Designed
for Us

  • Illustrations by Renée Gouin Photography by Mai Kise
  • Styling by Naoki Ikeda Text by UNIQLO

真に美しいデザインは、優れた機能の先にある。
どんな服よりも感情と深く結びつき、
女性たちを支えるインナーのあり方とは。

ユニクロが初めて〈Mame Kurogouchi〉とコラボレーションしたコレクションより。胸元は黒河内さんらしい柔らかいライン。
色はベージュやブラウンなど大地の地層からインスパイアされており、様々な肌の色に合うよう意識したという。

人の目に触れないからこそ、インナーは純粋に着る人の好きなデザインだけが選ばれる。

心地のよさだったり、気分を明るくするものだったり、そっと人生に寄り添っていくものだったり。何よりも他の服と違うのは、時間や場所、場面によって決められた装いがなく、自分自身と最も向き合い、力を与えてくれる服であるということだ。

最先端の技術が加わることで日々の穏やかな生活だけでなく、月経期間をより自由に過ごせる選択肢をつくることもできる。さらには移り変わるライフステージのなかで、成長を感じ始めた幼少期、妊娠や出産、病やケガなどによる身体の大きな変化を乗り切り、女性たちが自らを鼓舞したいとき、よりエフォートレスに過ごしたいとき、インナーは最もエッセンシャルなLifeWearとしての役割を果たす。

そこに必要なデザインと機能とは何か。まずは、コラボレーターとしてユニクロのインナーデザインを初めて手掛けた〈Mame Kurogouchi〉のデザイナー、黒河内真衣子さんを訪ねた。

ユニクロが初めて〈Mame Kurogouchi〉とコラボレーションしたコレクションより。胸元は黒河内さんらしい柔らかいライン。
色はベージュやブラウンなど大地の地層からインスパイアされており、様々な肌の色に合うよう意識したという。

The Lines Make All the Difference

ひとつの線が変えるデザイン

「ペン、ありますか?」

手元にあった紙を裏返し黒河内真衣子さんはおもむろに線を走らせた。デザイナーになろうと思ったきっかけは、と聞き始めたところだった。数秒も経たずに、紙の上にはハートカットのネックラインが見えてきた。部屋にいたすべての人の目線がペンの行方を追っていると、ふと指先が描き出していたドレスの胸元で止まった。「子どもの頃の私はいつも、ここへ線を入れることに緊張していたんですよ。でもこの一本がすごく大事だった」

そう言って真摯な目を向け、デコルテの中心に胸の谷間を示す線を引いた。平面的だったドレスの形は瞬間、胸の立体的なカーブを包むような表情に変わった。

肉体は曲線だ。だから洋服をまとったときに、身体そのものの形を活かせるようなデザインを考える。そして下着をつくることは、最も身体に沿ったラインをつくり出していくということだ。黒河内さんは描いた線を指して「そういう意味では下着を、つまりこの線そのものをつくる仕事ができたので本望です。今までの全部というか、私の下着人生に終止符を打つくらいのものにしたかった」と微笑んだ。

〈Mame Kurogouchi〉は2011年春夏シーズンにデビューし、女性の日常にある小さな決意や局面でそっと背中を押してくれる、凛とした佇まいのデザインを世に送り出してきた。7年目からはパリ・ファッション・ウィークでも作品を発表。生地の風合いや布の揺らめき、緻密な刺繍や模様は細部まで神経が行き届き、まとう人の個性と美しさを常に引き立たせている。

一方、ユニクロとのコラボレーションでは装飾が抑えられ、シンプルなカッティングにより意識が向かう。彼女の思うインナーに必要な要素は、暮らしを支えるものとしてベーシックなものたちが少しずつ常にスペシャルな存在になるデザインだという。

「肌に近いものであるインナーには、より確かなベーシックが必要で、その上に味付けされていく様々な装飾が、ファブリックだったり洋服だったりする。クローゼットの中でいつも変わらないもの、そこをどれだけ充実して底上げできるか。機能だけじゃなくて、デザインとしての高揚感も持つというのが、ファッションとしてとても大切なことだと感じています」

