100とは

カミシヤビックストール&カシミヤマフラー

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ロウェナの恋

その日は「イーストヴィレッジ散歩クラブ」の会合があった。

「イーストヴィレッジ散歩クラブ」とは、リーダーのロウェナが、気まぐれで招集をかけて、イーストヴィレッジをあちらこちらとおしゃべりしながら歩きまわるという、アシャとロウェナと僕の三人でふざけて作った遊びだ。

とはいえ、クラブにはスエットとTシャツのユニホームがあり、どちらも無地のものにロウェナがロゴとイラストを、一着一着描いた手作りで(といっても合計6枚)、会合にはそれを着てくるのがクラブのルールだった。ロウェナいわくクラブには厳格なルールが必要であるらしい。

一度だけアシャがユニホームを着てくるのを忘れた時があった。ロウェナはその場で、アシャの着ていたTシャツ(アシャのお気に入りだった)に、ボールペンでロゴとイラストを書こうとして、それに抵抗したアシャともみ合いになった。結局その日の会合は中止となり、散歩せずにカフェでおしゃべりだけをして終わった。

集合時間は昼の12時。ニューヨークは秋から冬へと変わろうとしていた。3人はコートの下に、揃いのスエットを着て集まった。

ユニホームのスエット一枚で歩いていると、「そのクラブはどうしたら入会できるの? 私も散歩したいわ」と、年配の人によく聞かれることが多かった。

「はい。クラブは今のところ私たち3人のみで、現在、新しいメンバーの募集はしておりません」と、その都度、ロウェナがていねいに答えるのが、僕とアシャにとっては面白くて仕方がなかった。

その日の僕らは、クーパートライアングルのピーター・クーパーの銅像に敬礼をしてから散歩をスタートし、7thストリートをぶらぶら歩いて、トンプキンス・スクエア公園を目指した。他愛ないおしゃべりをしながら気ままに歩き、途中でサンドイッチを買って、公園で食べようという魂胆だ。

「ねえ、私の話を聞いてくれる?」

ロウェナが歩きながらいった。

「いいわ。話してごらんなさい」

ロウェナのことが大好きなアシャは、彼女の腕に自分の腕をからませて答えた。

ロウェナの恋 ストーリーイメージ

「私、好きな人ができて、クリスマス前に彼に告白したいの? その前に彼の誕生日があるからその時にプレゼントしたいのよね」

「えー!仲良かったあの彼氏はどうしたの?」

「この前、別れた……」

「また別れたのー?」

恋多き女性のロウェナの恋愛話は、「イーストヴィレッジ散歩クラブ」では定番だった。

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極上のカシミヤ

カシミヤを100パーセント使用したカシミヤグッズ。極上のやわらかさ、上品な光沢から「繊維の宝石」とも呼ばれているカシミヤは、保湿、保温にも優れ、さらに軽いことが魅力です。中でもビッグストールは、水溶性繊維を練り込ませて生地を編み、水洗い処理を行う際に溶けてなくなるように設計。

この方法を行うことで1本1本の糸の間に空気の層ができるので、使えば使うほど、カシミヤ特有のふんわり感がたっぷり生まれるように工夫しました。

カミシヤビックストール&カシミヤマフラー

この方法を行うことで1本1本の糸の間に空気の層ができるので、使えば使うほど、カシミヤ特有のふんわり感がたっぷり生まれるように工夫しました。

カミシヤビックストール&カシミヤマフラー

マフラーとストール

自由奔放なロウェナの好きなタイプは、意外にもいわゆるアーティストタイプではなく、真面目なサラリーマンタイプらしい。

今回好きになった男性は、今年の夏から、バイト先の「コーヒーショップ」に来るようになったコペンハーゲン出身の人だという。

「この前、もうすぐ自分の誕生日だということを私に教えてくれたのよ。日にちはわからないけど、誰よりも早くプレゼントしたいな。できれば来週に」

「ロウェナ、あなた、目がハートになってるわ!」

アシャがロウェナをからかった。

「で、何をプレゼントするの?」と僕は聞いた。

「それを男性のあなたに教えてもらいたいのよ。何をあげたらいいのかしら?」

「ニューヨークの冬は特に寒いから、カシミヤのマフラーなんかどうかしら?」とアシャがいった。

「カシミヤのマフラーもいいけれど、ストールのほうがいいと思う。真冬に外を歩く時、首にぐるぐる巻きにするとあったかいし、僕は室内でも身体にかけて使っているよ。そうだ、マフラーとストールをセットでプレゼントするっていいと思う!」

