100とは

U クルーネックT(半袖)

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手がかりの発見

「1945年に刊行された、アレクセイ・ブロドヴィッチの写真集『Ballet』のカバーケース付きを探してほしい」

僕は生まれて初めて、ケンという名のコレクターから、本探しの依頼を受けた。しかし、僕はその写真集をこれまで見たことがなかった。7000ドルもする希少な一冊をはたして見つけることができるのだろうか。

「まずは、その写真集を、隅々までじっくりと見ること。そうすれば、探し出すためのヒントが必ずある」

ジャックはこんなふうにアドバイスをしてくれた。そして、古い写真集は、ICPライブラリー(国際写真センター)に行けば見ることができると教えてくれた。

ICPライブラリーは、42丁目のブライアントパークの目の前にあった。ニューヨーク公立図書館のすぐそこの場所だ。

ICPライブラリーは、新旧問わず、写真に関する書籍を膨大にコレクションしていて、誰でも閲覧できるので、それからの僕にとっては、いつでも写真と写真集が学べる、ありがたい場所となった。

「Ballet」は一体どんな写真集なんだろう。

ライブラリーの司書に、探している本を告げると、しばらく待たされた後、写真集を書庫から持ってきて、「とても貴重な本ですので、くれぐれも扱いをていねいにお願いします」と言われた。「こちらでご覧になってください」と、このような貴重な本を見るためのデスクに座らせられた。

「Ballet」は、小さくて薄い写真集だった。レイアウトは余白が多用され、収録された104枚の写真は、いわゆる華麗なバレエ芸術を捉えたものというより、ページをめくるたびに、リアリティが溢れた、バレエの舞台現場のドキュメンタリームービーを見ているような、躍動感に満ちた素晴らしいものだった。

内容は、当時、舞台画家として活躍したセルゲイ・ディアギレフが創設した「Ballet Russes」が、ボストンとフィラデルフィアで行った公演をブロドヴィッチが撮影したものだ。

手がかりの発見 ストーリーイメージ

僕はノートを横に置き、「Ballet」をくまなく見て、そのクオリティ、デザイン手法、描写表現、手がかりになりそうな記述など、感じたり、気になったものすべてをメモに残した。気がつくと2時間あまりが過ぎていた。

ひとつ気づいたのは、著者名にEdwin Denbyというブロドヴィッチ以外の名前があったことだ。どうやら写真集内の文章を書いた人のようだ。

僕は近くにいた司書の男性に「この人をご存知ですか?」と聞くと「うーん、ちょっとわからないなあ。調べますので、ちょっと待ってて」と言われ、そのEdwin Denbyという人物が、詩人であり、高名なダンス評論家であることを知った。そして、「80歳で、まだ生きていますね」と言われた。

「見つけた」僕は直感的に思った。

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極上のスタンダード

コンセプトは「クラシックでありながら、あたらしいTシャツ」時代に左右されることなく、どんなスタイルにもフィットする、生地が長持ちして日々の暮らしにいつでも付き合えるTシャツです。

極めてシンプルだからこそ、徹底的にこだわったのは素材。様々な糸を10g単位で用い、編み地の密度、生地の重さを組み合わせトライアンドエラーを繰り返しました。さらに染色した色の濃度によって風合いや厚みの変化が均一になるように見極め、理想のオリジナル生地にたどりつきました。

U クルーネックT(半袖)

極めてシンプルだからこそ、徹底的にこだわったのは素材。様々な糸を10g単位で用い、編み地の密度、生地の重さを組み合わせトライアンドエラーを繰り返しました。さらに染色した色の濃度によって風合いや厚みの変化が均一になるように見極め、理想のオリジナル生地にたどりつきました。

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優秀よりも勇敢になれ

「ブロドヴィッチの『Ballet』の共著者であるEdwin Denbyに会いに行こう。そして、ブロドヴィッチとの思い出や、『Ballet』にまつわる当時の話を聞かせてもらおう」。僕はすぐにジャックに電話をして、こう話した。

「わかった。どこに住んでいるか調べてみよう。80歳ならまだ元気なはず。しかし、よくそんなことを思いついたな」と、ジャックは笑いながら、僕の思いつきを感心してくれた。

もしかしたら「Ballet」を余分に持っているかもしれない。著者の一人なら、きっと当時の状態で保管しているから、きっとコンディションはいいはずだ。僕はそんな下心を抱いていた。

ニューヨーク中のコレクターやブックハンターが必死になって探して見つからない本だ。同じように探しても見つかるはずがない。それなら、違う方法で、違う思考で探す。その手がかりは、ジャックが言ったように、本の中に確かにあった。僕はEdwin Denbyという人物に会えば、必ず何か突破口が開けると確信を持った。