彼女のブランド〈Mame Kurogouchi〉のアトリエの中庭にて。気持ちよい木漏れ日の下で「私のデザインは旅や小説、こうして日常のなかで見える美しいものなど、すごくパーソナルなところからのもの作りなんです」と語る。

彼女のブランド〈Mame Kurogouchi〉のアトリエの中庭にて。気持ちよい木漏れ日の下で「私のデザインは旅や小説、こうして日常のなかで見える美しいものなど、すごくパーソナルなところからのもの作りなんです」と語る。

Maiko Kurogouchi

Designer

黒河内 真衣子/デザイナー

2010年に自身のブランド〈Mame Kurogouchi〉を設立。革新的な素材使いと伝統技術を織り交ぜたディテール、柔らかなカッティングラインが国内外で注目を集める。現代女性一人ひとりが生きる日常の、ささやかな瞬間を豊かにする服のデザインが多くの人の心をつかんでいる。

Basics that Conform to
Every Stage of Life

すべてのライフステージに寄り添う
ベーシックとして

黒河内真衣子さんは、ユニクロとの下着づくりを「彫刻を削っていくようだった」と語っていた。アウターのデザインのように服自体の外側の形をイメージするのではなく、身体に乗っている布を削っていくような作業だ。装飾を抑え肌を豊かに見せるための工夫と、毎日を快適に過ごすための機能性。そこには無駄を省いて残る本質的な美しさが宿っている。一方で、ユニクロのインナー開発を担当するデザイナーの1人は「ある種、ほかの服と比べ工業デザインに近い側面があるかもしれない」と語る。インナーは機能美を追求することで、日々の生活だけでなく、移り変わるライフステージのすべてを支えるベーシックになるという役割を併せもっているからだ。それは着る人が鏡の前に立ち、まとった自分の身体に向き合ったとき、ハッとするような気付きを与えられるデザインになる。

“自分の身体に向き合う服”。ユニクロの女性用インナーの歴史はその一言に集約されるかもしれない。現在とは違い、インナープロジェクトが立ち上がる直前の20年ほど前、ユニクロでは女性用インナーを専門に扱うチームが存在しなかった。どのような下着が必要とされているのかが分からず、店内のワゴンに無造作に陳列される商品を見て、社内の女性たちが「自分たちが必要だと思えるような商品を作りたい」と手を取りあった。時代が求めるもの、そして純粋に自分たちが着たい、いつもの日々が健やかでいられるインナーの理想的な姿を模索した。オンタイムでもブラジャーを着けていないかのような、エフォートレスな感覚を可能にするもの。それは2005年のシンプルモールドブラの開発に端を発し、ブラトップ、ワイヤレスブラ、さらには女性のライフステージに向き合う服とは何かを考えるに至った。

10代を前にして成長を感じ始める頃には、ブラジャーよりもガールズ用の胸元が二重になったインナーがあると安心できるし、出産時には急激な体型の変容に対応する必要がある。妊娠後期でも、締め付けがなくお腹を守りながらファッションの幅を広げられるマタニティウェア。そして乳がんなどの手術を受けたときには、腕が通しやすくバストの形を自在に調整できるよう、様々な場所からパッドが入れられる前開きのインナーがあるといい。いつしか日々の生活だけではなく、生まれてから年を重ねていく人生のすべてを支えるような商品が揃うようになった。

あくまで目指していたのはハレの日のような特別なものではなく、ただ過ぎ去る毎日の小さな変化をずっとそばで支えてくれるもの。その小さな積み重ねが人生をつなぎ、いつか自分の背中を押す大きな力になることを私たちは知っているから。

1. マタニティ用のレギンスやジーンズはウエスト部分の伸縮性が高く、優しいフィット感で妊娠後期まで使える。ブラトップと併用されることも多い。 2. 乳がんなどの手術後も使いやすい前開きのインナーシリーズ。

A Life-Changing New Option

ライフスタイルを刷新する選択肢を

女性の生活を考えるとき、どうしても外せない場面がある。毎月のバイオリズムによる月経だ。この7日間を快適に過ごすためにこれまでなしえなかったことが、技術によってカバーできる時代がやってきた。1日を通して面倒なケアを忘れさせる日々を実現できれば、月経が来るすべての人への手助けになる。まさにライフスタイルを刷新する新たな選択肢が、この秋ユニクロから生まれるのだ。

