
今季のコレクションについて、Marimekkoクリエイティブ・ディレクター:レベッカ・ベイさんにインタビューしました。
「Joyful Summer Picnic」というコンセプトのインスピレーションについて教えてください。サマー・ピクニックというテーマは、どのように生まれましたか?
「Joyful Summer Picnic」をテーマにした2024年夏限定コレクションには、夏になって屋外で思い切り時間が過ごせるようになったときに感じるスピリットと喜びが、そのまま詰め込まれています。ひとつ前の2024年ニューイヤー・コレクションでは、冬のアウトドアをあたたかく、心地良く過ごすことをテーマにしていましたが、今季のコレクションでも考え方に変わりはありません。サマーシーズンに、家族や友人など大切な人たちと一緒に屋外での時間を楽しむというコンセプトを、さらに発展させました。

素晴らしいカムバックを果たしたニューイヤー・コレクションに続き、今回のサマー・コレクションはとても鮮やかな印象で、カラフルで大胆なパターンも見られます。ユニクロとのコラボレーションのために6つのパターンを選んだのはなぜですか?3,500点以上もあるというマリメッコのプリント・アーカイブから、どのようにこれらのプリントを選ばれたのでしょうか。
私たちのインスピレーションは、常に巨大なアーカイブの中に潜んでいます。そして、異なるパターンを並べてみた時に起きる「ハッピーな不整合」を作り出したいと思っています。今回のコレクションでは、1950年代、1960年代、1970年代という3つの違う時代からパターンを選びました。マイヤ・イソラの大胆でグラフィカルなMelooni(メロン)、ペンッティ・リンタによる整然としたミニマルなパターンのAsema(駅)があります。さらにマイヤ・イソラのRuukku(フラワーポット)と脇阪克二のDemeter(ギリシャ神話の女神)という2つのアブストラクトな花柄に加え、ペンッティ・リンタのLirinä (ゴボゴボと水が流れる音)とヴォッコ・エスコリン=ヌルメスニエミのGalleria (ギャラリー)というストライプ柄によって、花柄のパターンにリズムが生まれています。
6つのパターンのカラーパレットについて、どのようなインスピレーションがあったのか教えてください。
パーフェクトな夏の1日、というイメージを表現したかったのです。朝の空や夕暮れの景色などさまざまな色合いを表現したスカイブルー、柔らかなピンクや深いレッドなどの赤系のカラー、そして青々とした草原の緑や、モスグリーンからブラウンに至るアーシーなグラデーションなど取り入れました。
前回のコレクションに続いて、今回のサマー・コレクションも家族や友人、大切な人たちとのつながりの温もりを感じさせます。キャンペーンのビジュアルにもそれが表現されていますね。コレクションのラインナップやコレクション全体のイメージに、このコンセプトはどのように反映されているのでしょうか。
これまでのコレクションもそうでしたが、私たちはより多くの人たちとの一体感を大切にし、日々の何気ない瞬間に幸せを見いだす姿勢を讃えたいと思っています。生き生きとしたカラフルなデザインには、マリメッコとユニクロに共通する要素である「日常のためのエフォートレスなデザイン」という哲学が表れています。それをウィメンズ、キッズ、ベビーのためのコレクションとして実現できることに大きな喜びを感じています。

個人的にお気に入りのアイテムは?
今回のコレクションでは、爽やかで着心地のいいワンピースや、コットンとリネンで作ったスカートに加え、合わせやすいハットやシューズ、バッグなど、幅広いアイテムを取り揃えました。私の一番好きなマリメッコ・プリントのひとつはMelooni(メロン)なのですが、今回はエフォートレスなサマードレスに使っています。お気に入りアイテムひとつだけ挙げるのは難しいのですが、あえて選ぶとすれば、このサマードレスになると思います。

今回のコレクションにおけるスタイリングのアドバイスを教えてください。ミックス&マッチに使いやすいパターンはありますか?
それぞれのアイテムのスタイリングに関しては、制限はないと思っています。着る人の気分とセンスがすべてですから。どのアイテムも、単独で使っていただくこともできますし、より生き生きとした表現が欲しければ、セットアップにしたりミックス&マッチを試してみたりしてもよいと思います。マリメッコでは、花柄とストライプ、あるいは花柄とグラフィックなパターンをよく組み合わせます。互いに補完し合うことができる柄ですし、面白い相互作用が生まれるからです。
フィンランドでパーフェクトなサマー・ピクニックができる場所はどこでしょうか。フィンランドならではの、お気に入りのピクニックの習慣はありますか?
フィンランドの首都ヘルシンキ沖には、たくさんの小さな島があります。この群島が最高のピクニック・スポットになっていて、街の中心部からほど近くであることを忘れてしまうほど素晴らしい場所なんです。私はウォータースポーツも海辺で過ごすのも大好きで、ヘルシンキにいるあいだは、機会を見つけては朝の海辺にジョギングに出かけたり、森でハイキングをしたり、ボートで島に渡ったりしています。

レベッカ・ベイ
1969年生まれ、デンマーク出身。デンマークのデザインスクール・コリングでファッションを学ぶ。
これまでの経歴は次のとおり。
2015〜2017年 Everlane(ニューヨーク)デザイン&プロダクト部門長
2012〜2015年 Gap Global Design, Gap Inc.(ニューヨーク)クリエイティブ・ディレクター兼執行副社長
2011〜2012年 Bruuns Bazzar(コペンハーゲン)クリエイティブ・ディレクター
2006〜2011年 COS(ロンドン)クリエイティブ・ディレクター
レベッカ・ベイについて
2020年、マリメッコのクリエイティブ・ディレクターに就任。デザインとイノベーションのチームを率い、ファッション、バッグ、アクセサリー、ホームプロダクトのデザイン戦略策定に従事する。現在は、コペンハーゲンとヘルシンキの二都市を拠点としている。