Around the
Neighborhood

  • Illustration by Cécile Gariépy
  • Photography by Yoshio Kato (Stills)
  • Text by UNIQLO

服は暮らしをつなぐもの。それは平穏な毎日だけじゃない。
予期せぬ災害で生活が途切れたとき、地域や社会から孤立してしまうとき、自立して生きる道を切り拓けないとき。
人生に降りかかる困難も、そこから連なる世界の様々な問題も、平和な暮らしへとつないでいくちからが服にはある。
限られた誰かではなく”全ての人のための服”をモットーにする私たちが、
その先にある誰一人取り残さない世界を目指す道のりのなかで、服を通して生まれたつながりを振り返る。

服は暮らしをつなぐもの。それは平穏な毎日だけじゃない。
予期せぬ災害で生活が途切れたとき、地域や社会から孤立してしまうとき、自立して生きる道を切り拓けないとき。人生に降りかかる困難も、そこから連なる世界の様々な問題も、平和な暮らしへとつないでいくちからが服にはある。
限られた誰かではなく”全ての人のための服”をモットーにする私たちが、その先にある誰一人取り残さない世界を目指す道のりのなかで、服を通して生まれたつながりを振り返る。

Establishing Lifelines

ライフラインをつなぐこと

世界でも自然災害の多い日本で生まれたユニクロ。突然の被災で安心して過ごせる家を失った方へ、身近な衣料品店として地域への手助けをしてきた。いまは世界中にその手を広げ、服を通し社会のインフラとしてライフラインをつないでいきたいと思っている。

Stocking the Essentials

生活をつなぐためのエッセンシャルな服

Austin, US | 2021

“Austin, How Are You”で、素敵な人々に出会ったテキサス州オースティンでは2021年2月、いまの風景からは想像がつかないような異常な寒波に襲われていた。水道管の凍結に加え、氷点下の気温が続くなか1週間以上停電した地域もあり、多くの人が避難を余儀なくされた。突然の災害で、生活をつないでいくための服を必要とする人がいる。そこでユニクロは市や地元のボランティア団体の協力を仰ぎ、約2万5,000枚の衣服などの支援を決めた。

被災したときに必要になる服は、生きていくうえで最もエッセンシャルな服といえる。寒さや暑さをしのぐだけでなく機能性や枚数も重要になるので、オースティンではそれらを確実に手にしてもらうために、必要な服をすべてまとめた「LifeWearパッケージ」という形を考えた。衣服やマスクなどの必需品は1,500個の袋にそれぞれまとめられ、寒波の影響を受けた多くの人の手に届いた。

防災用にも応用できるこのパッケージは、どのような要素が求められるのか。これまでの支援の経験や、専門家の意見をもとに考えた一例を紹介したい。まず軽くて持ち運びしやすいこと。最低3日分の下着や、体温調節がしやすく伸縮性のある服のほか、災害時は感染症も広がりやすいのでマスクも欠かせない。また、避難所などのプライバシーを守りにくい場所ではブラトップのようなインナーが扱いやすい。

もちろん、服の備えとして持っておくといざという時に役に立つが、個人ですべてを準備をするのは難しいかもしれない。そこでユニクロは現在、自治体へのヒアリングを通し、災害が起きた時に連携して被災地へ必要な衣類などをスムーズに届けられる仕組み作りに取り組んでいる。

地元NPO「オースティン・ディザスター・リリーフ・ネットワーク」の倉庫に着いた衣類は、200名のボランティアの協力で「LifeWearパッケージ」に。中身はスウェットパンツや数日分の下着、マスクなど。

受け取り手続きをした男性は「愛と思いやりだね。みんなが何より大事に思っていることだよ」。パッケージはサイズ別に並べられたことでスムーズに受け渡された。

地元NPO「オースティン・ディザスター・リリーフ・ネットワーク」の倉庫に着いた衣類は、200名のボランティアの協力で「LifeWearパッケージ」に。中身はスウェットパンツや数日分の下着、マスクなど。

