100とは

エクストラファインコットンシャツ(長袖)

エクストラファインコットンシャツ(長袖)

小さなラッキー

ニューヨークにやってきて、人のために本を探し、本を売るという仕事らしきことを見つけ、小さなアパートを借りることができて、アシャという恋人との出会いもあった。たいして英語も話せず、お金も無いが、こうしてささやかなしあわせを感じているのは、すべて友だちの助けがあったからだと思っている。

いろいろな意味で僕はラッキーだった。そんなラッキーというのは一体なんだろうか。

ラッキーは、決してまぐれや奇跡ではない。ことわざに「棚からぼた餅」という言葉があるけれど、それだって必ずそうなるための理由がある。ラッキーはどこからやってくるのだろう。

今朝、僕は半分に切ったベーグルに、クリームチーズをのせ、ブルーベリージャムを塗って食べた。コーヒーにはミルクをたっぷり入れて、窓から見える街の景色を見ながら、そんなふうにラッキーについて考えた。

なぜなら、今、自分がラッキーであることが少しだけ怖くなったからだ。いつまでもラッキーが続くはずがない、きっといつか不幸がやってくる。すごくラッキーでなくてもいいけれど、これから先、ささやかなラッキーでいれたら嬉しい。そのためにはどうしたらよいのか。足るを知った上で、多くはもとめないけれど、ラッキーのために必要な心がけはなんだろう。

「世の中の成功者に比べたら、足元にも及ばないけれど、僕はすごくラッキーだと思う。これからもラッキーな自分でいるためにはどうしたらいいのだろう。アシャはどう思う?」

小さなテーブルの向かいに座ったアシャに僕は聞いてみた。

「自分がラッキーだと感じているのなら、それを当然と思っているか、もしくは感謝をしているのかどっちかだと思うけれど、そう考えているあなたは感謝をしているのよね。感謝をしているのならそれでいいと思う。感謝という態度があなたから消えなければ、あなたはきっとずっとラッキーでいられるわ」

アシャは、自分好みに軽くトーストして、バターを塗ったベーグルを食べながらこう言った。朝食にはコーヒーではなく、水というのもアシャのスタイルだった。

アシャの言葉を聞いて僕はこう思った。人も含めて、日々出会うものすべてに向き合う、「感謝をしている」という自分の態度から、ラッキーは生まれるものだと。

小さなラッキー ストーリーイメージ

「むつかしいのは、ほんの小さなラッキーに気づくかどうかだと思うわ。ほとんどの人は、小さいラッキーのことを見逃してしまうわ。たとえば、道を歩いていて、さわやかで気持ちいい風に吹かれたとき、そんなことをほとんどの人はラッキーとは思わないじゃない? けれども、それは小さなラッキーだと私は思うの。『ああ、風が気持ちいい。わたしはなんてラッキーなんでしょう』とね。そして、誰に言うともなく『ありがとう』と言葉にする。私はそんな自分でいたいと思うわ。今、私が着ているシャツに対してもそうよ」

アシャはそう言って、残りのベーグルを口にぽんと入れて微笑んだ。

エクストラファインコットンシャツ(長袖)

あたらしいベーシックシャツ

襟の形、袖のつくり、身幅のサイジングなど何度もフィッティングを重ねてたどり着いた理想のシャツです。

肩のラインを下げることで生まれたリラックス感あるシルエット、ほどよい着丈は後ろを長くしてヒップをカバー、サイドスリットはトレンドを取り入れてやや深めに、フロントインしても綺麗に見えるように設計しています。前立てはシンプルなステッチにして、カジュアルながらクリーンな表情に仕上げました。

エクストラファインコットンシャツ(長袖)
エクストラファインコットンシャツ(長袖)

肩のラインを下げることで生まれたリラックス感あるシルエット、ほどよい着丈は後ろを長くしてヒップをカバー、サイドスリットはトレンドを取り入れてやや深めに、フロントインしても綺麗に見えるように設計しています。前立てはシンプルなステッチにして、カジュアルながらクリーンな表情に仕上げました。

エクストラファインコットンシャツ(長袖)

人を愛したくなる服

今朝のアシャは、真っ白なコットンのシャツを、素肌にふわっとはおるように着ていた。

少し大きめで、肩は落ちているけれど、それがまたかわいらしくて、袖の長さはちょうどよく、身幅もたっぷりしているので、とっても着心地がよさそうだった。

「このシャツ大好きなの。丈も短めだから、スカートにもパンツにも合うし、襟も小さめなのも好き。さらさらしたコットンの感じとか、とにかく着心地がいいのよ。こんなことも、自分が選んだ服だから当然と思うのではなく、着るたびに『ラッキー』と私は思うの。そして『ありがとう』とつぶやく自分がいるの。わかるかなこの感じ? 私ばかみたい?」