「今、彼はメイン州のシアーズモントという田舎に暮らしているらしい。自宅の電話番号を、ニューヨーク・タイムズの知り合いの記者に調べてもらっているから、きっとすぐにわかるだろう。ちょっとした小旅行になりそうだ。季節が変わって、少し暖かくなってから行こう」それから数日後、いろいろと調べてくれたジャックは僕にこう話した。

それからというもの、ジャックと一緒に古書店巡りをしていると、それまで名前すら知らなかったEdwin Denbyのダンス評論集や詩集といった著作を、ちょくちょく見つけるようになり、僕は本人に会う時のために買い集めるようになった。

ある古書店でのことだ。「The Complete book of poem」という詩集を買った時、そこの店主に「この詩人の娘が近所に住んでいて、ここによく来てくれるんだ」と、突然言われ、僕とジャックは驚いた。ジャックは「もし今度、その方が店に来たら、ここに電話してほしいと伝えてください」と。店主に自分の電話番号を書いたメモを渡した。

「こんなことってあるんだなあ……」ジャックは目を丸くして僕の顔を見た。

優秀よりも勇敢になれ ストーリーイメージ

冬の終わりのニューヨークは、ぽかぽかと暖かい陽射しが気持ちよく、日によってはTシャツ一枚でも平気だった。

「Tシャツって、アメリカが生んだ偉大な発明のひとつ。船に乗る海兵のために作られた白い肌着だったが、いつしか彼らが、勇敢さとたくましさを誇示するための普段着として愛用するようになり、男にとっての憧れの服として人気となったんだ」と、ジャックは言った。

「Tシャツが似合う男になりたいって、世界共通の男の憧れだよね」と僕が言うと、「優秀よりも勇敢であれ、と、父親によく言われたけど、それってTシャツが似合う男になれってことかもな」と、ジャックは笑って言った。

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世界一のTシャツ

生地は240gというヘビーウェイトの天竺。風合いはドライタッチ。目が詰まった天竺生地は縮みにくく、洗濯を繰り返してもくたびれにくくて丈夫です。ゆとりあるリラックスシルエットはどんな体型にもフィットします。

肩とアームホールには伝統的で丈夫な縫製「二本針のまたぎステッチ」を採用。首元はヴィンテージミリタリーのアンダーウェアを参考に、伸びにくい「バインダー」仕様に。洗いざらしを1枚で着ても十分な存在感、豊富なカラーバリエーションをサイズ違いで楽しむ。ずっと着られていつでも近くに置いておきたいLifeWearです。

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肩とアームホールには伝統的で丈夫な縫製「二本針のまたぎステッチ」を採用。首元はヴィンテージミリタリーのアンダーウェアを参考に、伸びにくい「バインダー」仕様に。洗いざらしを1枚で着ても十分な存在感、豊富なカラーバリエーションをサイズ違いで楽しむ。ずっと着られていつでも近くに置いておきたいLifeWearです。

優秀よりも勇敢であれ。
それはいわば、
Tシャツが似合う男になれ、
ということかもな。

松浦弥太郎
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LifeWear Story 100とは。

ユニクロには、
流行に左右されず、
けれども、決して古びることのない、
長い間、作り続けている普通の服がある。
品揃えの中では、
とても地味で目立たない存在である。
コマーシャルにもあまり出てこない。

それらは、ユニクロが、
もっと快適に、もっと丈夫に、
もっと上質であることを、
長年、愛情を込めて追求したものだ。

それらは、ユニクロの人格と姿勢が、
目に見えるかたちになったものであり、
丹精に育てているものだ。

昨日よりも今日を、今日よりも明日と。

手にとり、着てみると、
あたかも友だちのように、
その服は、私たちに、
こう問いかけてくる。

豊かで、上質な暮らしとは、
どんな暮らしなのか?
どんなふうに今日を過ごすのか?
あなたにとってのしあわせとは何か?と。

そんな服が、今までこの世界に、
あっただろうかと驚く自分がいる。

ユニクロのプリンシプル(きほん)とは何か?
ユニクロは、なぜ服を、
LifeWearと呼んでいるのだろう?
LifeWearとは、どんな服なのだろう?

ここでは、LifeWearの、
根っこを見る、知る、伝える。
そして、LifeWearと、自分にまつわる、
ストーリーを書いていきたい。

LifeWear Story 100は、
LifeWearと僕の、旅の物語になるだろう。

松浦弥太郎

松浦弥太郎
松浦弥太郎

エッセイスト、編集者。1965年東京生まれ。
2005年から15年3月まで、約9年間、創業者大橋鎭子のもとで『暮しの手帖』の編集長を務め、その後、ウェブメディア「くらしのきほん」を立ち上げる。現在は(株)おいしい健康の取締役に就任。数々のメディアで、高い審美眼による豊かで上質な暮らし提案に努めている。新聞、雑誌の連載の他、著書多数。ベストセラーに「今日もていねいに」「しごとのきほん くらしのきほん100」他多数。NHKラジオ第一「かれんスタイル」のパーソナリティとしても活躍。

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