防災用にも応用できるこのパッケージは、どのような要素が求められるのか。これまでの支援の経験や、専門家の意見をもとに考えた一例を紹介したい。まず軽くて持ち運びしやすいこと。最低3日分の下着や、体温調節がしやすく伸縮性のある服のほか、災害時は感染症も広がりやすいのでマスクも欠かせない。また、避難所などのプライバシーを守りにくい場所ではブラトップのようなインナーが扱いやすい。

もちろん、服の備えとして持っておくといざという時に役に立つが、個人ですべてを準備をするのは難しいかもしれない。そこでユニクロは現在、自治体へのヒアリングを通し、災害が起きた時に連携して被災地へ必要な衣類などをスムーズに届けられる仕組み作りに取り組んでいる。

LifeWear for Emergencies

下着は最低3日分を。被災直後の一時避難場所では、人目につく場所で下着を洗ったり干したりする状況も多いので、ブラジャーよりもブラトップのようなカップ付きインナーであるとより扱いやすい。インナーもアウターも、意外と重要なのが色選び。自治体がまとめる防災ハンドブックなどでは、黒やグレー、ベージュ、青や紺などパッと見たときに性別が判別されにくいものが推奨されている。

Goods

物資が届きにくい最初の数日間を乗り切るために、下着は最低3日分用意する。速乾、抗菌防臭機能があるエアリズムは衛生的で、マスクとしても肌着としても安心の素材。冷暖房がない環境では、かさばらずに体温調節がしやすいヒートテックも役に立つ。パーカは持ち運びやすく、スウェットは作業にも寝る時にも使える伸縮性の高いものがいい。足の疲れにはルームシューズがあると便利。

Goods

化学繊維が苦手な子どもでも、肌触りと機能性を両立したエアリズムコットンならストレスが少ない。3日分の下着の中には、体温調節を考えて半袖も長袖も入れておこう。破片などでケガを負わないよう、夏でも直接肌が出ない長袖長ズボンで行動を。持ち主の性別が判別されにくい色や下着を選ぶこともポイントで、男女ともに使えるボクサーパンツや、子ども用ブラトップは重要なアイテム。

Goods

「防災時の服の備え」詳しくは、ユニクロサステナビリティサイトで

Help is on the Way

すぐに駆けつけるということ

Japan and the World | 1995–present

1995年1月17日。日本に甚大な被害をもたらした阪神・淡路大震災は、ユニクロにとって初めて経験する大災害だった。一報があった明け方、被災地から約500km離れた山口県のユニクロ本社に集まった社員たちがまず起こしたアクションは、すぐに現地へ駆けつけることだった。従業員やその家族の無事を確認し、さらに地域のためにいち早く店舗を立て直さなくてはならないと考えたからだ。

1日がかりで被害の大きかった兵庫県内へ着いた社員が目にしたのは、火の手があちこちにあがる街の惨状と崩れた店構え、そして埃だらけで震える従業員の姿だった。刺すような寒さのなか、服を求めて「店を開けてほしい」と次々にドアを叩く音が響いていた尼崎店では、近隣の方々へ手元の商品を無償で配っていった。1週間ほどで再建した神戸市内の店舗では連日、その日の内に全商品が売り切れるほど多くの人が服を必要としていた。

1週間ほどで再建した神戸市内の店舗では連日、その日の内に全商品が売り切れるほど多くの人が服を必要としていた。

自然災害の多いこの国で、私たちができることは何かを知った。迅速に動き出すこと、必要とされる服を届けること。店舗を立て直し、地域の暮らしを紡ぎ直すこと。積み重ねてきた経験はその後、東日本大震災でも即日の支援態勢を整える礎となり、ユニクロの成長とともに手を差し伸べられる場所も、目の前の地域から世界中へと広がっていった。そしていま新型コロナウイルスの脅威を前に、マスクやガウンなどの医療物資を含む支援は26の国と地域へと展開している。

