DESIGNERS INVITATION PROJECT Designer's Interview
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―ユニクロから初めてコラボレートの誘いがあった時の心境は覚えていますか?

滝野さん(以下、滝):「ダブル スタンダード クロージング」が得意とするタキシードジャケットを、ユニクロでやったら面白いだろうから、コラボしたいって思っていたんですよ。そうしたら、ちょうどお話をいただいたんです。初回から消化率(注:在庫の売れ行き)も高くて、面白い取り組みだな、と感じましたよ。

―滝野さんにとって、ユニクロの魅力とは?

滝:おしゃれな人も、ファッションに疎い人も買うし、商品のクオリティも高い。ファストファッションブランドとは一線を画した、前例のないブランドです。次にどういう一手を打ってくるのか、興味深いですよ。さらに言えば、ワールドワイドな販売網がある。それを使わせてもらって、「ダブル スタンダード クロージング」が世界にチャレンジする機会がもらえるのはありがたいですよね。

―過去2回のコラボレートは春夏コレクションで、今回は初めての秋冬コレクションになりますね。

滝:過去2回の消化率が驚異的だったんですね。そこまで売れるにはポイントはなんだろうと考えたときに、デザイン性に加えてリラックスして着られることは外せませんでした。その2つがベースにあって、アイテムごとに+αの要素を足しています。

滝:「ダブル スタンダード クロージング」で好評だったアイテムは結構取り入れていて、春夏に売れたマキシ丈ワンピースの冬バージョンとして、オフタートルのニットマキシワンピをやってみたり。それに合わせられる中綿のベストなど、コラボのラインアップでコーディネートもできるようにしています。今までユニクロさんが使っていない素材にもチャレンジしていますね。次のコラボのアイデアもありますよ。まだ秘密ですけどね(笑)。

―コラボレートのおもしろさは、どこにありますか?

滝:やっぱり売れる数がすごいので、売れる要素を探しながらデザインするのが面白いんですよ。たまにネットでコラボに否定的な意見も見ますけど、こちらは楽しくやっているので。今、アパレルは業界全体の調子がよくないから、会社単位だとどうしても行き詰まるんですよ。それをコラボで壊していきたいですよね。

―最後に、ファッションは世界を変える力を持っていると思いますか?

滝:そう思わないと、今アパレルじゃやっていけない部分も大きい(笑)。僕が若いころはDCブランドブームで、食費を削ってでも、借金してでもいい服を買っていた世代だけど、今の子たちはそうじゃない。それは魅力的な服が少ないからっていうのも原因にあるでしょう。日本のブランドで、今世界で通用するのって、ユニクロとコム・デ・ギャルソンぐらい。そのステージにいるユニクロさんは、世界を変えるポテンシャルを持っているので、牽引していってほしいですよね。

インタビューを通じて、滝野さんの口からよく出た言葉が「面白い」だった。苦戦するアパレルブランドが多いなか、好調のユニクロとのコラボによる化学反応で、業界を活性化させたいオーナーとしての意気込み、世界に自らがデザインした服が届けられる喜びが、その一言に集約されていると感じた。
ダブル スタンダード クロージング デザイナー 滝野雅久 サンデザイン研究所でファッションを学び、株式会社フィルムに入社。営業に従事した後、代表取締役社長に就任。1999年、「DOUBLE STANDARD CLOTHING」を立ち上げ、デザイナーを兼務する。モダンとクラシック、カジュアルとフェミニンなど対になる要素をリミックスし、幅広い女性から支持を得ている。