UNIQLO
&
White
Mountaineering

この秋のサプライズは、「ユニクロ アンド ホワイトマウンテニアリング」の初コレクション。
デザイナーの相澤陽介さんが考えたのは“循環”。そして、家族の絆をLifeWearで繋げること。

  • Interview with Yosuke Aizawa
  • Photography by Takemi Yabuki, Kazufumi Shimoyashiki (portrait and product)
  • Editing and Text by Tamio Ogasawara
  • Interview with Yosuke Aizawa
  • Photography by Takemi Yabuki, Kazufumi Shimoyashiki (portrait and product)
  • Editing and Text by Tamio Ogasawara

この秋のサプライズは、「ユニクロ アンド ホワイトマウンテニアリング」の初コレクション。
デザイナーの相澤陽介さんが考えたのは“循環”。そして、家族の絆をLifeWearで繋げること。

スイス・ツェルマットでの写真は、〈ホワイトマウンテニアリング〉のデザイナーである相澤陽介さんが3年前に訪れた際にスノーボードで滑ったときのもの。ロープウェイを使い山頂まで行くと、このような絶景と出合えるのだそうだ。

限りない静寂と神秘に包まれた雪と岩の世界が、目路はるかにひらけている。山々はひとつの別世界であり、地球の清廉な一部でもある。

「スイスのツェルマットには過去3度訪れたことがあるのですが、360度見渡せる光景も、そんな雪山を眺めながら日本の富士山よりも高いところからスノーボードで一気に滑り降りていくという行為も、とても気に入っている美しい場所なんです」

〈ホワイトマウンテニアリング〉のデザイナー、相澤陽介さん。2006年に立ち上げたブランドでは、“服を着るフィールドは全てアウトドア”をコンセプトに、デザイン、実用性、テクノロジーといった要素をひとつの形にし、自身の信念を曲げることなくものづくりを続けている。ブランド名のとおり、ブランドの軸は「山」をはじめとするアウトドアというカテゴリーを、東京という「白い」コンクリートな都市生活に限りなく活かす。決してストイックな山の男ではなく、スラックスにマウンテンパーカを合わせるような。黎明期の山のクラシックスタイルに近しくはあるのだが、見た目以上にスポーツテクノロジーがふんだんに取り込まれたパフォーマンススタイルを標榜する。冒頭の原初的な山々の写真も、〈ホワイトマウンテニアリング〉の「服とはなにか」というプリミティブな問いを召喚しながら行うものづくりを象徴する側面を持ち合わせる。

ユニクロの服にあったらいいものってなんだろう

今コレクションのタグなどで使われている山のイラストは、〈ホワイトマウンテニアリング〉のブランド発足時に今まで行った山をイメージしながら作った架空のものである。ツェルマットのような山の麓からいくつも同じような光景を見てきたそうだ。

ユニクロの服にあったらいいものってなんだろう

ユニクロの服に今必要なものはなにか? 〈ホワイトマウンテニアリング〉の相澤さんとともに、その答えを導き出すための山行に出たのは今回のコレクション発表に先駆けること1年前の話だ。

「まず僕はユニクロのインナーウェアを着てスノーボードをやってみることから始めました。自分が体感した情報にしない限り判断ができないと思ったんです。アンダーウェア、ソックス、Tシャツといった身の回りのものも意図的にユニクロにしてみたのですが、結果はストレスゼロ。ストレスを可能な限り感じない洋服が日常では大事になると考えているので、僕がユニクロと一緒に作るアウターも同じ線上にしたいと思いました。そもそも服を作るうえで、僕自身が最も大切にしているのは、日々の生活のパフォーマンスです。着たときに全くストレスがないのがいい。ストレスがないというのは、単純に柔らかい、ストレッチが効いているということだけではなくて、形が明確で保温性もあるけど、洋服を着ている感覚ではなく包まれている感触がある。つまり、自身がなにかを着ているのを忘れるというところで洋服が存在するというものを重要視して作っています。単純にビジュアルがいいのかというだけではなく、たとえば薪割りをした際に、腕がすごく上がりやすいのに気づかない。自転車に乗っているときもそうで、ストレスを気づかせない袖回り、肩回りにするにはどうすべきかといったことなどを考えてパターン、デザインを考えました」

こうして出来上がったプロダクトのひとつが両胸に止水ジップの付いた「ハイブリッドダウンジャケット」だ。ユニクロでは珍しく胸にポケットが付いたものだが、暖かさや着やすさなどの機能を追い求めるだけではなく、ミリタリーウェアの要素も取り込むなどアウトドアに寄りすぎない中庸的なデザインを目指した。クラシックな服に着たらモダンになるように。全身ブラックでモードに合わせてもフィットするように。時代に右往左往しないLifeWearを目指して。ほかにはフリースなども作られたが、今コレクションはメンズウェアだけでなく、ウィメンズ、キッズラインも誕生した。もちろん訳がある。

