Historic Buildings

由緒ある建物の中にあるユニクロはこんなにたくさん。ドイツのハンブルク店 (1) もそのひとつ。1910年代に銀行だった建築物で、ファサードや天井のモザイクタイルには漁業や海運、貿易業など、この地に根付く産業を表すモチーフが。デンマークのストロイエ店 (2) は、1840年代の婦人服店の建物を再利用。20世紀初頭のコロニアル建築の風情を残すベトナムのホアンキエム店 (3) では、優れた職人技が息づく街の背景も垣間見える。イギリスのリージェントストリート店 (4) はその高い歴史的価値から、建物全体が法律で保護されている。1920年代当時のアールデコ内装を受け継いだ空間は、世界初の「RE.UNIQLO STUDIO」に。リペアやリメイクを施し、一着を大切に着るための場所へと生まれ変わった。19世紀に金属工場だったフランスのマレ店 (5) では、当時の様子を表す展示も。’20年代にシネマやナイトクラブだった建物が、約100年を経て店舗として活用されているのは、スペインのグランビア店 (6) 。建造時の壁画や天井画に、足を踏み入れるや否やタイムスリップ。改修部分には温かみのある木材を使用し、日本のエッセンスも加えられている。

Local Collaborations

ソウルから高速鉄道で2時間ほど。韓国南東部に位置し、歴史ある寺院や仏像が多数残る古都・慶州（キョンジュ）に2023年オープン。店舗裏手は、慶州の寺院でもよく見かける石積みの造りで、ロゴ横には地元出身の書家、キム・サンジ氏による「ユニクロ慶州」の文字。ローカルを大切にして、地域の風景に合う店作りはここでも。

The Legacy of Famous Architects

ユニークな店舗づくりの裏側に、世界的な建築家の存在がある。東京、銀座に’20年にオープンしたUNIQLO TOKYO (8) の内外装のリニューアルを担当したのがスイスの建築家ユニット、ヘルツォーク＆ド・ムーロン。1984年に開業した百貨店の建物が、コンクリート躯体の機能美を持つ空間へ。1階には生花を販売する「UNIQLO FLOWER」のコーナーも。ふたつめは、スウェーデンのクングストラッドゴーダン店 (9) 。ストックホルムの街づくりに貢献したスヴェン・マルケリウスが、’69年、市民の憩いの場である王立公園に隣接する場所にこのビルを建築。かつての建築家の思想を受け継ぎながら、2018年にスウェーデンの第1号店として生まれ変わった。

Platforms for Media

ニューヨークの中心地に、巨大アートワークが！ こちらは2023年のKAWS×UTのコラボレーション時のニューヨーク５番街店 (10) 。この他にも松竹歌舞伎と協業したラッピングなど、お店自体がメディアとして機能。1920年代から60年以上愛された歴史的な劇場の跡地に立つ香港のリー・シアター店 (11) でも、その特徴的なファサードを使ってキャンペーンを展開する。一方、店内の大型モニターで日本の情報を発信するのはオランダの初出店舗、カルファー通り店 (12) 。9,000km以上の距離を越えて日本が味わえる、店の隠れ人気スポットだ。Photo by Jason Lewis

Roadside Classics

ユニクロの発展を語る上で外せないのが、幹線道路沿いに広い駐車場を持つロードサイド店。1985年、山口県下関市「山の田店」を皮切りに広がり、今でも親しまれているお店のかたちである。東南アジアで初のロードサイド店が、タイのパタナカン店。出店の歴史を感じさせる、クラシックな店なのだ。

Hidden
Underground!

ここはミラノのビジネス街。近代的な高層ビル群の足元に作ったキオスクのようなお店かなと思いきや、このポッドは地下への入り口。エスカレーターを下ると駐車場だったスペースを利用した800平方メートルの店舗が広がっている。ミラノ２店舗目となるお店の名にもあるガエ・アウレンティ広場は、真新しいビルが立ち並ぶデザイン地区の中心。エリアに馴染ませつつ、未来的かつ実験的な店舗を作る。どちらもユニクロが大切にしていること。

Taking Action for Humanity
and the Environment

ユニクロでは、難民の雇用プログラムを行っている。例えばポーランドでは、隣国ウクライナから避難したスタッフも活躍。同国では、初の常設店舗としてアルカディア店 (15) が9月下旬にオープン。独自の方法でサステナブルな取り組みにアプローチするのは、フィリピンのヌヴァリ店 (16) 。店舗に隣接する通称“グリーン・パーク”には、自転車を漕ぐエネルギーで発電し、スマホを充電できる器具が。大人も子供も、楽しみながら、持続可能な解決策へと意識を向けられる。シンガポールの51@AMK店 (17) は、車いすや視覚障害のある人も買いまわりしやすい広い通路に設計。手すりとベンチのある試着室や、補助スタッフとのショッピング枠が無料で予約でき、誰もが気軽に買い物できる店を目指している。

UNIQLO and the Street

通りの数だけ、物語がある。ベルギーのポルト ド ナミュール店 (18) のあるイクセル通りは、地元の人にとって、かつては雑然としたイメージがあったのだそう。2020年にユニクロができた頃から徐々に明るい雰囲気へと変わっていったという。“プリンセスストリート”という美しい名前の通りは、今年4月にスコットランドに初出店したお店 (19) が位置するエディンバラのメインストリート。開店以来多くの人が集まり、歴史ある街の老舗とともに愛される日も近いかもしれない。流行エリアの移ろいが速いと言われる台北で、UNIQLO TAIPEI (20) は、目抜き通り“忠孝東路”の姿を13年間見守ってきた。2021年のリニューアルに伴って、かつての古き良き買い物エリアから、近年は若者が集まる街へと移行中。

Within Sight of
a World Heritage Site

世界遺産に最も近い店舗がここ。2005年にマカオ歴史地区として登録された古跡のひとつ、聖ポール天主堂跡の目の前に、マカオ２店舗目として2020年に開店。外装もパステルイエローの南欧風。ファサードがライトアップされる夜の雰囲気もいい。

The Top UNIQLO

昨年第1号店 (22) をオープンしたルクセンブルクは、出店地で最も人口が少ないヨーロッパの小国。国の人口は約65万人。そのため国民ひとり当たりのユニクロ着用率もナンバーワン!? 一方で、世界で最も大きい店舗は中国経済の中心地、上海 (23) にあり！ 店舗を構えるのは歴史的建築物に流行最先端のショップなど、古きと新しきが交わる淮海中路。活況を呈する通りの元百貨店の跡地に構えたのは、ユニクロ史上最大級となる約6,000平方メートルを誇る5フロア。

Find Me at the Mall

デザイン性の高いモールと融合する店舗づくりもユニクロの得意分野。海岸線からつながる流線型の外観は、その名もビーチウォーク店 (24) 。インドネシア・バリ島のクタ・ビーチに面したリゾート感溢れるスポットだ。オーストラリアのメルボルンの老舗デパートだった建造物を活かした同国第1号店のエンポリアムメルボルン店 (26) 、モールに合わせ、ホテルライクな外装のマレーシアのエクスチェンジTRX店 (27) も。インド第1号店のアンビエンスモール・バサントクンジ店 (28) は、重厚感のある石造りのモールに馴染みつつ、３階まで続くショーウィンドウが圧巻。カナダではCFトロントイートンセンター店 (25) をはじめ、多くの店が集合ショッピングエリアに。同じ場所で買い物を完結、という地元のライフスタイルに合わせた戦略だ。