マーティン・パーと歩くルーヴル美術館
Mar 05, 2026
UT
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Q. 今日はお時間をいただきありがとうございます。まず、UT×ルーヴル美術館の撮影についての感想を聞かせてください。
とても良い体験でした。何よりも、美術館内に観光客がまったくいなかったことが大きかった。以前ルーヴルで撮影したときは人でぎゅうぎゅうでしたが、今回は貸し切り状態だったので雰囲気がまったく違いました。モデルたちと一緒に館内を歩き回って、自分たちのペースで撮影できたので、全体的にとてもスムーズで楽しい撮影でした。
Q. 誰もいない美術館での撮影は、普段のドキュメンタリー写真のアプローチとはだいぶ異なりますよね。
はい、まったく違います。もし自分の作品として撮るなら、むしろ観光客で賑わっているほうが好都合です。私は人に興味があるので、写り込んでもらいたい。でも今回は「誰もいないルーヴル」という特別な状況でした。こういう場合は、モデルと空間、服とアート作品との関係を見て全体のバランスを取りながら撮影します。50年以上写真を撮っているので、それを見極めるのは自分にとっては自然なことです。
Q. 『モナ・リザ』の前で撮影された写真は、以前も同じような構図で作品を撮られていますが、意図的だったのでしょうか。
あの部屋に入ったら、そうするしかないですよね。みんな『モナ・リザ』を撮っていて、私はその人たちを撮る。ほとんど必然みたいなものです。
Q. ご自身の作品がTシャツのデザインになることについてどう思いますか。
とても満足しています。自分の写真がTシャツになるというアイデアも好きです。いいと思いませんか?私は以前から、「とても節操のない写真家」だと言ってきました。ポストカードでもジグソーパズルでも、美術館の壁でも、自分のイメージが使われるならどこでもうれしい。街で誰かがUTを着ていたら、声を掛けて「それ、私が撮ったんですよ」と言うかもしれません。
Q. スマートフォンの普及で、人々の振る舞いも変わりました。それは撮影への興味にも影響していると思いますか。
スマートフォンの登場によってすべてが変わりましたよね。スマホを使う人々、セルフィーを撮る人たちだけをテーマにした写真集を作ったこともあります。私は常に、目の前で起きている現象を作品に取り入れてきましたから。携帯で写真を撮る人も増えましたが、写真がうまいかどうかにプロかアマチュアかは関係ありません。大事なのは「良い写真かどうか」です。例えばインスタグラムは、新しい才能を見つける場所としてとてもいいですね。
Q. 「良い写真」とはどんな写真でしょうか。
それが説明できたら、とっくに写真家をやめていますよ。でも私の創作プロセスはとてもシンプルです。撮影して、編集して、撮ったなかから1割くらいを20×30センチに印刷して、そこからまた吟味する。1年に10枚くらい本当に良い写真が撮れたら、それで十分です。
Q. 写真はあなたにとって「セラピー」のようなものだともおっしゃっていますね。
私は自分の故郷であるイギリスに対して複雑な想いがあります。大好きでもあり、嫌いでもある。その矛盾を写真で検証しているのです。政治の状況など、うんざりする部分もありますが、紅茶を飲むとか、農業ショーに行くとか、海辺を散歩するとか、好きなところもたくさんある。その相反する気持ちは言葉ではうまく説明できません。写真のほうがずっとうまく表現できます。私は写真家であって、ライターではありませんから。
Q. 世界を記録し、アーカイブとして残すことについて、写真家としての責任を感じていますか。
責任は感じています。世界にはまだ私が撮れていないものが無数にあって、全部を撮り切ることはもちろんできませんが、可能な限り記録したいと思っています。それが撮り続ける理由にもなっています。これまでに撮影した約5万6千点の写真はアーカイブ化していて、すべてキーワードを付けて整理しています。未来の人がアクセスできる形で残すことが大事だと思うのです。そのためにイギリスのブリストルにマーティン・パー財団を設立しました。
Q. 財団では若い写真家の育成も行っていますね。どのようなアドバイスをするのでしょうか。
写真は難しいです。簡単だと思われがちですが、自分の声を見つけるには相当な努力が必要です。多くの人は根気が足りない。とにかく夢中になって、やり続けることが大事です。指導するときは、その人が「自分の作品の中で最も面白いと思う写真はどれか」を聞きます。それがどうして面白いのか。そこにその人の考え方が表れます。そして、どれだけ時間を掛けて撮ってきたのかは、写真を見ればすぐにわかります。
Q. 2025年の春、桜の季節には「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2025」のために京都で撮影されました。いかがでしたか。
とても楽しかったです。日本の桜に対する熱狂ぶりはずっと味深いと思ってきました。今年は天気も完璧で、人もすごく多かった。本当に身動きが取れないほどでした。そのように混沌とした場は、写真を撮るには最高です。展示空間にも観光客とKYOTOGRAPHIEの来場者が入り混じっていて、それも良かったですね。
Q. UTのTシャツ、ご自身でも着ますか。
きっと着ますよ!XLを送ってくれるとうれしいです。
マーティン・パーの活動を紹介
マーティン・パー財団


