100とは

スウェットクルーネックプルオーバー(長袖)

スウェットクルーネックプルオーバー(長袖)

アシャのデザイン

誰もがやさしい気持ちになれるように。アシャはそのために服を作りたいと言った。

毎日、朝早くから深夜まで「コーヒーショップ」で働き、生活費を切り詰めて、少しずつ貯金をし、その夢を叶えようと頑張っていた。

アシャは毎日服のデザインを描くことを欠かさなかった。ときには疲れ切ってしまい、一枚しか描けない日もあった。それでも毎日ペンを握るアシャだった。

「私は自分のデザインに自信がないの。自信がないからこそ毎日描かないと怖いの。毎日描いて、ひとつも満足できるものはないけれど、私にできることは毎日描くということだけ。そうしていれば、いつか何かわかるときが来ると信じてる。服とは何か。デザインとは何かがわかるかもしれない。自分が作りたいものは何かが見えてくるかもしれない。そのためには、何があろうと、毎日机に向かわないとだめな気がする」

ある時、アシャはこう言った。

「描いていて感じるのは、描くというのは考えるということ。線を一本引くだけでも、そのために、服とは何かと考えざるを得ないわ。だから、私にとってのデザインとは、服のことをとことん考えるということ。一日でも休まず、毎日考え続けること。服とは何かを確かめるかのように」

「毎日確かめるってどういうこと?」

「デザインを描いていると、あ、こうだわ、と気づくことがあるの。けれども、それは本当にそうなのかしらって、ペンを動かしながら、もう一度考える。違うな、いや、そうかもしれない。そんなふうに気づいたことをあれこれと考え続けて、その気づきが確かなものかどうかを確かめるって感じ。あれ? なんか変ね。確かなものを確かめるって」

アシャは笑った。

「でも、次の日になったら、その確かな気づきを違うと思うこともある。それはそれでいいの。だからそうね、なぜ私が毎日描き続けるかというと、私は、確かな気づきをしっかりと確かめたいのね」

「一日でも休むと、これまで積み重ねてきた学びのようなものが振り出しに戻ってしまう気がする」と言ってアシャは背伸びをして、窓の外を眺めた。

アシャのデザイン ストーリーイメージ

アシャは自分のデザインを、積極的になって人に見せようとはしなかった。なぜかと言うと、彼女のデザイン画は、毎日の日記のようなもので、デザインというよりもアシャの頭や心の中の表れそのものだからだ。

ある時、ノートが開かれたままになっていて、アシャが描いたデザインを見ることができた。

スウェットクルーネックプルオーバー(長袖)

完璧なベーシックを求めて

クリストフ・ルメール率いるデザインチームがパリのアトリエからお届けする「Uniqlo U」。クルーネックスウェットは、秋冬コレクションの中でも象徴的なアイテムです。

一番のポイントは「フレンチテリー」という生地。スウェットに使われるパイル地の中でも薄手でストレッチ性が高く、吸湿性の高さと肌ざわりの良さが特徴です。本来のフレンチテリーの良さはそのままに、ほどよい厚みと重量を加えたオリジナル生地を採用しています。毎日着ることを徹底的に考えた、絶妙なスウェットの質感をお試しください。

スウェットクルーネックプルオーバー(長袖)
スウェットクルーネックプルオーバー(長袖)

一番のポイントは「フレンチテリー」という生地。スウェットに使われるパイル地の中でも薄手でストレッチ性が高く、吸湿性の高さと肌ざわりの良さが特徴です。本来のフレンチテリーの良さはそのままに、ほどよい厚みと重量を加えたオリジナル生地を採用しています。毎日着ることを徹底的に考えた、絶妙なスウェットの質感をお試しください。

スウェットクルーネックプルオーバー(長袖)

デザインとは

ノートを見た僕はびっくりした。

「今日もデザインを描かなきゃ……」と、いつもアシャは言っていたはずなのに、そこには服らしきものがひとつも描かれていなかったからだ。

ノートに描かれていたのは、男女問わず、子供から若者、大人であったり、老人であったりというように、人々の姿ばかりだった。それもたくさんの。

描かれている人々は、歩いていたり、椅子に座っていたり、寝転んでいたり、食事をしていたり、ジャンプしていたり、しゃがんでいたりしていて、その何かをしている動作が事細かに描かれていた。

他のページも見てみた。すると、そのほとんどが同じように、人の姿や動作ばかりで、その横には小さな文字で、「うれしい」とか「あったかい」。「つらい」とか「大変」とか「暑い」「寒い」など、その人それぞれ状況による感情のようなものがメモのように書かれていた。

