Milan:
Layers of
Style

クラシックなミラノの街並みの中
重なりあうLifeWearが織りなすストーリー

What characterizes
Milan style today?

ジャーナリスト、ジャンルカ・カンターロが語る、今のミラノらしいスタイルとは何か

Interview with Gianluca Cantaro

私の思う“ミラノらしい”スタイルは、社会の歴史的背景に由来していて、メンズに強く表れると考えています。観光で栄えたベネツィアやフィレンツェに対して、ミラノは古くからビジネスで栄えてきた都市です。少し前までは、弁護士や銀行員などオフィスで働く職業では、クラシックなスーツが典型的なユニフォームであり、ファッションのベースでした。しかしここ数十年で、若い人を中心に変化が起きている。ジャケットの下にフードのついたパーカやスポーツウェアを取り入れたり、スウェットを合わせていたり。また、軽やかなダウンベストをうまく使ったりと、明確にカジュアルがミックスされるようになりました。ジャンニ・アニェッリ(フィアットの元名誉会長)のようなクラシックスタイルがファッションアイコンだった時代には、“間違い”とされたものが、どんどんスタンダードになってきている。そういった伝統的なドレススタイルとカジュアルのミックスが、今のミラノらしいスタイルなのだと思うのです。

 

一方で女性は、トレンドにとても敏感なのがこの街らしさです。パンツはハイウエストやワイドなシルエット。トップスの丈は短いが、セクシーというよりは健康的でスポーティなものがここ最近はいいようですね。

イタリアではピッティ・ウオモをはじめ、ファッションの祭典が開かれるたび、会場で着飾った人々の姿が世界に拡散されていきます。でもあれは業界のほんの一部のイメージであり、“本当の”ミラノのスタイルはまた別にあるわけです。色使いでも、ブルーやチャコールといった落ち着いたカラーを好み、シックに着こなすことが多い。差し色はチーフやソックスであったり、小さなスペースに入れるのが上手な使い方で良しとされます。

 

20世紀の初頭くらいまでは、子どもでもミサの時には必ずスーツを着ていました。親が選んだクラシックな服と、周りの大人からファッションを学んでいたからです。ところが今、そういったスタイルの子どもというのは本当に見なくなった。特に2000年代以降は、ファッションアイコンやみんなの見本になるような人自体が、とてもカジュアルになった。その中でユニクロは、いい意味で派手すぎず品があることがアイデンティティであり、自分の“スタイル”を持っている人が自由に取り入れて楽しめるブランドというふうに、今の時代に映っている気がするのです。

Gianluca Cantaroジャンルカ・カンターロFashion Journalist

1971年、イタリア生まれ。’90年代からファッションジャーナリストとしてイタリア国内外のさまざまなメディアで活動。『D-la Repubblica delle donne』のシニアエディター、『L’Uomo Vogue』の副編集長を経て、’14年からは『L’Officiel Italia』『L’Officiel Hommes Italia』両誌の編集長を務めた。現在はフリーのジャーナリストとして広く活躍中。日本のカルチャー・アニメの大ファン。

  • Illustration by Adrian Hogan
  • Text by UNIQLO
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