Sticking With Good Friends
Over the Years

Text by Yataro Matsuura  
Illustration by Yoshifumi Takeda

いい友だちと長く付き合っていく

エッセイスト松浦弥太郎がつづる、長く寄り添う服との付き合い方。

朝一番に、洗い立てのサラッとした肌ざわりのシャツに袖を通したとき、その心地よさに思わず笑みがこぼれる。

下着やソックスは、着ているときのちょっとした動きやすさや、ふとした安心感に、はっとするときがある。今日はこれを選んでよかったと思ったり。

服は、単に人の見た目を作るものではなく、人の暮らしに寄り添い、元気と笑顔を与えてくれるもの。そう思うと、服っていいな、すごいな、と感心する。そして服は、大切な友だちのような存在にも思えてくる。

服が友だちであるなら、自分は服のことをどれだけ知っているのだろうか。

ある日、いつも着ている大好きなシャツを手にとり、普段見ることもしなかった、ボタンのかたちや縫製、襟や袖の取り付け部分、ステッチがどんなふうなのか、袖やボディのカーブ、生地のテクスチャーなどをしげしげと見た。そう、友だちのことをもっと知るように。

なるほどとうなずき、なぜ自分はこのシャツが好きなのかがよくわかった。今まで気づかなかったけれど、心地よさや魅力には理由があった。意図があり、親切であったり、美しさやユニーク、工夫があったり、人が人を想う気遣いがあった。これは大きな発見だった。

Yataro Matsuura | 松浦弥太郎

Essayist & Editor

1965年、東京都生まれ。2003年、中目黒に書店「COW BOOKS」をオープン。06年から15年まで雑誌『暮しの手帖』編集長を務め、Webメディア「くらしのきほん」を立ち上げる。現在はヘルスケアサービス「おいしい健康」の経営に携わる。著書に『今日もていねいに。』『しごとのきほん くらしのきほん100』ほか、ユニクロのWeb連載をまとめた『着るもののきほん 100 LifeWear Story 100』が発売中。
uniqlo.com/lifewearstory100/

好きな服のことがよくわかると、洗い方やたたみ方、収納の仕方、そして着こなし方という、いわばこれまでの服との付き合い方にちょっとした変化が起きた。服の買い方も変わった。一番はその服がもっと好きになったことだ。

おしゃれであったり、すてきであったりする人が、なぜそうなのか。彼らは友だちとして選んだ服のことをよく知り、そのいいところや魅力を見つけ、存分に味わい、感謝し、大切にする気持ちで接している。

いい友だちと長く付き合いたい。親友は少なくていい。

着続けていることで愛着がわき、古びることの美しさを味わう。そんな新しかったときよりも、時とともによくなっていくような服を大切に着るライフスタイル。これからの時代の豊かさとサステナビリティがここにある。

Yataro Matsuura | 松浦弥太郎

Essayist & Editor

1965年、東京都生まれ。2003年、中目黒に書店「COW BOOKS」をオープン。2006年から15年まで雑誌『暮しの手帖』編集長を務め、Webメディア「くらしのきほん」を立ち上げる。現在はヘルスケアサービス「おいしい健康」の経営に携わる。著書に『今日もていねいに。』『しごとのきほん くらしのきほん100』ほか、ユニクロのWeb連載をまとめた『着るもののきほん 100 LifeWear Story 100』が発売中。uniqlo.com/lifewearstory100/

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