  • Ultra Light Down Oversized Jacket (UNIQLO and White Mountaineering)今秋発売予定

自身の母校である多摩美術大学八王子キャンパス図書館にて。日本を代表する建築家のひとりであり、同校の環境デザイン学科客員教授を務める伊東豊雄氏による設計。現在、相澤さんは生産デザイン学科の客員教授も務める。

せっかくなら家族で着たいと思うのです

「プロダクトに対して過程を明確にしていくことが大事なことだと思っています。そのプロダクトの良し悪しだけではなく、ものを作る人間、それを買う人が何を考えてプロダクトと向き合えたらいいのか? 今回のプロジェクトで最も重きを置いたのが“循環”です。これはプロダクトの循環という意味以外にも、世代や人種、洋服を作る意味が含まれています。

長年、海外を含めてデザイナーをやってきて、様々な人と出会い、考え方を経験し、現在大学で教える立場になってからは世代を超えて洋服と向き合うようになりました。そのため、メンズだけでなく、ウィメンズ、キッズと世界観を作っていきたいと考え、“家族”というテーマも大切にしました。僕には3人の子どもがいるのですが、洋服を使い、彼らのような若い世代との中和になればいいのだと思っています。“繋がり”の提案です。

以前、日本のプロサッカーリーグに所属する『北海道コンサドーレ札幌』のユニフォームを手がけたのですが、双子の息子たちもチームのファンになりよく着て応援しています。そうなると、僕も一緒にユニフォームを着ようかなって気持ちになる。子どもたちと一緒に着ることができたらやっぱり楽しい気分になれるんです。だから、コレクションでは親と子の共通言語を洋服で作れたらいいなと考えました。お母さんが着ているものと似ているものを着たい。お父さんとは反対の色を着ようかな。洋服を通してこういった会話が生まれ、家族の絆が少しでもできてくれたらいいなと。これは、ひとりの親としてのチャレンジですし、ユニクロだからできたこと。

そもそも、僕がアウトドアを好きになったのも父の影響でした。父は終戦の年に生まれ、早くに父親を亡くし、苦労して生活していたそうです。’60年代の東京・福生の米軍基地近くのカメラ店で働き、図案屋を独学で始めました。いわゆるデザインの仕事です。貧しくはあったのですが、アメリカの影響を受けた洋服はたくさん家にあり、様々な場所に連れて行ってもくれました。釣りをして、テントを張り、好きなカントリーミュージックを聴きながら車で帰ってくる。友達よりも父とどこかへ行った記憶のほうが多いくらい。譲り受けた服も多く、バンドを組みドラムをやっていた父には音楽のよさも教わりました。父から教えてもらったもので今の僕は成り立っている。

僕の父も比較的早くに亡くなっているので、自分の子どもたちにもそうしてあげたいし、絆や思想が世代を超えて繋がっていってほしいとも思うのです。それと同じくらい、洋服を循環させるということも子どもたちに繋がる未来に向けての大きな取り組みだと思っています。〈ホワイトマウンテニアリング〉ではサステナブルな視点からもできるだけ長く着てもらえるいいものを作ることを心がけていますが、ユニクロではユニクロで服を買って、着なくなったものをユニクロに戻すことができる。これは洋服を受け継ぐという形と並行して、誰かがやり始めなくてはならなかった“循環”というサステナビリティ。リサイクル、リユースの取り組みは発展過程だと思いますが、僕が着ているユニクロの下着も、一緒に作ったコレクションも、いつか着なくなったら家族みんなでお店に持っていって回収ボックスに入れればいいわけです。こういう洋服の未来なら素敵なことですよね」

自身の母校である多摩美術大学八王子キャンパス図書館にて。日本を代表する建築家のひとりであり、同校の環境デザイン学科客員教授を務める伊東豊雄氏による設計。現在、相澤さんは生産デザイン学科の客員教授も務める。

  • Hybrid Down Oversized Parka (UNIQLO and White Mountaineering)今秋発売予定。メンズ、ウィメンズ、キッズで構成されるコレクションの全貌はスペシャルサイトなどで順次公開。
    uniqlo.com/whitemountaineering/

Yosuke Aizawa | 相澤陽介

Fashion Designer

1977年生まれ。多摩美術大学デザイン科染織デザイン専攻を卒業後、2006年に〈White Mountaineering〉をスタート。2016年よりパリ・コレクションでのランウェイ発表を続け、様々な海外ブランドのデザインも手がける。2019年からは、「北海道コンサドーレ札幌」のクリエイティブディレクターにも就任。多摩美術大学の客員教授も務める。

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