100とは

ワッフルクルーネックT(長袖)

ワッフルクルーネックT(長袖)

おかあさんの笑顔

パリからニューヨークへと向かう準備をしていた矢先のことだった。

エチオピアの実家から、おかあさんの病状が良くないと、アシャに電話があった。

アシャは迷うことなく、ニューヨーク行きの便をキャンセルし、すぐにエチオピア行きの飛行機を手配した。

八時間のフライト中、アシャは手の中に小さなお守りをずっと握り続けた。このお守りは、アシャがニューヨークで一人暮らしをはじめた時、おかあさんが持たせてくれた水晶だった。

おかあさんが入院する病院に着き、ベッドに横たわる、やせほそった母の姿を見たアシャは、「最期までずっと一緒にいる」と心に決めた。

「おかあさん、私よ、わかる?」

おかあさんの手を自分の頬に当てて、アシャが声をかけると、おかあさんは静かに目を開き、にっこりと笑った。

おかあさんはアシャの手をぐっと握り返して、また目を閉じた。

「あまりよくないんだ…」と、そばにいたアシャの兄が言った。

アシャにとっておかあさんは、母であり、人生のメンターでもあった。

「やけどをしたからっていって、火を恐れたらだめ。生きていくためには、火は必要なのよ……」

「人間はみんな、自分でやけどしてから、はじめて火の熱いことを知るの。すべて学びよ」

ずいぶん前、ある男性との恋に後悔しているアシャに、おかあさんはこう言って諭した。

「おかあさんって、どうしていつもそんなに元気なの?」

 

ある日、アシャはおかあさんにこう聞いた。すると、「しょっちゅう泣いているからじゃないかな? 私は涙もろいから」と。おかあさんは笑って答えた。

そして、「悲しくなくても、ときどき泣かないと身体に悪いんじゃないかなと思うのよ。わたし」とおどけて言った。

いつも元気で、自分をはげましてくれていたおかあさんが、こんなふうに病院のベッドに横たわっている現実が、アシャにとっては信じられなかった。

おかあさんの笑顔 ストーリーイメージ

「おかあさん、私ずっとここにいるからね」

アシャはもう一度おかあさんの手を自分の頬に当てて声をかけた。そして、手の中にあったお守りの水晶を枕元に置いた。

ワッフルクルーネックT(長袖)

抜群のフィットバランス

立体的な生地のデザイン性と、着心地の実用性を兼ねそなえたワッフルクルーネックTシャツです。ポイントはフィット感。これまで通りインナーとしての使用はもちろん、1枚でも存在感を発揮し、女性に着ていただいてもほど良いリラックスを感じていただけるシルエットに仕上げました。

身頃のバランス、肩まわりと襟の形状すべてにこだわり、フィッティングと修正をなんども重ねてようやく完成した自慢のフォルムです。

ワッフルクルーネックT(長袖)

身頃のバランス、肩まわりと襟の形状すべてにこだわり、フィッティングと修正をなんども重ねてようやく完成した自慢のフォルムです。

ワッフルクルーネックT(長袖)

おかあさんの好きなシャツ

アシャは病院に泊まり込み、おかあさんの看病をし続けた。

おかあさんは、ときおり目を開けることはあったが、ほぼ昏睡状態で、いつ何が起きても不思議ではない状況だった。

「できるだけ家族がそばにいるようにしてあげてください」と医者は家族に告げていた。

アシャのおとうさんも仕事を他人にまかせて、おかあさんのそばから離れることなく、その容態をずっと見守っていた。

その間、アシャは、おかあさんの枕元で、久しぶりに会ったおとうさんといろいろな話をした。

「おとうさんとおかあさんは、結婚した頃ってどういう暮らしだったの?」

「とにかくお金がなかった。おとうさんは自分で仕事をはじめたばかりだったけれど、なかなかうまくいかなくて、おかあさんに渡す毎月の生活費がほんとにわずかだったんだ。けれども、おかあさんはその都度、笑って、来月はほんのちょっとでもいいから増やしてねと言って、おとうさんを励ましてくれたんだ……」

「うちは貧しかったの?」

「ああ、ほんとうに貧しかった……。今では笑い話になるけれど、その時、借りていた家の家賃は、これ以上安い家賃はないくらいに安かったんだ。それでも、私たちにとって払えない時が一度だけあった。おとうさんはおかあさんと、赤ん坊だったお前の兄を抱いて大家さんの家へ行き、家賃を一ヶ月待ってくれないかとお詫びに行ったんだ。すると、大家さんは、来月二ヶ月分の家賃を払うのは大変だろうと言って、少しずつ足してくれればいいと言ってくれてね……」