(左) Martin Parr, Martin Parr Foundation, Bristol, England, 2025
© Martin Parr Foundation
(右) Install shots of the Martin Parr exhibition Chew Stoke,
Martin Parr Foundation, Bristol, England, 2023
© Martin Parr Foundation
マーティン・パー財団は、若手から、既に評価を確立した写真家、さらにはこれまで十分に注目されてこなかった写真家まで、とりわけブリテンおよびアイルランドに焦点を当てて作品を制作する写真家を支援する慈善団体。重要な写真作品を保管すると同時に、写真という文化的活動に、より多くの人々が関われる場をつくることを使命としている。2017年、イギリス・ブリストルに開館した施設には、写真プリント、試作本、ポートフォリオをはじめ、デイヴィッド・ハーン、ヴァル・ウィリアムズ、クリス・キリップといった主要な写真家のアーカイブを含む、幅広い写真関連資料を収蔵。現在もコレクションの拡充が続いており、後世にわたって閲覧や研究が可能となるよう、長期的な視点で保管している。定期的に無料の展覧会を開催するほか、トークショーやワークショップなども実施し、ブリテンおよびアイルランド文化の多様性を反映した活動を目指す。また、財団の支援メンバーになると、併設された専門的な写真集ライブラリーなどの施設やプログラムに優先的にアクセスできる。ギャラリーの一般開館時間は、木曜から日曜の10時から17時まで来館可能(それ以外の時間帯は予約制)。
316 Paintworks, Bristol BS4 3AR, United Kingdom
HP:https://martinparrfoundation.org
KYOTOGRAPHIE 2025


(左)Martin Parr / Magnum Photos
(右)Cherry Blossom, Kyoto, Japan, 2025 © Martin Parr / Magnum Photos
KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭は、毎年春に京都で開催される都市型の写真フェスティバル。市内各所の歴史ある町屋、寺院、近現代建築など文化的な施設を舞台に、国内外の写真家の作品を紹介する。13回目となった2025年のテーマは「Humanity」。世界各地から14組のアーティストが参加し、人間の多様な営みについて写真を通して表現した。マーティン・パーの展示会場は、京都でも特に観光客の多い木屋町の入り口に位置する、建築家・安藤忠雄が計した「TIME’S」。長年にわたって展開されてきた『Small World』シリーズからの大判プリントに加え、桜のシーズンに京都で撮り下ろされた新作写真によるスライドショーを発表し、マスツーリズムを鋭く、かつユーモラスな視点で捉え、観客を魅了した。インタビューの中で、マーティンは、撮影のために京都に滞在したことで、多くのファンと直接交流できたことを非常にうれしい時間だったと振り返っている。
マーティン・パー
1952年、イギリス・サリー州に生まれ、鮮やかな色彩と鋭いアイロニーによって社会生活を捉える写真を制作。現代の視覚文化において最も際立った存在の写真家のひとり。1994年にマグナム・フォトの正会員となり、2013年から2017年まで同組織の会長を務めた。余暇、消費、人々の振る舞いといったテーマを掘り下げ、その作品は世界各地の主要な芸術機関で発表されてきた。多作な写真家として知られ、140冊以上の写真集を刊行し、30冊以上を編集しているほか、2021年の大英帝国勲章コマンダー(CBE)授与を含む数多くの賞を受賞。2017年にはブリストルにマーティン・パー財団を設立。2025年12月、ブリストルにて急逝、世界中の多くの人に悼まれた。
2025年、UTはマーティン・パーとコラボレーションし、撮り下ろしの写真を使用した特別なTシャツを、一緒に制作できたことを光栄に思います。ありがとう、マーティン。ご冥福をお祈りいたします。
1952年、イギリス・サリー州に生まれ、鮮やかな色彩と鋭いアイロニーによって社会生活を捉える写真を制作。現代の視覚文化において最も際立った存在の写真家のひとり。1994年にマグナム・フォトの正会員となり、2013年から2017年まで同組織の会長を務めた。余暇、消費、人々の振る舞いといったテーマを掘り下げ、その作品は世界各地の主要な芸術機関で発表されてきた。多作な写真家として知られ、140冊以上の写真集を刊行し、30冊以上を編集しているほか、2021年の大英帝国勲章コマンダー(CBE)授与を含む数多くの賞を受賞。2017年にはブリストルにマーティン・パー財団を設立。2025年12月、ブリストルにて急逝、世界中の多くの人に悼まれた。
2025年、UTはマーティン・パーとコラボレーションし、撮り下ろしの写真を使用した特別なTシャツを、一緒に制作できたことを光栄に思います。ありがとう、マーティン。ご冥福をお祈りいたします。
© Martin Parr C/O DMB Louvre Pyramid © I.M. Pei © Martin Parr C/O DMB
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