そう言ったアシャは、グラスの水をごくりと飲み込んだ。

「よくわかる。着ている服が心地よいというのも小さなラッキーだよね。だから感謝の気持ちが湧く。そういうのって、ひとつのしあわせだよね」

「うん、そう。ほんとにしあわせよ。そういうしあわせに感謝できる自分ってすてきなことだと思う。わたしね、このシャツを着ると、誰かを愛したくなるの。そういう気持ちってわかる? ようするに、このシャツを作ってくれた人は、きっと着る人の気持ちやライフスタイルのことをめちゃくちゃ思いやって、いわゆる愛情をたっぷり注いで作ったと思うの。だから、その愛情の連鎖が起きるのよ。めちゃ愛された気持ちになるから、嬉しくなって、その感謝の気持ちで、誰かを愛したくなる。そうやって、愛情が広がっていくってすばらしいと思わない? だからこそ、日々、小さなラッキーを見逃さないのが大事よね」

「着ると人を愛したくなる服ってすごい発想だなあ。それさ、そのシャツを作った人が聞いたらきっと喜ぶよ。でも、アシャが作りたい服ってそういう服だって前にも言ってたよね」

「そうよ。着る人のあらゆる気持ちを受け入れて、深く理解した服を作りたいの。それって、でも、すべて愛するってことよね。仕事って、自分が日々の暮らしの中で、与えられたラッキーを、自分のできることで返していくってことだと思う。私にとってそれはコーヒーを淹れることでもあるし、服作りもそうよ。小さなラッキーに感謝して、そのラッキーを独り占めしないで分かち合う。そうすれば、またラッキーは与えてもらえるような気がするの」

人を愛したくなる服 ストーリーイメージ

アシャはそれが自分の生き方そのものであるというように語った。

「結局、ラッキーへの感謝と、ラッキーのお返しを、自分のできることでするのが大事なんだね。そうすればきっとラッキーな自分でいられるのかもね」

「私って、なんでも『ラッキー』って思っちゃうの。おかしいでしょう。嫌なことがあってもその時は悲しんだりするけれど、すぐに『これも学びだわ。ラッキー!』ってね」

アシャはベーグルをもう一個焼いて、自分の皿にのせた。

「ベーグルおいしいわ。ラッキー」とアシャは笑い転げた。

エクストラファインコットンシャツ(長袖)

ワードローブの主役に

生地に使用しているエクストラファインコットンは、軽くて肌ざわり抜群な上質コットン100パーセント。シーズンを通して快適に着られる素材感が自慢です。そして、幅広いスタイリングに対応できるのもポイント。

スキニーパンツやスカート、ワイドパンツ、アンクルパンツなど合わせるボトムスを選びません。さらにシャツをタックインすればクリーンな印象に、アウトすればリラックスシルエット。表情豊かな着こなしを楽しみながら、タイムレスに愛用いただきたいLifeWearです。

エクストラファインコットンシャツ(長袖)

スキニーパンツやスカート、ワイドパンツ、アンクルパンツなど合わせるボトムスを選びません。さらにシャツをタックインすればクリーンな印象に、アウトすればリラックスシルエット。表情豊かな着こなしを楽しみながら、タイムレスに愛用いただきたいLifeWearです。

ジャストで着ても、
少し大きめで肩を落として着ても、
自分らしさが輝くシャツです。

松浦弥太郎
053WOMENエクストラ
ファインコットン
シャツ
(長袖)
閉じる

LifeWear Story 100とは。

ユニクロには、
流行に左右されず、
けれども、決して古びることのない、
長い間、作り続けている普通の服がある。
品揃えの中では、
とても地味で目立たない存在である。
コマーシャルにもあまり出てこない。

それらは、ユニクロが、
もっと快適に、もっと丈夫に、
もっと上質であることを、
長年、愛情を込めて追求したものだ。

それらは、ユニクロの人格と姿勢が、
目に見えるかたちになったものであり、
丹精に育てているものだ。

昨日よりも今日を、今日よりも明日と。

手にとり、着てみると、
あたかも友だちのように、
その服は、私たちに、
こう問いかけてくる。

豊かで、上質な暮らしとは、
どんな暮らしなのか?
どんなふうに今日を過ごすのか?
あなたにとってのしあわせとは何か?と。

そんな服が、今までこの世界に、
あっただろうかと驚く自分がいる。

ユニクロのプリンシプル(きほん)とは何か?
ユニクロは、なぜ服を、
LifeWearと呼んでいるのだろう?
LifeWearとは、どんな服なのだろう?

ここでは、LifeWearの、
根っこを見る、知る、伝える。
そして、LifeWearと、自分にまつわる、
ストーリーを書いていきたい。

LifeWear Story 100は、
LifeWearと僕の、旅の物語になるだろう。

松浦弥太郎

松浦弥太郎
松浦弥太郎

エッセイスト、編集者。1965年東京生まれ。
2005年から15年3月まで、約9年間、創業者大橋鎭子のもとで『暮しの手帖』の編集長を務め、その後、ウェブメディア「くらしのきほん」を立ち上げる。現在は(株)おいしい健康の取締役に就任。数々のメディアで、高い審美眼による豊かで上質な暮らし提案に努めている。新聞、雑誌の連載の他、著書多数。ベストセラーに「今日もていねいに」「しごとのきほん くらしのきほん100」他多数。NHKラジオ第一「かれんスタイル」のパーソナリティとしても活躍。

閉じる閉じる