MUGさん(以下、M):どうしてユニクロさんみたいな大きい企業がG.V.G.V.にお話をくださったのか、びっくりしましたね。当時、ユニクロさんが東京ブランドとコラボするのは初めてに近い状態でしたし。お話を聞いて、私が打ち出したいものを求めていらっしゃるとのことだったので、お受けしました。
M:最初、上代設定(注:メーカー希望小売価格)を聞いたときは、(G.V.G.V.の価格帯と異なるため)G.V.G.V.のお客様に納得いただけるのかと心配でした。でも、店頭に並ぶと、G.V.G.V.が好きな方だけでなく、G.V.G.V.を知らない方にも幅広く手に取ってもらえて安心しましたね。
M:生地に関してはG.V.G.V.と比べ、選択肢が限られています。でも私が「こういう生地が使いたい」と伝えると、近いものを探してきていただけるので、クリエーションに関して妥協することはありません。
M:このほかに大変なのは、色の調整です。ユニクロさんはしっかりとしたマーケティングに基づいた服作りをされているので、派手な色だと売れないと判断されることもありました。でも、どうしても使いたい色だったら、私の意見を通すこともあるんですけど(笑)。決められた範囲でも必ず方法はあるし、ブラッシュアップを重ねてユニクロさんの高いクオリティの部分を引き出せればいいと思っています。
M:デザインのプロセス自体は変わりません。オリジナルの場合は、自分の好きなものやそのときの気分を優先させますが、コラボはユニクロのフィルターを通すので、そこでの自分の役割を考えながらクリエーションしています。
M:そうですね。スタジャンやスプリングコートは、G.V.G.V.のアーカイブから引っ張り出した原型を落としこんでいます。ニットもマスキュリンな(注:男性的な)感じで、私の好きなテイストが出せていますね。ラインアップのなかでもスタジャンとバイカラー(注:ツートンカラー)のニットは、特にG.V.G.V.らしくって個人的にも気に入っています。
M:初めてのときはユニクロのスタッフさんの意見とマッチングするまでに、迷う部分もありました。でも社風がわりと私に合ったので、お仕事しやすかったです。それに以前と比べ、最近ではユニクロさんのデザインに対する考えに幅が生まれてきていると感じています。ユニクロさんが求めていること、ユニクロさんにない部分で私ができることを提案できるようになって、楽しくデザインができていますね。