ただ、それは一朝一夕にできるものではなかった。ショーツは肌に直接触れるものなので清潔さを保たなくてはならず、かつその上に着る衣服を汚さないようにする工夫が求められる。デザイナーはノートに構想を何度も試し書きし、幾多のプロトタイプを作って実験と検証をするうちに、ショーツのフチ部分を独自のボンディング技術でつなぐことで縫い目をなくし、漏れを防止しながらごわつかず、日常でより使いやすい構造になると気が付いた。約1年の開発期間を経て中心のクロッチ部分は30~40mlの吸水力を可能にし、さらにナプキンと併用できる浮かし構造も加え、サニタリーショーツとしての安心感を担保している。肌にあたる身生地にはエアリズムを使い、さらりとした感触と抗菌防臭効果を実現。世界各地の店舗とインターネットで買うことができ、手にしやすい価格であることも、生活必需品として大切な要素だった。

工業デザイナーの柳宗理は、暮らしのなかで真に使いやすいものを求めて無心に努力を重ねた結果、その形には美しさが宿るという考え方を“用の美”と表した。それはLifeWearが掲げる「あらゆる人の暮らしを豊かにする」という考えにも通じている。女性の身体にまつわる悩みは、長年語られずにきた世界共通の課題だった。そこへ正面から向き合いテクノロジーで解決しながら、性による隔たりをなくしていく。この思いも、製品を通して形に示していけると信じている。

1. 吸水ショーツは4色がワイヤレスブラ3Dホールドとセットアップ可能。防水部分はウエスト背部までガードがついている。 2. ショーツの吸水帯となる部分は数十種類のパターンを試し、どのテキスタイルが吸水と快適さを両立させるか実験を繰り返した。 3. プロダクト製作の際にどのような構造が必要かアイディアを書き連ねたデザイナーのノート。

1. 吸水ショーツは4色がワイヤレスブラ3Dホールドとセットアップ可能。防水部分はウエスト背部までガードがついている。 2. ショーツの吸水帯となる部分は数十種類のパターンを試し、どのテキスタイルが吸水と快適さを両立させるか実験を繰り返した。 3. プロダクト製作の際にどのような構造が必要かアイディアを書き連ねたデザイナーのノート。

Editor’s Note

Choosing a Future Together

ともに未来を選んでいくこと

「世界を広げられるかも、と卒業式の帰りに思い立って応募して」と笑いかけたSanikaさん。目線の先で笑顔を返すパートナーのMinoriさんと2021年4月、LifeとWearがテーマのユニクロインナーのCMで、カップルの日常を描くパートに参加した。

2人は、パフォーマンスチア(チアダンス)の分野で世界レベルの実績がある日本女子体育大学のチームを引っ張ってきた実力派。前年は、集大成として挑むはずだった世界大会が新型コロナウイルスの影響で中止になり、大きな喪失感の中にいたという。特にキャプテンだったMinoriさんは、淡々と過ぎていく日々が「出口のないループのようでした」と振り返る。

抜け出すきっかけは、一番身近なところにあった。「仲間と積み重ねてきた年月、どんな自分も受け止めてくれたSanikaの存在。当たり前だと思っていた日々に向き合った時、そのかけがえのなさに気付いたんです」。ただ踊るのではなく、誰かのために踊る。周りを想う。支え続けてくれたコーチ陣から受け取った多くの学びも、背中を強く押してくれた。

NBA専属ダンサーという目標へ踏み出したMinoriさん。CMを含め彼女を様々なチャレンジに誘ってきたSanikaさんは「たくさんの人へ大きな愛を伝えられる人になりたい」と、パフォーマーという新たな場所で表現力を磨く。未来を見据える2人の明るい表情には、芯の強さが光っていた。

Minori and Sanika

Dancers

ミノリ & サニカ/ダンサー

ともに2021年3月、日本女子体育大学卒業。チアリーディングから派生したパフォーマンスチアチーム「GRINS」で部長と副部長を務め、「2020 ICU World Cheerleading Championships」では日本代表で出場予定だった。ユニクロのCMでは、2人で過ごすいつもの日常を表現できたという。

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