100とは

ブラロングフレアワンピース

ブラロングフレアワンピース

五年後、同じ場所で

セントラルパーク。初夏のやわらかい陽射しに包まれて、僕はベンチに座って一冊の本を読んでいる。あまりの心地よさに自然と眠気がやってきて、目をつむったり、開けたりをゆっくりと繰り返した。

腰を少し前にずらして足を伸ばし、手を頭の後ろに組んで空を見上げた。木々の若葉がきらきらときらめき、すずめが枝から枝へと遊んでいるように跳ねている。

傍らに本を置き、座りながら背伸びをして、「フー」と大きく息を吐いた。

ニューヨーク・ヤンキースのTシャツを着ている六歳くらいの少年が蹴ったサッカーボールがコロコロと僕の足元に転がってきた。

「こっちに蹴って!」と、少し離れたところに立っていた少年が僕に声をかけた。僕は「オーケー」と答えてから立ち上がり、少年に向かってボールを蹴り返した。

少年は「ありがとう!」と言って、ボールを上手に足で受け止めると、すぐにまた僕のほうに蹴り返してきた。

「カモーン」と少年はにこにこしながら言った。

苦笑いしながら、僕はまたボールを蹴り返した。すると、また少年は僕に向かって蹴り返す。にこにこ顔で「カモーン」と言う。

「よし!」僕は足の内側で蹴るインサイドキックというのを思い出し、少年に向かって少し強めに蹴り返した。

少年はそのボールを受け止められず、逃したボールをあわてて拾い、「すごい。それどうやるの?」と聞いてきた。

「軸の足先を相手に向かってまっすぐに向けておく。その軸足を一歩前に踏んでから、蹴る足を大きく開いて、足の内側で蹴るんだ。蹴るんだけど、あまり蹴り上げずにシュッと蹴る感じ。ほら、やってごらん」と、僕は少年にインサイドキックを教えた。

「この蹴り方だと蹴りたいところに、正確にボールが転がっていくんだ。相手が捕りやすいところに捕りやすいように蹴るんだよ」と言うと、少年はうんうんとうなずいた。

僕は少年との距離を縮めて、「練習しよう!」と言い、インサイドキックでボールを蹴り合った。「ナイス!」「グッド!」「サンキュー!」僕らは、そんな言葉をお互いにかけあいながら、ボールを蹴るのに夢中になった。

インサイドキックを覚えた少年は、実にうれしそうだった。

「すみません、遊んでもらって……ちょっと仕事がトラブってしまって……」と、近くのベンチで、ずっと携帯電話で誰かと会話をしていた母親らしき女性が申し訳なさそうに声をかけてきた。そして、「さあ、そろそろ帰りましょう」と少年に言った。

「いいんです。僕も楽しかったし」と僕は答え、少年に「バイバイ」と言って手を振った。「教えてくれてありがとう!」と少年は言って、大きな声で「バーイ」と言った。

五年後、同じ場所で ストーリーイメージ

腕時計を見ると、約束の三時が近づいていた。僕は今日アシャと会う。いや、会えるかもしれない。

きっかり五年後の今日、同じ時間に、僕らが出会った「コーヒーショップ」の前で待ち合わせしよう。

別れのキスもハグもなく、五年前そうやって僕らは別れたのだ。

ブラロングフレアワンピース

快適で美しく

ルームウェアとして使われることが多かったブラトップドレス。今季はブラトップの快適さと、ドレスとしてのエレガントを両立させた自信作です。裾の部分はトレンドのギャザー仕様、シルエットは少しオフボディで、着たときにふわりと揺れる美しさをデザインしました。

素材は、しなやかなモダールコットンを使用。さらりとした感触とストレッチ性、しっとりとしたドレープ感が特徴です。重くなりがちなロングドレスですが、適度な落ち感と光沢がとてもきれいです。

ブラロングフレアワンピース
ブラロングフレアワンピース

素材は、しなやかなモダールコットンを使用。さらりとした感触とストレッチ性、しっとりとしたドレープ感が特徴です。重くなりがちなロングドレスですが、適度な落ち感と光沢がとてもきれいです。

ブラロングフレアワンピース

裸足が似合うドレス

「私はまるで『ミッドナイトカウボーイ』のジョーだった」とアシャは言った。

初夏のある日、僕らはセントラルパークのコンサバトリーガーデンの階段に座り、一人分のローストナッツとアイスティーを二人で分け合いながら、これまでの互いの人生を語り合った。

高校生の時、エチオピアから一人でニューヨークにやってきたアシャ。英語が話せなかった苦労、家族も友だちもいない日々、高校を卒業し、好きだったファッションの道へ進むが、イタリア人の母とエチオピア人の父の間に生まれたハーフであるがゆえ、健康的な肌色とスタイルの良さが仇になり、男性からのセクハラに悩まされた。

「今度こそ本当の恋愛ができる、と思って、人を好きになるんだけど、長く続いたためしがなかったわ。わたしが思い通りにならないとわかるとみんな去っていったわ。いつも嘘をつかれて騙されちゃうの。友だちは、何も考えずにエンジョイすればいい、というけれど、そうはなれなかった。私には夢がある。今しか出来ないことを精一杯やりたいの。ドレスメーカーになりたいの。そのためのデザインを学びたい。ただそれだけ。毎日いちゃついて、週末は夜通し遊びまわることが楽しいと思えないの。週に一度しか会えなくても、その一度をたっぷり楽しむ。そのほうがわたしはいい。わたしは彼氏のアクセサリーじゃないもの。いろいろな男性に出会ったけれど、うまくいかなくて人間不信に陥ったわ。遊べないのよ、わたし」