「そんなことがあったのね……」

「その時、おとうさんの涙は止まらなく流れた。そして、二度とこんな思いをおかあさんにさせてはいけないと心に誓ったんだ。それからがむしゃらに仕事をして、やっとここまで成功できたんだ。あの時をきっかけにしてね」

今おとうさんはエチオピアでも有数の企業を経営し、成功者の一人として知られていた。

おかあさんの好きなシャツ ストーリーイメージ

「おとうさん、そのTシャツなつかしいね。昔からよく着ていたよね?」

アシャは、おとうさんの着ていた白いワッフル地のTシャツに手をあてて言った。

「これはいつかおかあさんが買ってくれたものだよ。おかあさんはこういうサラサラしたコットンの服が好きだったんだ」

おとうさんは自分の着ているTシャツを自慢げに見せて言った。

「おかあさん、どうだい? 似合っているだろ?」

おとうさんはおかあさんの手をずっと握って離さなかった。おかあさんは安らいだ表情ですやすやと眠っていた。

ワッフルクルーネックT(長袖)

細部にこだわる

これまでは、生地で身生地を挟み込み襟ぐりをつくる「バインダー仕様」でしたが、今回から襟と身生地を一緒に内側に織り込み、裏側からミシンで縫い合わせる「付け襟」に変更。Tシャツのように、インナーとして着用した時はトップスに響きにくく、1枚でも着られるのがポイントです。

襟のへたりにくさもポイント。ワッフル生地特有の凹凸は、空気を含むので保温性が高く、肌との接触面積が減ることでサラサラの肌ざわり。ニットのように1枚で、カーディガンを羽織ってワッフル生地の表情をちら見せするなど、コーディネートのアクセントとして幅広く活躍してくれるアイテムです。

ワッフルクルーネックT(長袖)
ワッフルクルーネックT(長袖)

襟のへたりにくさもポイント。ワッフル生地特有の凹凸は、空気を含むので保温性が高く、肌との接触面積が減ることでサラサラの肌ざわり。ニットのように1枚で、カーディガンを羽織ってワッフル生地の表情をちら見せするなど、コーディネートのアクセントとして幅広く活躍してくれるアイテムです。

大切にされているような、
愛されているような、
そんな着心地です。

松浦弥太郎
084 MENワッフル
クルーネックT
(長袖)
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LifeWear Story 100とは。

ユニクロには、
流行に左右されず、
けれども、決して古びることのない、
長い間、作り続けている普通の服がある。
品揃えの中では、
とても地味で目立たない存在である。
コマーシャルにもあまり出てこない。

それらは、ユニクロが、
もっと快適に、もっと丈夫に、
もっと上質であることを、
長年、愛情を込めて追求したものだ。

それらは、ユニクロの人格と姿勢が、
目に見えるかたちになったものであり、
丹精に育てているものだ。

昨日よりも今日を、今日よりも明日と。

手にとり、着てみると、
あたかも友だちのように、
その服は、私たちに、
こう問いかけてくる。

豊かで、上質な暮らしとは、
どんな暮らしなのか?
どんなふうに今日を過ごすのか?
あなたにとってのしあわせとは何か?と。

そんな服が、今までこの世界に、
あっただろうかと驚く自分がいる。

ユニクロのプリンシプル(きほん)とは何か?
ユニクロは、なぜ服を、
LifeWearと呼んでいるのだろう?
LifeWearとは、どんな服なのだろう?

ここでは、LifeWearの、
根っこを見る、知る、伝える。
そして、LifeWearと、自分にまつわる、
ストーリーを書いていきたい。

LifeWear Story 100は、
LifeWearと僕の、旅の物語になるだろう。

松浦弥太郎

松浦弥太郎
松浦弥太郎

エッセイスト、編集者。1965年東京生まれ。
2005年から15年3月まで、約9年間、創業者大橋鎭子のもとで『暮しの手帖』の編集長を務め、その後、ウェブメディア「くらしのきほん」を立ち上げる。現在は(株)おいしい健康の取締役に就任。数々のメディアで、高い審美眼による豊かで上質な暮らし提案に努めている。新聞、雑誌の連載の他、著書多数。ベストセラーに「今日もていねいに」「しごとのきほん くらしのきほん100」他多数。NHKラジオ第一「かれんスタイル」のパーソナリティとしても活躍。

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