僕がそういうと、「ちょっと待って。私そんなにたくさん買えないわよ。でも、ストールはいいかもしれない。たしかに男の人のストールってすてきよね。もし私に気があれば、それを巻いて、店に来てくれたりして……」

そんなシーンを想像したロウェナの目はさらにハートになっていた。

「ロウェナが自分のためにマフラーを買って、同じ色のストールを彼にプレゼントするってどう? おそろいにするの」

「私のマフラーと同じ色のストールです。もしよかったら、このストールを巻いてもらって一緒にお散歩しませんか?って手紙を添えてプレゼントするとか……」

アシャがそういうと、ロウェナは「うん、それがいい! たまに交換したりね! 喜んでくれるといいなあ」とジャンプして喜んだ。

マフラーとストール ストーリーイメージ

「ニューヨークの冬って、なんだかカシミヤが似合うよね。カシミヤのあたたかさが街に馴染むというか、そんなささやかな贅沢が嬉しいというか……私カシミヤのやわらかさって大好き……しあわせな気分になるのよね」

数日後にパリに発つアシャは、小さな声でそうつぶやいて、ニューヨークの空をいつまでも見上げていた。

カミシヤビックストール&カシミヤマフラー

日々のおともに

アイテムごとに最適な糸の細さ、長さを厳選することで、どのアイテムも同じ品質を保っています。マフラーは、コートの下にすっきり収まる絶妙なボリューム感と、首元をしっかり包んであたためてくれるサイズ感が魅力。大判サイズのビッグストールは、首元はもちろん、羽織りやひざかけなどのアレンジが自由自在。

カシミヤならではの鮮やかな発色を活かした多色展開も自慢です。冬の毎日によりそうLifeWearです。

カミシヤビックストール&カシミヤマフラー
カミシヤビックストール&カシミヤマフラー

カシミヤならではの鮮やかな発色を活かした多色展開も自慢です。冬の毎日によりそうLifeWearです。

大好きな人に
肩を抱かれているような
あったかさがあります。

松浦弥太郎
カミシヤビックストール&カシミヤマフラー
069 カミシヤ
ビックストール
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LifeWear Story 100とは。

ユニクロには、
流行に左右されず、
けれども、決して古びることのない、
長い間、作り続けている普通の服がある。
品揃えの中では、
とても地味で目立たない存在である。
コマーシャルにもあまり出てこない。

それらは、ユニクロが、
もっと快適に、もっと丈夫に、
もっと上質であることを、
長年、愛情を込めて追求したものだ。

それらは、ユニクロの人格と姿勢が、
目に見えるかたちになったものであり、
丹精に育てているものだ。

昨日よりも今日を、今日よりも明日と。

手にとり、着てみると、
あたかも友だちのように、
その服は、私たちに、
こう問いかけてくる。

豊かで、上質な暮らしとは、
どんな暮らしなのか?
どんなふうに今日を過ごすのか?
あなたにとってのしあわせとは何か?と。

そんな服が、今までこの世界に、
あっただろうかと驚く自分がいる。

ユニクロのプリンシプル(きほん)とは何か?
ユニクロは、なぜ服を、
LifeWearと呼んでいるのだろう?
LifeWearとは、どんな服なのだろう?

ここでは、LifeWearの、
根っこを見る、知る、伝える。
そして、LifeWearと、自分にまつわる、
ストーリーを書いていきたい。

LifeWear Story 100は、
LifeWearと僕の、旅の物語になるだろう。

松浦弥太郎

松浦弥太郎
松浦弥太郎

エッセイスト、編集者。1965年東京生まれ。
2005年から15年3月まで、約9年間、創業者大橋鎭子のもとで『暮しの手帖』の編集長を務め、その後、ウェブメディア「くらしのきほん」を立ち上げる。現在は(株)おいしい健康の取締役に就任。数々のメディアで、高い審美眼による豊かで上質な暮らし提案に努めている。新聞、雑誌の連載の他、著書多数。ベストセラーに「今日もていねいに」「しごとのきほん くらしのきほん100」他多数。NHKラジオ第一「かれんスタイル」のパーソナリティとしても活躍。

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