確か小学六年の時だったが、祖母の家に泊まりに行った際、ブリーフ一枚の裸になった時、僕がはいていた赤いブリーフを見た祖母が、「すごく洒落っ気があるわね」と言ったのだ。

その時、なぜ赤いブリーフを選んではいていたのかわからないが、下着姿を見られて「洒落っ気がある」と言われたことに妙に照れた。それと同時に、普段、他人には見えない下着って、だからこそ色や柄でいろいろと遊べて、服選びと同じように、自由に楽しめるのが面白いなと思った。

話しを戻そう。

そんな下着にまつわる記憶を思い出しながら、今、自分にとって必要なのは、いつかの父がそうしていたように、髪をきれいに整え、体を洗ってさっぱりさせて、新しい下着を身につけることだと思った。

思い立ったが吉日。僕はイーストビレッジの理髪店へと行き、髪を切ってもらった。その帰り道に、新しい下着(今はもっぱらブリーフ)を買い込んだ。

アパートに戻った僕は、シャワーを浴び、いつもよりも丹念に体を洗って、バスルームの鏡の前に立った。気のせいかもしれないが、昨日までの自分よりも初々しく見えた。

その先へ行く ストーリーイメージ

クローゼットの引き出しの中にあるブリーフを、買ってきた新しいものにすべて入れ替え、新品のブリーフを身につけた。

自然と「よし!」という言葉が出た。「今から」「ここから」という気持ちで、僕の胸はいっぱいになった。そう、あの頃と同じように。

ここまで来たけれど、ここからもっと先に進むんだ、と僕は決意した。

「ここではなく、その先には何があるのか?」

こんな衝動がいつだって僕を揺さぶるのだ。

スーピマコットンボクサーブリーフ

心地よさの追求

直接肌に触れるものだから、細部にも徹底的にこだわりました。お客様の声をもとに「はいていて心地よい」を目指し、毎年パターンの改善を続けています。

ウエストゴムはサイドの縫い目をなくし、締め付け感が少ないストレッチゴムに変更。縫製糸や縫い代の肌当たりのストレスがなるべく少なくなるように、脇線や後中心など、可能な限り縫製をなくしました。

スーピマコットンボクサーブリーフ
スーピマコットンボクサーブリーフ

ウエストゴムはサイドの縫い目をなくし、締め付け感が少ないストレッチゴムに変更。縫製糸や縫い代の肌当たりのストレスがなるべく少なくなるように、脇線や後中心など、可能な限り縫製をなくしました。

下着を新しくすると、
不思議と、
気持ちも新しくなる。
安心できる。

松浦弥太郎
スーピマコットンボクサーブリーフ
088 MENスーピマコットン
ボクサーブリーフ
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LifeWear Story 100とは。

ユニクロには、
流行に左右されず、
けれども、決して古びることのない、
長い間、作り続けている普通の服がある。
品揃えの中では、
とても地味で目立たない存在である。
コマーシャルにもあまり出てこない。

それらは、ユニクロが、
もっと快適に、もっと丈夫に、
もっと上質であることを、
長年、愛情を込めて追求したものだ。

それらは、ユニクロの人格と姿勢が、
目に見えるかたちになったものであり、
丹精に育てているものだ。

昨日よりも今日を、今日よりも明日と。

手にとり、着てみると、
あたかも友だちのように、
その服は、私たちに、
こう問いかけてくる。

豊かで、上質な暮らしとは、
どんな暮らしなのか?
どんなふうに今日を過ごすのか?
あなたにとってのしあわせとは何か?と。

そんな服が、今までこの世界に、
あっただろうかと驚く自分がいる。

ユニクロのプリンシプル(きほん)とは何か?
ユニクロは、なぜ服を、
LifeWearと呼んでいるのだろう?
LifeWearとは、どんな服なのだろう?

ここでは、LifeWearの、
根っこを見る、知る、伝える。
そして、LifeWearと、自分にまつわる、
ストーリーを書いていきたい。

LifeWear Story 100は、
LifeWearと僕の、旅の物語になるだろう。

松浦弥太郎

松浦弥太郎
松浦弥太郎

エッセイスト、編集者。1965年東京生まれ。
2005年から15年3月まで、約9年間、創業者大橋鎭子のもとで『暮しの手帖』の編集長を務め、その後、ウェブメディア「くらしのきほん」を立ち上げる。現在は(株)おいしい健康の取締役に就任。数々のメディアで、高い審美眼による豊かで上質な暮らし提案に努めている。新聞、雑誌の連載の他、著書多数。ベストセラーに「今日もていねいに」「しごとのきほん くらしのきほん100」他多数。NHKラジオ第一「かれんスタイル」のパーソナリティとしても活躍。

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