Initiatives to Help
Combat COVID-19

Initiatives to Help Combat COVID-19

色のついた国と地域に医療物資などを中心に支援を行っている。
2021年6月末時点

東日本大震災では、救助などで人手が足りない自治体に代わって、社員が物資の配布を行った。サイズや色を選びながら買い物袋に入れて受け渡すと自然と会話が生まれ青空市のようになっていた。

Initiatives to Help
Combat COVID-19

Initiatives to Help Combat COVID-19

色のついた国と地域に医療物資などを中心に支援を行っている。
2021年6月末時点

Supporting
Individual Growth

自立する道をつなぐこと

世界の様々な地域へと広がったユニクロ。私たちがコミュニティに支えられてきたように、国を失くした人、生活に困難を抱える人々をサポートしたい。服をつくる仕組みやグローバルのネットワークを使って、世界のあり方を変えていくためにできること。

Grameen UNIQLO's Cycle

Creating Ecosystems to
Solve Everything Locally

ローカルへ利益を還元し雇用をつくっていく

Dhaka, Bangladesh | 2010-present

衣料品の一大生産地である一方、バングラデシュでは社会情勢により、安心・安全に働ける場所が自由に選びにくいことが課題となっている。そんな世界を根底から変えるには、すべてがこの国で循環するような服づくりの仕組みが必要だった。

バングラデシュで服をデザインし、つくり、そして現地で売る。地域の人が必要としている服を提供し、利益はすべてこの事業へ再投資することで新たな循環を生み続ける。軌道に乗れば、利益を教育や健康の問題を解決するためにも使うことができる。特に生活に困る人の多い農村部などで自立支援を続けてきたグラミン銀行グループと連携して始めたこの事業はいま、首都ダッカを中心に16店舗を展開する「グラミンユニクロ」として知られている。

上の図で見ると理想的なループを描いているように見えるが、実際には何度もこの輪が途切れそうになった。職につきにくい女性たちの自立を目指すビジネスとして、初めは訪問販売員を取り入れてみたものの1年で立ち行かなくなった。見通しが悪い事業として現地の工場との契約も進まない。ニーズもうまくつかめない。試行錯誤を繰り返しながら現地のメンバーとアイディアを出し合い、店舗型へと移行し伝統衣装の開発などで糸口をつかんだ。

「安定したビジネス基盤ができなければ、社会課題の解決などというのは理想論でしかない」と痛感しながらも、歩みを止めなければできることがあるはずだ。

Grameen UNIQLO's Cycle

「Welcome to Grameen UNIQLO!」というスタッフの明るい声掛けが響く。通常のユニクロと異なり、提携するグラミン銀行グループの家のマークをロゴに組み合わせている。

シンプルな服を扱うユニクロでは見られないバングラデシュならではの鮮やかな刺繍や柄の民族衣装も並ぶ。

Safe Spaces for Those
Without a Country

国を追われた人も安心できる居場所を

Global | 2011–present

「どこの国の方ですか?」と聞かれたら、どう答えるだろう。ある人には簡単に答えられるが、ある人にとっては難しい質問になる。祖国から国民として認められない、または戦争や宗教などの問題で国を追われてしまった人たち。そんな難民と呼ばれる一人ひとりの居場所を守り、誰一人取りこぼさない世界を目指したい。ユニクロが様々なコミュニティのなかで支えられているからこそ、同じようにすべての人を包んで支え合える存在になっていきたいからだ。

故郷を逃れた先で暮らしていくためには、言葉や文化の壁を超えること、そして安定した仕事が必要になる。難民の方をスタッフとして雇用するプログラムを2011年から続けているユニクロでは、仕事だけでなく語学トレーニングもサポートし、受け入れ先の店舗にも互いの文化を理解するための研修を実施している。

日本だけでなく8カ国で進めるこのプロジェクトは、平和な世界でしか店を構えられない衣料品店だからこそ最も重要な取り組みになっている。

ミャンマーの少数民族ロヒンギャで難民となったカディザ・ベゴムは、同じく難民認定を受けた夫とともにユニクロの「RISEプログラム」を利用し日本国内の店舗で働いている。2児を育てながら、この春から都内の大学院に進学。店舗では「いらっしゃいませ!の声が誰よりも響くと言われます」。