アシャにとっての服のデザイン画とは、服そのものを描くのではなく、ありのままの人の姿、様々な動作であり、その時の感情だと僕はわかった。正直すごいなと思った。

「ちょっと何してんの! 私のノートを見ないでよ」

部屋に戻ってきたアシャはノートを見ていた僕に言った。

「いや、開いたままになっていたから、つい見ちゃったんだ。ごめん」

アシャは黙ってノートを閉じて、「これは私の今のすべてだから人には見られたくないの……。はずかしい……」と言った。

「でも、まあ、ノートを開いていた私が悪いから、あなたが悪いわけではないわ」

アシャと一緒に街を歩いていると、ときおり何かをじっと観察するかのように見つめている時があった。その視線の先には、取るに足りない何かをしている人の姿があって、何をこんなに夢中になって見つめているのだろうと思うことがあった。きっとその時、アシャは人の動作や姿を、彼女なりのデザインという視点で見ていたのだろう。

デザインとは ストーリーイメージ

椅子に座ったアシャは、その日着ていたスウェットシャツのネックの部分を顎まで引き上げ、ノートを開いて、そこに描かれている何かをぼんやりと見つめた。

「ねえ、デザインって何だろう? 何だと思う? 私ふと思ったんだけど、あのね、親切ってことじゃないかしら……。このスウェットシャツを着ているといつも思うんだけど、すごく親切だなーと思うの。何が?って、このなんてことないデザインのいちいちが……」

アシャは、自分の着ているスウェットシャツの袖のリブや裏側の起毛を触りながら、「親切って嬉しいよ。親切って大切よね……」と言った。

スウェットクルーネックプルオーバー(長袖)

オリジナルを現代的に

スポーツ選手が競技の前後に着用したことに由来するスウェットは、丈夫で機能性に優れたものでした。Uniqlo Uはオリジナルのディテールを研究し、程よいフィットのリブの編み込みや縫い目の表情に活かしました。

肩のつくりはドロップショルダーを採用し、着丈を短く、シルエットに丸みを持たせることでカジュアルながらもリッチな雰囲気に仕上げ。オーセンティックと現代的な視点を融合させています。また、ビビッドとニュートラルを織り交ぜたカラーパレットにも注目。選ぶ色によって着こなしの幅はぐんと広がるはずです。

スウェットクルーネックプルオーバー(長袖)
スウェットクルーネックプルオーバー(長袖)

肩のつくりはドロップショルダーを採用し、着丈を短く、シルエットに丸みを持たせることでカジュアルながらもリッチな雰囲気に仕上げ。オーセンティックと現代的な視点を融合させています。また、ビビッドとニュートラルを織り交ぜたカラーパレットにも注目。選ぶ色によって着こなしの幅はぐんと広がるはずです。

親切に満ちた服だから、
かわいくて、元気に見える。
楽しい気持ちになる。

松浦弥太郎
スウェットクルーネックプルオーバー(長袖)
058 WOMENスウェット
クルーネック
プルオーバー
(長袖)
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LifeWear Story 100とは。

ユニクロには、
流行に左右されず、
けれども、決して古びることのない、
長い間、作り続けている普通の服がある。
品揃えの中では、
とても地味で目立たない存在である。
コマーシャルにもあまり出てこない。

それらは、ユニクロが、
もっと快適に、もっと丈夫に、
もっと上質であることを、
長年、愛情を込めて追求したものだ。

それらは、ユニクロの人格と姿勢が、
目に見えるかたちになったものであり、
丹精に育てているものだ。

昨日よりも今日を、今日よりも明日と。

手にとり、着てみると、
あたかも友だちのように、
その服は、私たちに、
こう問いかけてくる。

豊かで、上質な暮らしとは、
どんな暮らしなのか?
どんなふうに今日を過ごすのか?
あなたにとってのしあわせとは何か?と。

そんな服が、今までこの世界に、
あっただろうかと驚く自分がいる。

ユニクロのプリンシプル(きほん)とは何か?
ユニクロは、なぜ服を、
LifeWearと呼んでいるのだろう?
LifeWearとは、どんな服なのだろう?

ここでは、LifeWearの、
根っこを見る、知る、伝える。
そして、LifeWearと、自分にまつわる、
ストーリーを書いていきたい。

LifeWear Story 100は、
LifeWearと僕の、旅の物語になるだろう。

松浦弥太郎

松浦弥太郎
松浦弥太郎

エッセイスト、編集者。1965年東京生まれ。
2005年から15年3月まで、約9年間、創業者大橋鎭子のもとで『暮しの手帖』の編集長を務め、その後、ウェブメディア「くらしのきほん」を立ち上げる。現在は(株)おいしい健康の取締役に就任。数々のメディアで、高い審美眼による豊かで上質な暮らし提案に努めている。新聞、雑誌の連載の他、著書多数。ベストセラーに「今日もていねいに」「しごとのきほん くらしのきほん100」他多数。NHKラジオ第一「かれんスタイル」のパーソナリティとしても活躍。

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