アシャはナッツをひと粒、空に向かって放り投げ、それを上手に口でキャッチした。

「一人ぼっちでいると、こんな遊びが上手になるのよね。ほら、ふたつ投げても落とさずに食べれるわよ」アシャは続けざまにナッツを投げて、口で受け止めるのを僕に見せて、無邪気に笑った。そして、四つまで出来ると自慢した。

「『コーヒーショップ』でバイトしたのは、わたしのように外国からやってきている人が多いからよ。みんな苦労している。あなたもそうね。仲間ができるから。わたしは一日に百杯以上、今、流行りのカプチーノを淹れて、ここに集まる『寂しきニューヨークの旅人』を励ましたい。負けるな!とね」

裸足が似合うドレス ストーリーイメージ

アシャは薄手のワンピースドレスを素肌に着て、裸足でスニーカーをはいていた。

「今日の服、すてきだね」と言うと、「ありがとう!これはわたしがデザインしたドレスなの。動きやすくて、楽で、それでいてフェミニンで健康的でしょ。この手のワンピースってセクシーになりがちだけど、そうならないように試行錯誤したの。バイトではいつもパンツルックだけど、今日みたいにデートの時はワンピースのほうが、女性は気分も上がるのよ。あ、でもスニーカーじゃ男はがっかりかもね。でも見て」と言って、アシャはスニーカーを脱いで、裸足になって立ち上がり、腰に手を当てて僕の目の前に立った。

「ね、どう? わたしのワンピースって裸足がいちばん似合わない?」そう言って、ワンピースをひるがえしながら、くるくると回って見せた。

「このあとどうする? どこ行く? 今日は裸足で街を歩こうかしら」

そう言ってアシャは、片手に脱いだスニーカーを持ち、もう片方の手で僕の手を引いて歩き出した。

五年前、僕らはそうやって休日を楽しんだ。

きらめく陽射しに眩しそうに目を細めるアシャの顔は美しかった。

ブラロングフレアワンピース

夏オシャレの主役

ブラトップのホールド感、安心感をキープしながら、女性らしいドレスのシルエットを兼ね備えたことで、ノースリーブにありがちな横から下着が見えてしまうことや下着のアタリ、ボディラインの心配はいりません。また、今季はマスタードイエローやカーキなどファッション目線でのトレンドカラーを展開。

ルームウェアとしてはもちろん、普段使いからリゾート地でちょっとしたレストランでの食事まで、いろんなシーンで夏のオシャレを楽しむことができるアイテムです。

ブラロングフレアワンピース

ルームウェアとしてはもちろん、普段使いからリゾート地でちょっとしたレストランでの食事まで、いろんなシーンで夏のオシャレを楽しむことができるアイテムです。

裸足が似合うのは、
きっと素肌に着るから。
休日が待ち遠しい服。

松浦弥太郎
ブラロングフレアワンピース
040 WOMENブラロングフレアワンピース
(ノースリーブ)
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LifeWear Story 100とは。

ユニクロには、
流行に左右されず、
けれども、決して古びることのない、
長い間、作り続けている普通の服がある。
品揃えの中では、
とても地味で目立たない存在である。
コマーシャルにもあまり出てこない。

それらは、ユニクロが、
もっと快適に、もっと丈夫に、
もっと上質であることを、
長年、愛情を込めて追求したものだ。

それらは、ユニクロの人格と姿勢が、
目に見えるかたちになったものであり、
丹精に育てているものだ。

昨日よりも今日を、今日よりも明日と。

手にとり、着てみると、
あたかも友だちのように、
その服は、私たちに、
こう問いかけてくる。

豊かで、上質な暮らしとは、
どんな暮らしなのか?
どんなふうに今日を過ごすのか?
あなたにとってのしあわせとは何か?と。

そんな服が、今までこの世界に、
あっただろうかと驚く自分がいる。

ユニクロのプリンシプル(きほん)とは何か?
ユニクロは、なぜ服を、
LifeWearと呼んでいるのだろう?
LifeWearとは、どんな服なのだろう?

ここでは、LifeWearの、
根っこを見る、知る、伝える。
そして、LifeWearと、自分にまつわる、
ストーリーを書いていきたい。

LifeWear Story 100は、
LifeWearと僕の、旅の物語になるだろう。

松浦弥太郎

松浦弥太郎
松浦弥太郎

エッセイスト、編集者。1965年東京生まれ。
2005年から15年3月まで、約9年間、創業者大橋鎭子のもとで『暮しの手帖』の編集長を務め、その後、ウェブメディア「くらしのきほん」を立ち上げる。現在は(株)おいしい健康の取締役に就任。数々のメディアで、高い審美眼による豊かで上質な暮らし提案に努めている。新聞、雑誌の連載の他、著書多数。ベストセラーに「今日もていねいに」「しごとのきほん くらしのきほん100」他多数。NHKラジオ第一「かれんスタイル」のパーソナリティとしても活躍。

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