ミャンマーの少数民族ロヒンギャで難民となったカディザ・ベゴムは、同じく難民認定を受けた夫とともにユニクロの「RISEプログラム」を利用し日本国内の店舗で働いている。2児を育てながら、この春から都内の大学院に進学。店舗では「いらっしゃいませ!の声が誰よりも響くと言われます」。

LifeWear is for Everyone

着る人と服をつなぐこと

服づくりの原点は、着る人の立場に立って考えること。それならば店舗で服を売って終わるのではなく、手助けが必要な人へのサポートをすることも責任のひとつではないだろうか。すべての人のための服「MADE FOR ALL」を実現するために。

Clothing that Enables

一人ひとりに合う服へ変えていく

Seoul, Korea | 2019–present

「幸せ、という言葉が真っ先に浮かびました。担当者や裁断師の方が障がいについてよく理解されていて、誰よりも繊細にリフォームしてくれた。クローゼットに着やすい服が増えて子どもたちが満足している姿を見ると、心が楽になっていきます」

脳性まひを抱える2人の息子を育てる女性は「新しい世界に出会えたよう」と語った。利用したのは韓国のユニクロが2019年から行う、障がいに合わせた服のカスタマイズだ。これまでリフォーム店に頼んだこともあったが、障がい者の身体特性をきちんと共有することが難しく着るときに違和感が出てしまう。ミシンを買って自分で直そうと思っても、技術が追いつかずたくさんの服を台無しにしてしまっていたという。

普段の生活で様々な不便を余儀なくされる身体障がいを持つ人にとって、好きな服を選べないというのも不自由の一つだ。ボタンが掛けにくかったり、関節が曲がらず服が入らなかったりすることで、仕方なく大きいサイズや伸びやすい生地の服だけを選んで過ごす人も多い。障がい者の家族会を通じてこの事実を知ったユニクロは、服のリフォーム方法をまとめるガイドブックを作っていたソウル市などと連携しプロジェクトを開始。どのような特性があるかや不便を感じる点を入念にヒアリングし、1人5着を目安に修繕している。

服をつくることはあってもリフォームの経験がない私たちにとって、仕立てのプロの協力は不可欠だった。30年間海外でスーツの仕立て職人として鋏を握ってきたテーラーのイ・サンジョンさんは、3年前に帰国したとき技術を活かせる機会を探してこのプロジェクトに参加した1人だ。「やっと自分の服を着てるみたい」と喜ぶ利用者と接し、スーツの仕立てとも違う新たな経験を得たとイさんは言う。「結局服というのは、着る人の生活が反映されるときに一番価値があると思うのです。いつも着る人の立場に立って悩んで考えたら、もっと良い服をつくることができるはずですから」

ユニクロには、ずっと大事にしている思いがある。「MADE FOR ALL」という考え方だ。プロジェクトを立ち上げる前、メンバーは「ALLとは何か?」と考えた。ふと頭をよぎったのは、店舗に来る人だけが私たちの服を求めているわけではないという気付き。着てみたいけれど身体に合わずあきらめている人がいる。誰もが着たい服を着てファッションを楽しめる世界を目指していくために、できることを一つずつ探していきたい。

「スーツの仕立てと違い、普段身体にぴったり合う服を着た経験がなく、自分でも自分に合うサイズがわからない方が多く困難でした」とテーラーのイさん。筋肉の収縮や体形の変化により既製服の基準で測っても簡単に着られないため、 障がい者の個別の特性、補助機器、そして着付けをする方の利便性などを考え、修繕するパーツを決めている。

ジーンズやダウン、スラックスなど伸縮性のあまりない服でもカスタム次第でスムーズに着られるように。裾のジッパーを膝上まで引くことで車いすで足が動かしにくくても穿くことができ、ダウンも脇からアームホールを開くことで腕を出し入れしやすい構造になっている。

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本誌でご紹介しているLifeWearはユニクロオンラインストアでご購入いただけます。

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